理想の住まいの選び方

将来、夫婦で住み替えるなら! コンパクトマンションの3つの魅力

若い頃に戸建てやマンションを購入した人の中には、子どもの独立や老朽化による段差の不安、庭の管理負担、駅からの距離による不便さなどから、住み替えを検討するケースが少なくありません。住宅ジャーナリストの山下和之さんは、その移住先としてコンパクトマンションを推奨しています。その理由とは?

目次

駅近でバリアフリーの住まいが多い

なぜコンパクトマンションがおすすめなのか、いくつか理由があります。

第一に、そもそもマンションは基本的にフルフラットで段差が少なく、多少足腰が弱くなっても比較的安心して生活できます。

現在は問題がなくても、10年後、20年後を考えると、元気なうちにバリアフリーのマンションへ住み替えておくほうが安心です。防犯面でも、マンションはセキュリティが充実しており、鍵ひとつで外出できます。

第二に、マンションは戸建て住宅に比べて駅から近い物件が多く、最寄り駅周辺の生活利便施設を利用しやすいことです。

不動産調査会社の東京カンテイによると、新築住宅の最寄り駅からの徒歩時間を1分刻みで分類すると、新築マンションは「徒歩5分」が最も多く、5分以内が全体の40%以上を占めます。5分を超える物件もありますが、大半は徒歩10分以内です。一方、新築戸建て住宅で徒歩5分以内は4%ほどにとどまり、徒歩10分~20分が中心となっています。

最寄り駅から遠いということは、駅前などに集中しているスーパーなどの生活利便施設も遠くなるということです。高齢になると買い物難民になりかねません。逆に、マンションなら歩いて行ける範囲に生活利便施設がそろっていることが多いでしょう。

マンション全体の平均価格より2,500万円以上安い

第三に、住宅価格が高騰する中でも、コンパクトマンションなら比較的安く手に入れることができます。

民間調査会社の不動産経済研究所によると、首都圏の新築マンション価格は図表1のとおり8,000万円前後まで上昇しています。現役世代でも簡単には手が出せない価格であり、シニアにとってはさらに難しいでしょう。

同研究所の調査では、専有面積30㎡以上50㎡未満のコンパクトマンションの首都圏平均価格は5,000万円台で、マンション全体の平均7,820万円より2,500万円以上安くなっています。これなら将来の収入への不安があるシニア世代でも、多少頑張れば購入できるのではないでしょうか。


住宅ローンの毎月返済額の負担を抑えられる

シニアになると住宅ローンを組みにくくなります。住宅ローンには「完済時年齢が満80歳未満」という条件があるため、50歳なら29年返済が可能ですが、60歳では19年までに限られます。返済期間が短くなると毎月の返済額は増え、借入可能額は減少します。それでも価格水準が比較的低いコンパクトマンションなら購入しやすくなります。

たとえば首都圏で通常の新築マンションを7,000万円借入れで購入すると、金利1.0%・20年返済では毎月の返済額は図表2のとおり32万1,926円になります。固定金利型で金利2.0%になると35万4,118円に増加します。リタイア後は収入減が避けられないため、これはかなり厳しい数字です。

一方、コンパクトマンションで借入額を5,000万円に抑えると、金利1.0%・20年返済で22万9,947円、金利2.0%でも25万2,941円です。さらに自己資金を増やしたり、中古マンションを選んで借入額を減らせば、4,000万円なら18万円台、3,000万円なら13万円台、2,000万円なら9万円台、1,000万円なら4万円台まで下げられます。ここまで減らせれば、年金生活になっても十分返済できるでしょう。

ただし、新築は全体の9分の1程度

以上のようにメリットの多いコンパクトマンションですが、注意点として、物件数がさほど多くないため、希望条件に合う物件が出るまで時間がかかる可能性があります。

図表3は最近10年間の首都圏の新築マンション発売戸数の推移を示しています。新築全体が年間2万3,003戸に対し、コンパクトマンションは2,642戸にとどまり、新築全体の約9分の1に過ぎません。希望エリアが限定される場合は、何年も物件が出てこないこともあります。

そこで注目すべきなのが中古マンションです。中古なら、ほぼいつでもどこでも探すことができ、新築より価格も安くなります。希望エリアに物件がない場合は、仲介会社に希望条件を伝えておくと、物件が出た際に優先的に連絡してもらえます。

早めに信頼できる仲介会社・担当者を見つけて依頼しておくことが、希望するコンパクトマンションを手に入れる近道かもしれません。


  • 本記事の内容は2025年9月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

お話を聞いたのは●山下和之さん(住宅ジャーナリスト)

やました・かずゆき/1952年生まれ。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材・原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)、『はじめてのマンション購入成功させる完全ガイド』(講談社ムック)などの著書がある。
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