マンションの防災

家族でつくろう!わが家の防災計画|ハザードマップ確認から安否確認まで

「家族の安全を守りたいけれど、何を話し合えばいいかわからない」。そんな方のために、ハザードマップの確認方法や災害時の連絡手段、避難経路の決め方など、家族で取り組むべき防災計画のポイントを解説します。三菱地所レジデンスが無料公開している「そなえるドリル」も役立ちます。

目次

1. まずは「ハザードマップ」で地域の災害リスクを知ろう

ハザードマップで何がわかる?

ハザードマップとは、洪水、土砂災害、津波、地震などのリスクが想定される区域や、避難場所、避難経路などの情報をわかりやすく示した地図のことです。国土交通省の「重ねるハザードマップ」では、日本全国の災害リスクを1つの地図上で確認できます。また、各自治体が公表している「わがまちハザードマップ」では、より詳細な地域情報が掲載されています。


家族で確認するポイント

まずは自宅、学校、職場周辺のリスクをチェックしましょう。ハザードマップでは、リスクの高さが色の濃淡で示されています。色が濃いほどリスクが高く、特に浸水深が0.5m以上(大人の膝上まで)になる区域は、早めの避難や上層階での安全確保を検討する必要があります。

洪水は浸水深0.5mを超えると歩行が困難になるとされています。マップは災害種別ごとに色の意味が異なるため必ず凡例を確認しましょう。

在宅避難を選べるかは「建物の安全性」「ライフラインの状況」「周辺の二次災害リスク」を総合的に判断する必要があります。判断の際は、必ず自治体の方針を確認することが大切です。さらに、マンション周辺の浸水リスクや土砂災害リスクも把握しておきましょう。家族全員でハザードマップを見ながら、「この道は浸水しやすい」「この坂道は土砂災害の危険がある」など、日常の行動範囲を考えながら情報を共有しておきましょう。

2. 災害時の連絡方法を家族で決めよう

災害用伝言ダイヤル「171」

災害時は被災地への電話が殺到し、繋がりにくくなります。家族が別々の場所にいる時間帯(平日の昼間など)に被災する可能性も高いため、事前に連絡方法を決めておくことが重要です。

災害用伝言ダイヤル「171」は、NTT東日本・西日本が提供する無料の音声伝言サービスです。使い方はシンプル。171番に電話し、被災地の電話番号(自宅の固定電話や携帯電話番号)を入力すると、30秒以内の伝言を録音できます。家族は同じ電話番号に電話して、伝言を再生することで安否を確認できます。

ポイントは、家族全員が使い方を知っておくこと。毎月1日と15日や防災週間(8月30日~9月5日)などに体験利用ができるので、実際に練習してみましょう。「お父さんの携帯番号に伝言を残す」など、家族でルールを決めておくとスムーズです。

その他の安否確認手段

災害用伝言板(web171)を使えば、インターネット上で文字の伝言を登録できます。また、LINEの安否確認機能、Facebookのセーフティチェック、Googleのパーソンファインダーなども活用できます。(※パーソンファインダーは入力内容が公開されます)

各サービスの詳細は、公式サイトをご確認ください。

  • 外部サイトへ遷移します

重要なことは、複数の手段を決めておくこと。「まず171に伝言を残す。繋がらなければLINEを使う」など、優先順位を決めておきましょう。

連絡が取れない時の集合場所

通信手段がすべて使えない状況も想定して、集合場所を決めておきましょう。


第一集合場所

自宅(マンション)


第二集合場所

近くの避難場所や公園

「2時間待っても連絡が取れなければ、第二集合場所へ行く」など、具体的なルールを決めておくと、災害時でも冷静に行動しやすくなります。ただし、屋外への避難が危険な場合は、屋内安全確保(上階へ)を選ぶことがあります。警戒レベルや周囲の危険に応じて柔軟に判断しましょう。

3. 避難場所と避難経路を確認しよう

避難場所の確認

避難場所には2種類あります。指定緊急避難場所は、命を守るために緊急的に避難する場所。指定避難所は、一定期間滞在できる施設(学校の体育館など)です。お住まいの自治体のハザードマップや防災マップ、マンションの掲示板や入居時に配布された「防災のしおり」などで、最寄りの避難場所を確認しましょう。


避難経路を実際に歩く

地図で確認するだけでなく、実際に歩いてみることが大切です。ブロック塀、自動販売機など倒壊や転倒の危険があるものがないか、アンダーパス(冠水リスク)や急な坂道(土砂災害リスク)はないかをチェックしてください。

1つのルートだけでなく、複数のルートを確保しておくことも重要です。災害時には、道路が寸断されたり、建物の倒壊で通行できなくなったりする可能性があります。

マンション内の避難経路も忘れずに。停電時はエレベーターが使えなくなるため、階段の場所を確認しておきましょう。また、バルコニーの避難ハッチや避難経路に物を置いていないかもチェックを。

4. 「そなえるドリル」でわが家の防災計画をつくろう

「そなえるドリル」とは?

「そなえるドリル」は、三菱地所レジデンスが開発した家族向け防災ツールです。子どもが思わずやってみたくなるような工夫が満載。例えば「宇宙人が世界中のトイレを持ち去ってしまった!きみならどうする?」といったような架空で楽しいシチュエーションから、『家族が1日で何回トイレに行くのか?』を話し合い、必要なトイレの備えを考えられるようになっています。

「無人島生活」を想像して、家族ひとりひとりに必要なものを思い浮かべる問題もあります。こうした対話を通じて、家庭のオリジナル防災計画書が自然と完成する仕組みです。

「そなえるドリル」は、「住まいのギャラリー」ザ・パークハウスの防災プログラム公式サイトから無料でダウンロードできどなたでもご利用が可能です。


ドリルで話し合う内容

ドリルでは以下のような内容を家族で話し合います。

  • 家族構成と連絡先の整理:全員の携帯番号、勤務先・学校の連絡先
  • トイレの備え:1日の使用回数から必要な簡易トイレの数を計算
  • 食料・水の備蓄:家族それぞれに必要なもの(アレルギー対応食、赤ちゃんのミルクなども)
  • 避難場所・避難経路の確認:ハザードマップを活用
  • 災害時の役割分担:誰が何をするか決めておく

完成した防災計画書は、冷蔵庫やリビングの見える場所に貼っておきましょう。引っ越しや転職、子どもの進学などで状況が変わるため、年1回は見直すことをおすすめします。

5. 今週末、家族で話し合ってみよう

☑ ハザードマップで自宅周辺のリスクを確認

国土交通省や自治体のサイトから確認


☑ 災害用伝言ダイヤル171を家族で練習

毎月1日・15日や防災週間(8月30日~9月5日)などの体験利用日に実際に使ってみる


☑ 避難場所まで実際に歩いてみる

危険箇所をチェックし、複数ルートを確保


☑ 「そなえるドリル」をダウンロードして取り組む

家族で対話しながら、オリジナル防災計画書を完成させる


まとめ

災害はいつ起こるかわかりません。だからこそ、平時の準備が大切です。「そなえるドリル」なら、子どもも一緒に楽しく防災を学べます。家族で話し合いながら備えることで、災害時の不安を減らし、「自ら行動する」力を高めましょう。


監修:一級建築士 尾間紫

  • 本記事の内容は2025年12月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

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