リノベーション済みならすぐに入居できる
不動産会社などがリノベーションを行ったマンションと、中古マンションを居抜きで購入して自分でリノベーションする場合では、個別にはさまざまな違いがあるものの、大まかに言えば以下のような点が挙げられます。
選択肢が異なる
中古マンションはいつでもどこでも探せますが、リノベーション済み物件は数が少なく、希望するエリアや広さ、間取りの物件が見つからないこともあります。
価格が異なる
リノベ済みマンションには工事費に加えて、不動産会社や販売会社の経費や利益が上乗せされているため、居抜きの中古マンションより価格が高くなりがちです。新築マンション価格を「10」とした場合、中古マンションは6割程度、リノベ済みマンションはその中間の8割程度になることが多いでしょう(図表1参照)。
入居可能時期が異なる
リノベ済みであれば、原則契約後すぐに入居が可能で、打ち合わせの手間もかかりません。一方、自分でリノベーションを行う場合は、打ち合わせから工事完了まで半年~1年かかることもあります。
瑕疵担保責任が異なる
売主が宅地建物取引業者(不動産会社)の場合、法律で2年以上の瑕疵担保責任が義務付けられています。リノベ済みマンションの多くは売主が不動産会社のため、安心です。
ローンの条件が異なる
リノベ済みマンションであれば、購入価格を通常の住宅ローン一本にまとめられますが、自分でリノベを行う場合は、リノベ費用のローン条件が厳しくなることもあります。また、リノベ済みの場合、工事内容を事前に確認するのは難しいことが多いです。さらに、共用部についても管理費の滞納状況や修繕積立金の残高などを事前に確認しておくことが重要です。
割安感があるのは築年数が経過したマンション
自分でするなら複数社から見積もりを取る
実際、リノベーション費用についてのデータは多くありませんが、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「住宅リフォームに関する消費者・事業者に関する実態調査」では、図表3のとおり平均費用は434.2万円で、20~40代では662.6万円となっています。
リフォームは内装や設備中心ですが、間取り変更を伴うリノベーションでは費用が倍近くかかることもあります。
そのため、自分でリノベーションをする場合は、複数の会社から見積もりを取り、工事内容と金額の妥当性を慎重に確認することが必要です。最近では、複数社に一括で見積もり依頼できるサイトも増えているので、こうしたサービスを上手に活用すれば効率よく依頼できます。
予算を超過することも少なくない
当初の予算を慎重に立てないと、実行時に予算をオーバーしてしまうことも少なくありません。図表4によると、全体の約6割は予算通りかそれ以下で収まっていますが、「予算を上回った」「予算を設定していない・不明」と回答した人も一定数います。
最近では定額制サービスもありますが、予算管理に不安がある場合は、予算超過の心配が少ないリノベ済みマンションのほうが安心かもしれません。
いずれにしても、リノベ済みマンションと自分でリノベーションする場合のメリット・デメリットをしっかり比較検討した上で、自分たちに合った選択をしたいものです。
- 本記事の内容は2025年7月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
お話を聞いたのは●山下和之さん(住宅ジャーナリスト)
やました・かずゆき/1952年生まれ。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材・原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)、『はじめてのマンション購入成功させる完全ガイド』(講談社ムック)などの著書がある。
http://yoiie1.sblo.jp/
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