都心から少し離れて見つける、手頃でゆとりある価格帯
「都下(23区以外の多摩地区)なら本当にマンションが安く手に入るのだろうか」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。まずは首都圏のエリア別価格から見てみましょう。
不動産経済研究所のデータによると、2026年上半期(2026年1月~6月)における首都圏の新築マンションの平均価格は1億135万円。東京23区に限ってみると1億4,249万円に達しますが、東京都下に目を向けると7,550万円にとどまります。実に23区の半分近い価格帯で手に入る計算です(図表1)。
周辺の3県に比べても、神奈川県の8,346万円より1,000万円近く手頃です。千葉県は船橋駅前の大規模マンションが分譲されて平均価格が急上昇したこともあり、都下の方が1,500万円近くも安い結果になりました。埼玉県の平均よりはやや高めですが、都下という選択肢がリーズナブルであることは確かです。
毎月のローン負担を抑え、日々の暮らしに余白を生む
この傾向は、中古マンションも同様です。東日本不動産流通機構のデータによると、都区部(東京23区)の中古成約価格の平均は7,574万円に対して、多摩(都下)は3,882万円。新築マンションと同じように、都下なら23区の半額ほどの予算感で検討できます(図表2)。
埼玉県や千葉県よりはわずかに上回るものの、神奈川県の4,016万円と比べれば買いやすい水準です。
こうした物件価格の差が、日々の家計にどう響いてくるのか。仮に新築マンションを全額住宅ローン(35年返済)で購入する場合を試算してみましょう。
金利を2%と仮定すると、都下の7,550万円の物件なら毎月25万103円。一方で神奈川県の8,346万円では毎月27万6,471円となり、月々約2万6,000円、年間で約31万円もの差が生まれます。
金利を3%とした場合はさらに顕著です。都下での毎月返済額が29万561円なのに対し、神奈川県では32万1,195円。月額負担の差は3万強、年間では36万円以上の開きが出てきます。
手厚い自治体サポートの魅力
都下に住む魅力は、住居費の安さだけではありません。多くの人口と企業が集まる東京都は財政基盤が強固で、住民向けの支援施策が非常に充実しています。特に子育て世帯に対する施策が充実しており、若い世代のメリットが大きいのです。
たとえば国の制度として「出産育児一時金(50万円)」に加え、東京都では独自に「赤ちゃんファースト」として10万円相当の育児用品・家事支援ポイントを付与。さらに「無痛分娩費用助成」として10万円が助成されます。
また、子どもが18歳になるまで月額5,000円を給付する「018サポート」も東京都ならではの取り組みです。医療費についても18歳まで助成対象となります。周辺県では、県単位で一律に助成される制度はなく、たとえば神奈川県では横浜市、川崎市は高校生まで助成されますが、その他の市町村では助成のない自治体が少なくありません。
さらに、0〜2歳児の保育料無償化も進んでいます。周辺県では「第2子以降から減額」というケースが多い中、第1子から手厚くサポートされる体制が整っているのは、子育て世代にとって非常に心強いポイントです。
限られた供給数だからこそ、時間をかけて納得の物件選びを
とはいえ「東京は物価が高く、生活費がかさむのでは」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうとも限りません。近所のスーパーを使い分けたり買い方を少し工夫したりするだけで、生活費をかなり抑えることができるはずです。
事実、総務省統計局の「家計調査」を見ても、東京都の月間消費支出(35万1,000円)は千葉県(33万6,000円)、神奈川県(33万600円)よりはやや高いものの、埼玉県(35万7,900円)を下回っています。
落ち着いて家計を管理できれば、物価の高さを気にする必要はほとんどありません。住宅費と生活費の双方をトータルで捉えれば、都下はまさに首都圏における「穴場」といってもいいかもしれません。
ただし図表の通り、都下での新築発売戸数や中古の成約件数は、都心部に比べて決して多くはありません。都下に的を絞るなら、じっくりと時間をかけて、幅広い範囲から自分たちの条件に合った物件を探す必要があるでしょう。
- 本記事の内容は2026年11月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
こちらの記事もご覧ください!
東京23区の新築マンション平均価格が1.6億円を突破! これからの時代の住まい選び
マンションに掘り出し物はあるのか? 納得感のある物件の選び方
都心の中古マンション最新事情! 高額物件が集中する都心部に変化が
築40年でも1億円で売れるマンションの条件