「エアコンの2027年問題」の影響と買い替えのポイント

「エアコンが値上がりする」「低価格帯のエアコンがなくなる」――。そんな話を耳にし、買い替えを急ぐべきか迷っていませんか。背景にあるのが、「エアコンの2027年問題」と呼ばれる、2027年度から施行される新たな省エネ基準の影響です。技術系家電ライターの藤山哲人さんがその実態と買い替えを判断するためのポイントを解説します。

目次

「エアコンの2027年問題」とは?

2027年度から、家庭用エアコンに適用される省エネ基準が引き上げられます。これに対応するため、メーカー各社は部品や制御システムを見直した「2027年対応モデル」の投入を進めています。省エネ性能を高めるにはコストがかかるため、新モデルは従来より価格が上がる可能性があります。

特に影響が大きいとされるのが、需要の多い6〜10畳用です。これまで6万円前後で買えたモデルが、今後は10万円を超えるのではないかという声も出ています。

また、これまで低価格帯で販売されていた製品の多くは、新基準に対応していません。2027年度以降、新基準を達成していない製品が販売できなくなるわけではありませんが、取り扱いは縮小していくことが予想されます。

こうした状況を受け、「安いエアコンが買えなくなる」「今買わないと損」といった情報が一人歩きし、消費者の買い急ぎが起きています。その結果、例年なら春先に値下がりする前年モデルが、最新モデルと同等の価格で販売されるなど、市場が加熱している傾向にあります。

そのため、買い替えを検討する場合は、周囲の雰囲気に流されず、自分の状況に合わせて判断することが大切です。

買い替えのタイミングと選び方のポイント

エアコンの買い替えのタイミングと選び方について、押さえておきたい4つのポイントを紹介します。

ポイント① 使用年数が10年以上かどうか

エアコンは一般的に10〜13年程度が寿命とされます。製造年を確認し、10年以上使っている場合は、故障リスクが高いため早めの買い替えがおすすめです。特に夏場に故障すると、修理や工事の予約が取れず、生活に支障が出るケースもあるので、「壊れてから」ではなく、「壊れる前に」動くのが安心です。

使用年数が10年未満の場合、試運転をして冷気が出ることを確認できれば、買い替えは2027年夏以降でよいでしょう。この頃には市場に出回る製品が新基準対応へ切り替わり、価格も落ち着いてくるでしょう。


ポイント② 本体価格だけでなくランニングコストも考える

2027年モデルは省エネ性能が高い分、長期的に見ると消費電力が少なく、電気代も安くなります。2025年モデルと2027年モデルの年間電気代を試算した結果(※)は、以下の通りです。

  6畳用(2.2kW)のエアコンの場合
  • 2025年モデルの年間電気代:2万6,350円
    (2025年モデルの年間消費電力:850kWh/年)
  • 2027年モデルの年間電気代:2万3,157円
    (2027年モデルの年間消費電力:747kWh/年(850kWh÷(1+0.138)))
  • →年間で3,193円の差額=10年間で3万1,930円安くなる
14畳前後用(4.0kW)のエアコンの場合
  • 2025年モデルの年間電気代:4万3,400円
    (2025年モデルの年間消費電力:1,400kWh)
  • 2027年モデルの年間電気代:3万2,209円
    (2027年モデルの年間消費電力:1,039 kWh/年(1,400kWh÷(1+0.347)))
  • →年間で1万1,191円の差額=10年間で11万1,910円安くなる  

購入時の価格だけを見ると高く感じても、エアコンは約10年使用する家電です。特にリビングなど使用時間が長く、大きな部屋用のものほど、電気代の差が積み重なるため、長期的なランニングコストを踏まえて検討することが大切です。

ただし、10年以上前の旧式エアコンから買い替える場合は、2027年に対応していない従来モデルでも電気代は安くなります。予算や部屋の用途に合わせて選べるとよいでしょう。  

※藤山さんの試算による予測。
出所:公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
https://www.eftc.or.jp/qa/

  • 2025年11月時点で省エネ達成率100%の電気代と、2027年以降の政府目標の改善率を100%達成した電気代を比較。電気代は2025年の1kWhあたり31円を基準として算出。
  • 計算は概算値であり、気候や使い方によって±20%の誤差がある。
  • 畳数に記載している()内のkWは、エアコンの能力を示しており、一般的には畳数で示されるが、この場合範囲があるので能力で区分している。


ポイント③ 畳数表示は「暖房」を基準に選ぶ

エアコン選びで意外と見落とされがちなのが、暖房性能です。

冷房は外気温30度を25度に下げる程度の負荷ですが、暖房は外気温0度を20度に上げる必要があり、冬のほうが負荷が大きくなります。そのため、同じ製品でも「冷房:14畳/暖房:8畳」など、暖房の適用畳数が小さく表示されることがあります。

暖房をよく使う家庭は、冷房の畳数ではなく、暖房の畳数を基準に選ぶと失敗しにくいでしょう。


ポイント④ 便利機能なら「フィルター自動掃除機能」が実用的

最近のエアコンはAIを搭載するなど多機能化が進んでいますが、実用面で評価が高いのは「フィルター自動掃除機能」です。

多くのメーカーで、フィルター掃除は2週間に1回程度が推奨されていますが、実際にはこまめにできない家庭も少なくありません。しかし、キッチンとつながったリビングに設置されるエアコンは油煙を吸いやすく、ペットを飼っている家庭では毛が詰まりやすくなります。そのため、フィルター自動掃除機能があれば、運転が終わるたびに掃除してくれるので毎回ベストな状況で運転でき、電気代のムダを抑える効果も期待できます。

買い替え時には補助制度をチェックしよう

エアコンを買い替える際には、国や自治体が実施する補助制度を利用できる場合があります。条件が合えばお得に購入できるので、チェックしておきたいところです。

例えば、東京都が実施している「家庭のゼロエミッション行動推進事業(東京ゼロエミポイント)」は、省エネ性能の高い対象製品を購入するとポイントが付与され、購入時の値引きとして使える仕組みです。

また、地域によっては独自に省エネ家電の補助制度を設けている自治体もあります。「自治体名+省エネ家電補助金」などで調べてみてください。

なお、制度は対象機種や申請期間、購入店舗など条件が細かく設定されており、予算上限に達すると早期終了する場合もあります。必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。

  • 本記事の内容は2026年6月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

お話を聞いたのは●藤山哲人さん

ふじやま・てつひと/家電ライター。あらゆる家電を使い込み、性能を数値やグラフにすることを得意とする技術系家電ライター。測定器がなければ自作することも。「家電Watch」「文春オンライン」をはじめとする複数のWebメディアでレギュラーを持つ。テレビ、ラジオ、YouTubeへの出演など多方面で活躍中。人気番組「マツコの知らない世界」へは番組最多の6回出演を果たしている。
https://ameblo.jp/kaden-fujiyama/

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