なぜ、理想の「掘り出し物」は見つかりにくいのか
タイミングによって非常にお得な価格で条件のいい物件を購入できることもありますが、狙ってできるものではありません。というのも、物件の買いどきは「環境軸」と「自分軸」が影響し合い、常に変化するものだからです(下図)。
「環境軸」は、物件価格をはじめとする数字で表されるデータの部分。客観的な指標になる反面、自分ではコントロールできません。
「自分軸」は、自分自身が物件に求める条件。その条件に合致していれば、納得感のある買い物ができますが、合致していないと後悔が残るでしょう。数値化はできませんが、自分でコントロールできる軸です。
掘り出し物を探そうとすると、自分軸がマトリクスの左側に寄る傾向があります。将来的に価格が上がることを優先し、本当に住みたいエリアや広さなどの条件を後回しにしがちだからです。
想定通りに物件価格が上がれば、左上の「出口あり型」になるため、その物件を売却して新たな住まいを購入できる可能性が出てくるでしょう。
ただ最近は、価格が上がっている物件がある一方、高止まりしている物件や下がり始めている物件も出てきています。「環境軸」の変化は予測しづらいものであり、実際には想定より価格が上がらず、左下の「袋小路型」になるということもあり得るのです。条件面で妥協した後悔を抱えたうえに、物件価格が上がらずに売却もできないとなると、まさに袋小路に入った状態になってしまいます。
そうならないためには、「自分軸」を右側に寄せていくことが大切です。投資対象ではなく、住むことを前提に探すことで、納得感のある物件に出会えるでしょう。
「価格」から「条件」へ自分軸を整える
「自分軸」を右側に寄せるための第一歩は、「価格」ではなく「条件」から物件を探すこと。まずは次の3つの項目で、自分の理想を考えてみましょう。
- エリア
- 広さ(間取り)
- 築年数
設定した条件をもとに物件を探すと、同じような物件でも価格差があることがわかります。それぞれの詳細を見ていくことで、「この立地だから高い」「この設備だから安い」といった理由に気づき、相場観を持つことができるでしょう。
価格と条件の相関が腑に落ちるようになると、納得感のある物件を探しやすくなり、最終的に失敗が少なくなるといえます。
また、自分が住みたいと感じた物件は、ほかの人も同じように感じる可能性が高いので、値崩れしにくいと考えられます。「自分軸」を突き詰めると、「環境軸」にもプラスに働く可能性が出てくるということです。
「人」ではなく「物件」に向き合う
不動産会社に物件を探しに行く際のポイントは、遠慮せずに聞きたいことを聞くこと。受け身にならずに自分から質問や疑問点を投げかけ、情報を引き出すことが大切です。
複数の不動産会社を巡ると、気の合う担当者に出会うことがあるかもしれませんが、重要なのは「人」ではなく「物件」です。“意気投合した人に紹介してもらった物件”ではなく“自分にとって理想の物件”を探す気持ちで臨みましょう。
理想の物件が見つかったら、その売主と直接契約している不動産会社に連絡を取ることをおすすめします。契約している不動産会社の連絡先などは、物件情報に記載されています。
なぜかというと、売主との交渉を経て売却の契約を結んだ不動産会社は、売主の人となりを知っているからです。「値引きを交渉したい」「売主の家族構成が知りたい」といった相談や質問に、応じてもらいやすくなります。
担当者のレスポンスが遅い、返答がはっきりしないなどの理由で不安を感じる場合は、不動産会社に「担当者を変えてほしい」と伝えましょう。不動産会社も本気で購入する意思を感じれば、しっかり対応できる人材を出してくるはずです。
大きな買い物なので、物件探しから購入に至るまで妥協せず、理想的な物件を手に入れてほしいと思います。
- 本記事の内容は2026年10月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
お話を聞いたのは●千日太郎さん
せんにち・たろう/公認会計士、オフィス千日合同会社代表社員。
大学卒業後、大阪の監査法人へ入社。資格や名前を伏せて始めた「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」が評判を呼び、住宅ローン、不動産分野で人気の高いコラムニストとなる。YouTubeでは、公認会計士としての金融商品の分析力と独自のノウハウをもとに、日々寄せられる読者からの相談に的確なアドバイスを行う。著書に『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』、『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』(いずれも日本実業出版社)など。
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