理想の空間づくり

「ちょっとした内装のグレードアップ」で自分らしく、おしゃれな空間に

設備や間取りのリフォームを計画しているなら、同時に行いたいのが内装のリフォームです。ポイントを押さえれば、ちょっとした変更でも印象はガラリと変わり、空間をグレードアップできます。内装リフォームで自分らしさを表現するコツを、三菱地所ホームで主にリフォームを担当しているインテリアコーディネーターに伺いました。

目次

クロスでアクセントをつくり、雰囲気を高める

――自分らしく内装をリフォームするコツは?

最も手軽なのは、クロス(壁紙)を使ってアクセントをつくることです。奥行きやリズムが生まれ、一段と魅力的な印象になります。壁の一部にアクセントクロスを貼るのが一般的ですが、天井にカラークロスや木目調のクロスを貼るとより一層雰囲気が豊かになります。
 
特に木目調は流れるようなラインが視線を導き、空間がのびやかになります。自然素材に似たぬくもりも加わるので、リラックス効果も期待できます。ちなみに、大胆な色柄のお気に入りクロスがあるなら、収納の中の壁に貼るのもおすすめです。開けるたびにワクワクと心が躍り、「片づけよう」という気持ちも自然に湧いてくるはずです。

住空間全般のインテリアを提案するインテリアコーディネーターは、注文住宅の新築から戸建住宅・マンションのリフォームまで、自分の理想を形にしてくれる心強いパートナー。

――床を貼り替えるのも効果的ですか?

面積が広いため、部屋の印象を大きく左右します。例えば、木目のフローリングにしたい場合、主な選択肢として、突板(つきいた)などの天然木仕上げの床材と、オレフィンなどの樹脂化粧シートを使った床材があります。突板とは天然木を薄くスライスして合板に貼った素材のこと。木の表面には自然にできた凹凸があり、光をさまざまな方向に散らすため、やわらかく包み込まれるような穏やかさをもたらします。

歩いたときの足触りや、ふと視線を落としたときのあたたかさも天然木ならではの魅力です。一方で、シートを使った床材にも本物の木のような質感や陰影を再現した商品が増えています。傷や汚れに強くお手入れがしやすいといった点は力強い魅力の一つですね。

どちらも「心地よい暮らし」を支える大事な選択肢です。床材を貼り替える空間の用途や、コストバランスを考慮しながらお選びいただくことが、長く満足して使っていただける選択につながると考えています。

表情を生み出すタイルは、費用対効果がとても高い

――おしゃれな住まいではタイルを使っている気がします。

タイルは空間に「表情」を生み出す仕上げ材として注目されています。最近はプリント技術が向上し、デザインも大理石調や金属の質感を表現したものまでバラエティに富み、本物と見間違うほどの美しさがあります。コスト面ではプラスになりますが、費用対効果の高い仕上げ材です。

部分的に取り入れるだけでも、空間の印象はぐっと変わります。例えば、木目のフローリングに質感の異なるタイルを組み合わせることで、視覚的にも、足触りなどの感覚においても、空間の使い分けを感じ取ることができます。また、窓際にタイルを施すと土間のような印象になり、プランターの緑も映えます。タイルはお手入れもしやすいため、水回りにもおすすめです。ただし、マンションの場合は音の問題から床にタイルを貼ることを禁止しているケースがあるので、事前に確認が必要です。

タイルならではの質感や凹凸感が、空間に豊かな表情を与え、全体の雰囲気をワンランクアップさせる。温かみのあるものや天然石のような高級感のあるものまで、組み合わせ次第で自分らしい空間を演出できる。

――タイルは壁に貼るのも効果的ですか?

タイルならではの質感と表情で、クロスとは異なるアクセントとして楽しむことができます。壁に貼れば光による表情の変化が楽しめ、床とは違った印象を味わえます。壁でも床でも貼り方によって表情が変わるのも魅力の一つです。横に並べれば落ち着いた印象に、斜めに貼れば動きが出てリズムのある空間になります。

また、細長いタイルを使ってヘリンボーン貼りやランダム貼りなど、貼り方ひとつでクラシックからスタイリッシュまで印象を変えられる楽しみのある素材です。壁に貼るタイルでは、調湿・消臭機能のある「エコカラット」も人気ですね。

素材のサンプルは、場所と時間を変えて確認する

――素材だけでも選択肢がたくさんあるのですね。難しいのは選び方ですが、素材のサンプルを見るときのポイントは?

打ち合わせ場所と自宅では自然光の入り方や照明が異なるため、サンプルを持ち帰って確認していただくこともあります。朝・昼・夜と時間を変えて確認することも大切です。

  その際、例えばクロスなら手元だけでなく壁に貼った状態で見ることも有効です。貼る面によって光の当たり方が違い、印象が変わるからです。また、色は面積が広がると白みが増して明るく見えます。その点も踏まえてチェックするとよいでしょう。

三菱地所ホームのインテリアサロンはクロス、カーテンから照明、家具まで、素材サンプルやカタログを幅広く取り揃えている。インテリアコーディネーターは快適性や長期的なコストパフォーマンスの観点も含めて、具体的なプランを提案してくれる。

――選んだ内装を、より魅力的に見せるには?

照明による演出効果を取り入れてみるのはいかがでしょうか。照明というと上から明るく照らすイメージがありますが、光の重心を低くして床面の近くに置くことで空間に落ち着きと静けさが生まれ、柔らかな陰影と奥行きのある豊かな空間を演出します。部屋の隅など暗いところに明かりを灯すと、その部分も部屋の一部として生きてきます。

また、間接照明を壁や天井に反射させると、部屋全体を包み込むようなあたたかさを生み出します。タイルなど凹凸のある素材は照明を当てると陰影が浮かび、より美しく見えますね。その際、配線は隠したほうがすっきりしますし、重量のあるペンダントライトなどを設置するには下地の補強も必要です。設計の打ち合わせ段階から伝えることで、安全性が高く、より印象的な照明計画となるでしょう。

インテリアコーディネーターとじっくり相談できるインテリアサロンは完全予約制。三菱地所ホームは設計とインテリアを分けずに、アーキテクトとインテリアコーディネーターがチームを組んで家づくりに取り組む。

それまでの暮らしを、新しい暮らしに「つなぐ」

――悩むのは「自分らしさ」の演出ですが、よい方法は?

まずはご自身の好みを把握することが第一歩です。雑誌などのインテリアを眺めていると、「いいな」と目に留まるものには共通点があるはず。担当者には「○○風」といった言葉ではなく、写真などで伝えると的確にイメージを共有できます。

さらに、それまでの暮らしを、新しい暮らしに「つなぐ」ことも大切です。これはリフォームならではかもしれませんが、例えば、お気に入りの家具やアートから色や素材感を拾って新しい内装に織り込むと、新旧がつながり、家具やアートが映える空間になります。

――最後に、改めて内装リフォームを成功させる秘訣を教えてください。

一つめは「動」と「静」のつくり分け。家族と楽しく過ごす空間と、一人で落ち着く空間のメリハリをつけることが大切です。

二つめはあえて余白をつくること。リフォームして完成ではなく、生活の中で、家具や小物、アートなど、お気に入りをひとつずつ加えながら、時間と共に完成されるものだと感じています。

三つめはトレンドに左右されすぎないこと。流行のデザインを取り入れるのも楽しいですが、必要かどうか、好みに合うかどうかをひとつひとつ丁寧に見極め、使い勝手や空間全体とのバランスをみながら選んでいくとよいですね。

最後に一番大切なことは、打ち合わせの過程を楽しんでいただくことです。悩みながら決断する物選びの時間が、リフォーム後の満足感につながっていきます。途中で新たな希望が出てきたときも、遠慮なくお聞かせください。一緒に理想の空間をデザインしていきましょう。

  • 本記事の内容は2025年10月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

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