マンションの防災

マンションだからこそできる在宅避難―安心して暮らし続けるための備えと心構え

地震・台風・豪雨など、気象災害の懸念が強まる中、「何から準備すればいいのか分からない……」と感じる方は少なくありません。実は、マンションには「在宅避難」という選択肢があり、そのための準備をしておくと、安心して暮らせます。

本記事では、マンションでの在宅避難の基本から、発災直後の行動、備蓄の考え方、室内の安全対策、ご近所との共助、そして三菱地所グループの取り組みまで、より安心して暮らすためのポイントをご紹介します。今日からできることを、一緒に整えていきましょう。

目次

1.「在宅避難」のメリットとは?

在宅避難を選択できるかどうかは、建物の安全性と周辺環境によって決まります。

1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は「新耐震基準」に適合しており地震に強い建物です。中でもマンションは耐震性や耐火性などにおいて、地震発生時でも建物が大きく損傷しにくい特徴があります。そのため、地震発生時でも建物の安全性が保たれやすく、「まずは自宅に留まる」ことが現実的な選択肢となります。

ただし、火災・津波・土砂災害のリスクがある地域や、建物の安全性に不安がある場合は、速やかな避難が必要です。日頃から、ご自宅のマンションの安全性やハザードマップを確認しておくことが大切です。

在宅避難のメリット

多くの人が集まる避難所では、どうしてもプライバシーや衛生環境が課題となりがちです。
一方、自宅で避難生活が継続できれば、普段と近い環境で過ごせ、心身の負担も軽くなります。小さな子どもや高齢者、ペットのいる家庭にとっても安心です。
マンションに住む人は、「まず自宅に留まれるか?」を軸に、在宅避難の準備を進めておきましょう。

マンションならではの防災設備について、詳しくはこちらの記事で解説しています。
お住まいの防災設備、全部知ってる?|いざという時に使える設備チェックリスト

2.災害発生! その時どうする? 時系列のポイント

【発生直後】まず自分の身を守る

揺れを感じたら、まずは身の安全を確保することが最優先。

  • 丈夫な机の下に隠れる
  • 頭を守る
  • 揺れが収まるまで無理に移動しない
高層階では揺れが大きくなる特徴もあり、室内での転倒・落下物によるケガを防ぐことが命を守る第一歩です。

【揺れが収まったら】火の始末と出口の確保

揺れが収まったら、

  • 火の始末
  • ガスの元栓を閉める
  • 電気器具のコンセントを抜く
を行いましょう。

現在のガス機器は大きな地震を感知すると自動停止する機能が搭載されています。揺れている最中に無理に火を消しに行くと、やけどや転倒の危険があります。まずは身の安全を確保し、揺れが収まった後で、火が消えていることと、ガス機器の元栓が閉まっていることを落ち着いて確認してください。

また、玄関ドアや窓を開けて「避難経路を確保」することも大事です。エレベーターは停電や故障で止まる可能性があるため、使用は避けましょう。

【数時間~】家族の安否確認と情報収集の方法

被災直後は家族と連絡が取りづらくなることがあります。

  • 災害用伝言サービス
  • 防災アプリ
  • SNS
  • ラジオ
など複数の手段で情報を確認しましょう。
家族が離れている場合に備え、事前に「連絡方法」と「集合場所」を決めておくと安心です。

災害時に家族が離れ離れにならないために。事前に決めておくべき「わが家のルール」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
家族でつくろう! わが家の防災計画|ハザードマップ確認から安否確認まで

お子様の大切な命を守るための備えや心構えについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
「誰一人取り残さない」ファミリーの防災:新しい暮らしを守る備蓄とチェックリスト

3.「備え」の第一歩。これだけは揃えたい防災グッズ

最低3日分、推奨1週間分の備蓄を(食料・水)

災害時、スーパーや物流が止まり、インフラ復旧まで時間がかかる可能性があります。
そのため、

  • 水(1人1日3Lが目安/飲料用2L、調理や衛生用1L)
  • 主食(レトルトご飯、乾麺など)
  • おかず(缶詰、レトルト食品)
  • お菓子類(チョコレート、ビスケット、羊羹など)
など、最低3日分、可能であれば1週間分の備蓄を目指しましょう。

トイレと衛生用品、情報収集アイテムも

特に重要なのが「トイレ対策」。断水や排水機能の停止は、多くの災害で問題になります。

  • 簡易トイレ(凝固剤付き)
  • ウェットティッシュ
  • アルコール消毒液
  • マスク
  • 生理用品など
  • モバイルバッテリー
  • 懐中電灯
など、衛生と情報確保に必要な道具は必需品です。

災害時、意外なほど重要になるのが「トイレ」です。具体的な対策については、こちらの記事をご覧ください。
意外と知らない、災害時の「マンションのトイレ問題」と解決策

無理なく続ける「ローリングストック」のすすめ

ローリングストックとは、普段の食品を少し多めに買い置きし、古いものから消費し、消費した分を買い足す方法です。常に一定量の食品を家庭で備蓄でき、消費期限切れが防ぎやすくなります。

非常食を特別に買うのではなく、普段の食品を少し多めに備えて「使ったら補充」するだけ。
負担が少なく、食べなれたものを備蓄するので、いざという時も食べやすく、誰でも続けられる備蓄方法です。

4.わが家の安全対策チェックリスト【室内編】

家具の配置、見直してみませんか?

地震によるケガの多くは「家具の転倒・落下」が原因です。

  • 寝室に背の高い家具を置かない
  • 出入り口付近に倒れそうな家具を置かない
  • 家具の上に重いものを乗せない
といった配置の工夫だけでも大きな効果があります。

転倒・落下・移動を防ぐ、正しい家具の固定方法

家具は固定することで、災害時の転倒・落下を防止できます。

  • L字金具や専用器具で壁に固定
  • 扉の開放防止器具をつける
  • 家具の下に滑り止めを敷く
複数の器具を組み合わせると、より効果的です。

ガラスの飛散防止対策

窓や食器棚のガラスは割れると非常に危険です。

  • 飛散防止フィルム
  • カーテンを閉めておく習慣
といった対策で、割れたガラスによるケガを防ぎましょう。ただし窓ガラスは一般的に共用部分になるため、対策をする際は、管理規約を確認しましょう。

より安全な家具の配置と固定方法のテクニックはこちらの記事で詳しく解説しています。
安全な家具の配置と固定方法|「面倒」を解消する簡単防災アクション

5.意外と知らない「共助」。ご近所との協力が身を守る

「自助」「共助」「公助」の違いとは

防災の基本は「自助・共助・公助」。
とくに大規模災害では、行政の支援(公助)がすぐに届かないこともあるため、

  • 自分と家族を守る「自助」
  • ご近所で助け合う「共助」
が大きな力になります。

共用部に備えてある防災備品を確認しよう

最近の新築マンションには、共用部に防災倉庫や備蓄品が用意されていることが多く、一般的に以下のような備品が備えられています。

  • 簡易トイレ
  • 発電機
  • 救護用品
  • 給水タンクなど
年1回の総会や防災訓練で、内容や使い方を確認しておくと、いざという時にスムーズです。

普段からのご近所付き合いが、いざという時に力になる

「顔見知り」であることは立派な防災力。
日頃から挨拶を交わしたり、防災訓練に参加したりすることで、非常時に自然と助け合える関係がつくれます。
小さなつながりが、いざという時の大きな支えになります。

災害時に共に備えるマンションならではの防災の取り組みをこちらの記事で詳しく解説しています。
みんなで備えるマンション防災

まとめ

マンションでの災害対策には、日頃の準備が欠かせません。ぜひその他の関連記事も参考にして、防災への備えを日常の中で無理なく続けられる「わが家のスタイル」として整えていきましょう。

監修:一級建築士 尾間紫

  • 本記事の内容は2025年12月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

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