2040年には発電電力の3割近くを太陽光発電で
地球温暖化を抑制するためにも、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーへのシフトが世界的な課題になっています。
わが国でも「第7次エネルギー基本計画」で、図表1にあるように、現状、化石燃料を燃やす火力発電が発電電力の7割近くを占めているのを、2040年度には3~4割程度まで減らす計画です。代わって増加が期待されているのが、太陽光発電。現在は発電電力の1割以下にとどまっているのを、2040年度には3割程度まで引き上げたい方針です。
この太陽光発電を中心に、風力、バイオマスなども含めて再生可能エネルギーで発電量の半数程度をまかないたいという計画です。
それが実現できれば、温室効果ガス削減割合が2013年度比で22.9%にとどまっているのを、73%まで高めることができ、国際公約となっている2050年度のカーボンニュートラルの実現に向けて大きく前進できます。
次世代太陽電池のメリット
ペロブスカイト太陽電池には、次のような特徴があります。
➀低コストで生産が可能
材料をフィルムなどに塗布・印刷してつくることができるので、製造工程が少なく、大量生産が可能になり、低価格での供給が可能
➁軽くて柔軟性がある
軽量化が可能で、折り曲げやゆがみに強くなり、屋根や屋上だけではなく、窓や壁などにも設置が可能
➂主要材料を国内で調達可能
主な原料のヨウ素は日本が世界生産の3割を占めており、他国に頼らずに安定して原料を調達可能

実証実験から実用化に向けて本格化
このペロブスカイト太陽電池、現在は実証実験の段階ですが、実用化が進めば、太陽光発電は現在よりもっと身近なものになるのではないでしょうか。
屋根だけではなく、壁や窓への設置も可能で、住居のあらゆる場所での発電が可能になります。それもコスト的には、現在のシリコン太陽電池より安くなりそうなので、さまざまな部位に設置して、発電量も多くなり、光熱費ゼロを実現できるようになるかもしれません。発電量によっては、余剰電力を売電することで、収入を得ることができるようにもなるでしょう。早期の実用化が待たれるところです。
- 本記事の内容は2025年3月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

お話を聞いたのは●山下和之さん(住宅ジャーナリスト)
やました・かずゆき/1952年生まれ。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材・原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)、『はじめてのマンション購入成功させる完全ガイド』(講談社ムック)などの著書がある。
http://yoiie1.sblo.jp/