悩みの原因は、汚れが落ちていないから!?
僕が洗濯に興味を持ったのは、クリーニングの仕事を始めて、汚れた服がきれいになる過程を目の当たりにしたときでした。目に見えて汚れが落ちていくと、やりがいを感じますし気持ちがいい。これが洗濯のいちばんの面白さだと思います。
黄ばみや黒ずみ、部屋干しのにおいなど、家庭の洗濯でよく聞く悩みの多くは、ほとんどの場合「衣類の汚れが十分に落ちていないこと」に行き着きます。部屋干しのにおいも、干し方自体が原因ではなく、衣類に残っている目に見えない汚れがにおいのもとになっているのです。
衣類を快適に着るために、そして衣類を長持ちさせるためには、日々の洗濯で衣類の汚れを落とし切ることが重要です。そのために、まずは「基本の洗い方」を見直しみてほしいと思います。
衣類をきれいに洗うための3つのポイント
「基本の洗い方」となるのは、以下の3つのポイントです。
ポイント1:衣類・水量・洗剤の量に注意する
最近の洗濯機は、「時短」や「節水」が重視される傾向にあり、標準の設定では衣類の汚れを十分に落とすには水量が足りていないことも少なくありません。縦型洗濯機の場合は、衣類の量は多くても6~7割、それに対して水量は最高水位を目安に設定しましょう。ドラム式洗濯機は衣類をたたきつけて汚れを落とすため、衣類は洗濯槽の半分以下に抑えること。ドラム式で水量が調整できない場合は、「注水すすぎ」がおすすめです。
洗剤の量は、書かれている規定量をきちんと守りましょう。量が少なすぎると、汚れが残ったり、一度落ちた汚れが戻ってしまいます。
ポイント2:洗い時間は15分・すすぎは3回・脱水時間は3分
汚れを落とすためには、10分~20分程度の洗い時間が必要です。洗濯機の自動モードなどでは洗い時間が短い場合があるので、設定を確認してみてください。
すすぎの回数は3回が基本です。洗い時間と同様、洗濯機の設定では回数が足りない場合や、「すすぎは1回でOK」と書かれている洗剤もありますが、汚れを残さないためには3回繰り返してすすぎ切る必要があります。
逆に脱水時間は、洗濯機の標準設定では長すぎることが多いですが、3分もあれば十分です。むしろ、脱水時間が長いと、衣類に余計なシワがつきやすくなってしまいます。
ポイント3:柔軟剤・漂白剤・洗濯ネットの使い方
柔軟剤は、もともとウールのニットを柔らかく仕上げたり、静電気を防止したりするために使われていたもので、今はほとんどの衣類に使われています。しかし、ほとんどの場合、柔軟剤は使う必要がありません。柔軟剤は最後のすすぎの段階で入れて、衣類にその成分を残すため、その残りが洗濯機の汚れや次の洗濯時の洗浄力低下の原因につながることもあります。
漂白剤も、襟の黄ばみや、ミートソースの赤いしみなど、洗剤では落ちないガンコな色素汚れを落とすときに使用するようにするだけで十分です。
よかれと思って入れた洗濯ネットも洗浄力を下げ、汚れが落ちない原因になります。洗濯ネットに頼る理由は、仕分けが適切ではないこと。また、本当に優しく保護して洗わなくてはいけないようなものは、クリーニングに出した方がいい服なので、洗濯ネットも家庭の洗濯ではほぼ不要です。
冬場の部屋干しと洗濯のコツ
冬になって気温が下がると、空気中に取り込める水分量が減少して、洗濯物が乾きにくくなります。そのため、部屋干しの場合は、室温が下がりすぎないよう注意しましょう。ただし、温度が上がると、水分量も上がるため、同時に扇風機やサーキュレーター、換気扇などで空気を動かすことも大切です。干すときは、衣類の表面積をできるだけ広くして、空気に触れる面を増やすことで早く乾きやすくなるので、意識してみてください。
これからの季節、ウール素材のセーターやカーディガンを着る人も増えるでしょう。これらのアイテムは、押し洗いなどで家庭で洗うこともできますが、水で洗うと腰が抜けてヨレヨレになりやすく、長く着たり状態よく着たりすることが難しくなります。
買ったときの状態にできるだけ近い状態で着たい場合は、クリーニングを活用するのがおすすめです。着用後はハンガーにかけて休ませておくだけでも、においやシワは落ち着きます。逆に、においが取れなくなったり、シミが気になるときは、洗いどき。適切な着用とケアをしていれば、シーズンの最後に一度洗う(クリーニングする)だけで十分なことも多いです。
「基本の洗い方」をベースに、衣類の素材や季節に合わせた洗濯を心がけることで、衣類をきれいに、長く着ることにつながります。ぜひ実践してみてください。
- 本記事の内容は2025年12月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
お話を聞いたのは●中村 祐一さん
なかむら・ゆういち/長野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」代表取締役。「洗濯からセカイを変える」という信念のもと、2006年から「洗濯アドバイス」という分野を切り開いてきた。洗濯から考える、よりよい暮らし方の提案を行い、「衣・食・住」における「衣文化」の革新に洗濯の側面から取り組み、「洗濯王子」の愛称でテレビ・雑誌など各種メディアにも多数出演している。
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