理想の住まいの選び方

東京23区の新築マンション平均価格が1.6億円を突破! これからの時代の住まい選び

2026年6月に東京23区の新築マンションの平均価格が1億6,000万円を超え、過去最高となりました。このような状況のなかで、現実的に購入できる住宅は、どのように探していくといいのでしょうか。LIFULL HOME’S総研フェローの中山登志朗さんに、今後のマンション価格の動向と住まいの選び方についてうかがいました。

目次

新築マンション高騰の要因は「コストプッシュ」

新築マンションについては、今後も価格が上がっていくことが予想されます。最大の理由はコストプッシュです。

世界的なインフレと円安に加え、ナフサショックによって資材の供給がひっ迫していることもあり、資材価格が高騰しています。5年前と比較すると、1.5~2倍の値上がりといわれています。

さらに、2024年4月から運輸業・建設業においても残業の総量規制が始まったことを受けて、人件費が3割前後上がっていることも要因のひとつです。そして、首都圏、特に東京都心の地価が毎年数%ずつ上昇し、物件価格に影響しています。つまり、価格が下がる要素がひとつもないということです。

「中古マンション価格」も新築に比例して上昇傾向

一方で「中古マンションの価格は頭打ちになった」という話もありますが、実際には新築マンション高騰の影響を受けて、中古マンションの価格も上がっています。

頭打ちといわれるのは、2026年3月以降、平均価格が下落に転じたからです。

実は、建築資材の高騰や供給不足によってマンションの着工が見送られるケースが増えており、都心や湾岸エリアの新築の数が減ってきています。そのため、新築の価格をもとに行われる中古のプライシングが難しくなり、同エリアの投機目的で売買されるような1.5億円を超える高額物件の価格が停滞・下落しているといえます。

ただし、住まいとして求められている現実的な価格の中古に関しては、新築価格に引き上げられる形で上昇傾向にあります。高額物件が減っていることで平均価格が押し上げられにくくなり、下落に転じたように見えるというわけです。

もうひとつ、平均価格が下落に転じた理由として考えられるのが、住宅の短期売買に関する課税強化の動き・機運の高まりです。日本政府は投機的な物件の売買を抑制するため、譲渡所得税の税率を引き上げようとしています。

仮に築3年以内の物件の譲渡所得税率が60%、築1年以内だと80%となった場合、短期売買では儲からなくなるため、すでに投機的な売買から手を引くケースが出てきており、数億円規模の物件が市場から減ってきています。そのため、平均価格が押し下げられているのです。

高額の中古の減少によって平均価格が下がっているだけであり、現実的に購入できる価格帯の中古は値上がりし続けているといえます。

「住宅ローン金利」も「物件価格」も上がる非常事態

ここ数年、政策金利が段階的に0.25%ずつ引き上げられているため、住宅ローンの金利も上がっています。一般的には、住宅ローン金利が上がると住宅を購入する人が減るため、物件価格は下がる方向に動きます。

しかし、現在は住宅ローン金利も住宅価格も上昇。なぜかというと、先述したように、コストプッシュによって物件価格が下がりようがないからです。

また、政策金利0.25%程度の上昇であれば、購入者もある程度それを織り込んで購入計画を考えるので「なんとか支払える」という人が多く、物件価格に影響しにくいという側面もあります。

現状、政策金利の引き上げによって物件価格が下がる可能性は、ほぼないと考えられます。ただし、金利上昇ペースが早まれば、この限りではありません。

現在は「資産性」から「住み心地」への発想の転換期

新築も中古も高騰しているなか、現実的な価格で住まいを探すのは難しいもの。

特に都心の新築マンションとなると、千代田区の平均価格が3億5,000万円超。都心6区(千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区、文京区)に広げても平均約2億6,000万円なので、現実的とはいえないでしょう。

一般的な給与水準の方が住まいを探す際には、次の3つを検討する必要が出てきます。

  • 新築から中古へシフトする
  • より狭いものを選ぶ
  • 郊外で物件を探す

特に「郊外化」は重要な視点といえます。LIFULL HOME’Sでは掲載物件への問い合わせ件数をもとに「住みたい街ランキング」を発表しているのですが、2026年の「首都圏版 買って住みたい街」の1位が湯河原町(神奈川県)、2位が八王子市(東京都)、3位が八街市(千葉県)でした。

アンケート調査ではなく問い合わせ件数なので、実際に住むための物件を探している街といえますが、郊外がトップ3を独占したのは調査開始以来初めてです。多くの人が郊外で物件を探していることがうかがえます。

このランキングを受けて湯河原を取材したところ、在来線でも都心まで乗り換えなしで1時間半ほどの立地で、温暖な気候、海の幸も山の幸も豊富、町民価格で温泉に入れるなど、豊かな暮らしが実現できそうな場所でした。

また「新築から中古へ」の視点も合わせ、郊外で中古の戸建てを1,000万~2,000万円程度で購入し、数百万円でリノベーションして住むケースが増えてきています。

自治体によっては、都市部への通勤の交通費を補助する制度や子どもの教育費関連の助成制度などが充実しているところもあるので、住居費以外のコストも抑えられるかもしれません。

物件価格が高騰している今、物件を資産性最優先で判断するのではなく、自分と家族が本当に住みやすい環境はどこなのかという発想に切り替えるタイミングにあるのかもしれません。

【参考】
LIFULL HOME’S総研 新築マンション価格調査2026
https://lifull.com/news/48994/

  • 本記事の内容は2026年10月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

お話を聞いたのは●中山登志朗さん

なかやま・としあき/LIFULL HOME’S総研フェロー。出版社を経て、1998年よりシンクタンクにて不動産・住宅セクターの分析を担当。2014年にHOME’S総研(現・LIFULL HOME’S総研)副所長に就任。不動産市況分析の専門家として、メディアへ出演、寄稿を行うほか、年間多くの不動産市況セミナーで講演する。
https://www.homes.co.jp/souken/

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