1.寝室に背の高い家具を置いていませんか?|配置の基本
地震による家具の転倒は、特に寝室での負傷リスクが高くなっています。固定グッズを買う前に、まずは配置を見直しましょう。これだけでも安全性が大幅に向上します。
家具配置の5つの基本ルール
寝室には背の高い家具を置かない
就寝中は最も無防備。どうしても置く場合は頭の方向に倒れてこない位置に。
避難経路を塞がない
出入口やドア付近、廊下には倒れやすい家具を置かない。
重いものは下段に
重心を下げることで倒れにくくなる。
生活空間から家具を減らす
納戸やクローゼット、造り付け収納に集中させ、居住スペースと収納スペースを分ける。
火気の周辺を空ける
ストーブやコンロの近くは二次災害の危険。
東京消防庁の調査でも、家具転倒防止の基本は、配置の見直しと安全スペースの確保としています。
2.壁を傷つけずに固定できるグッズ
効果的なのはL型金具、でも……
L型金具で壁の下地(柱や間柱)にネジで固定する方法が最も効果的です。しかし、壁に穴を開けることに抵抗がある方も多く、また一般的な壁は石膏ボード貼りのため固定力が弱く、専門的な知識がないと確実に固定するのが難しい場合があります。
「合わせ技」が現実解(内閣府の推奨)
現実的な解決策として、複数の固定器具を併用する「合わせ技」が推奨されています。
・下側:粘着マット式またはストッパー式で「滑らせない」
・上側:突っ張りポール式で「天井との隙間をなくす」
この組み合わせで、壁に穴を開けずに比較的安全に固定が可能です。
固定器具の選び方
粘着マット式
家具と床を接着。取り外し可能。
ストッパー式
家具の手前側に挟み、壁側に傾斜させる。
突っ張りポール式
天井との隙間に設置。単体では効果が限定的なため、下側の器具と併用。
ベルト式・チェーン式
壁と家具をつなぐ。穴開け不要タイプもあり。
家具の材質、天井の高さ、壁の下地を確認して選定しましょう。
ザ・パークハウスの家具転倒防止器具
ザ・パークハウスでは、2024年度の実績として家具転倒防止器具の戸数配布率100%を達成しています(当該年度引渡物件を対象とした試算に基づく)。防災バッグに同梱されているので、未使用の方は確認してみてください。
出典:三菱地所レジデンス「まち・サービス 災害対応力|暮らしに、いつも新しいよろこびを。」
3.テレビや電子レンジなど、家電製品の固定方法
家具だけでなく、家電製品の固定も重要です。東京消防庁の「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」では、以下の対策が推奨されています。
テレビ
粘着マット式またはベルト式で固定。テレビ台自体も固定すると安全性が向上。
電子レンジ・オーブントースター
粘着マット式で固定。高い場所への設置は避ける。
冷蔵庫
ベルト式で壁と固定。避難経路を塞がない配置に。
食器棚
開き戸ストッパーを取り付け、ガラス扉には飛散防止フィルムを。
詳細な手順は、東京消防庁の公式ハンドブックを参照してください。
東京消防庁 家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック
※外部サイトへ遷移します
4.リフォーム時に検討したい「造り付け家具」という選択肢
造り付け家具は、壁や床に固定して造作をする収納のため、転倒リスクが低く、固定器具も不要です。
大規模な模様替えやリフォームのタイミングで検討してみましょう。空間を効率的に活用でき、地震対策とインテリア性を両立できます。
政府広報でも、複数の固定方法を組み合わせることや、造り付け家具の活用が周知されています。
5.今週末、家具の配置をチェックしよう
優先順位をつけて、できることから始めましょう。
1.寝室の安全確保
背の高い家具は別の部屋へ移動、または固定
2.避難経路の確保
出入口と廊下をふさがない配置に
3.家電製品も固定
テレビ、電子レンジ、冷蔵庫をチェック
4.長期的には造り付け収納も検討
リフォーム時の選択肢として
まとめ
家具の固定は「面倒」に感じるかもしれませんが、命を守る効果的な防災対策です。まずは配置の見直しから。壁に穴を開けない「合わせ技」固定法なら、簡単に設置できます。
まだ家具転倒防止器具を使っていない場合は、防災バッグ内を確認し、優先箇所から設置してみてください。
監修:一級建築士 尾間紫
- 本記事の内容は2025年12月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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