理想の住まいの選び方

希少物件を逃さない! マンション購入の「ものさし」をつくる3つの考え方

マンション売買においては依然として売り手市場が続いており、理想的な物件を手に入れるには「買うかどうか」という判断の早さが鍵を握るといわれています。ポイントとなるのは、判断の基準となる「ものさし」だと語る不動産コンサルタントの後藤一仁さんに、詳しく話を伺いました。

目次

欲しい物件を手に入れるには、即決できる判断力が必要

売り手市場の今、人気物件は瞬く間に売れる一方、そうでない物件は長期間残るという二極化が顕著です。気になる物件に出会った際に、「買うべきなのか、見送るべきなのか」を判断をする目を養うといった意味でも、自分たちの中で購入の基準=ものさしを決めておくことが重要です。

基準がなければ申し込みまでに時間がかかり、結果として優良物件を逃してしまいかねません。つまり、事前に自身での判断のポイントを明確にしておくことが非常に大切で、物件を見てから考えるのでは遅いのです。たとえば、有名校が集まっていたり、再開発によって交通利便性がさらに向上することが見込まれるような資産性に優れたエリアは、何年も前から狙っている人たちもいます。彼らと競争することになった場合、いち早く決断することが勝利へのカギといえるでしょう。

ものさしを考える上で、まず押さえておきたいのは資金計画です。ライフスタイルをできるだけ具体的に描きながら、資産計画を立ててください。その上で、もっとも重要になるのが「何のために買うか」です。目的が明確であればあるほど、成功率は高まるでしょう。

※写真はイメージです。

失敗しにくい「3つの条件」をもとに選択肢を絞る

基本的なものさしのつくり方としては、まずすべての希望条件を挙げたうえで絞り込むことが重要です。もしご夫婦で購入する場合は、双方の合意がなければ後々トラブルのもとになりかねません。条件をすり合わせをして数項目に絞り出し、書き出して共有しておくことをおすすめします。失敗しないためのものさしづくりのベースとなるのは、資産価値の下がりにくい物件条件です。以下では「立地」「専有面積」「築年数」の3つの観点から解説します。

立地

まず気に留めたいのは「立地が先、建物は後」。特に私は地盤を重視しています。海抜や地盤の性質は非常に重要で、災害時の危険度(安全性)を図る資料(※1)を必ず確認しましょう。都心・郊外といった大まかなエリアを絞ったら、資産性や利便性などを加味して、〇〇線の●駅から●駅まで、と具体的に決めていきましょう。

※1 洪水(水害)ハザードマップ、フラッドマップ、液状化マップなど

専有面積

住宅ローン控除や登録免許税軽減の恩恵を受けられる「50平米以上」が一般的に望ましいとされます。この際に注意したいのが面積の捉え方。一般的な不動産サイトで表示される「壁芯(へきしん)面積」は、壁や柱の厚みの半分を含んだ数値ですが、控除対象となるのは「内法(うちのり)面積」で、壁で囲まれた内側のみを測定した数値です。

ただし、予算が限られている場合には、人気エリアなど資産価値が保たれ、安全価値、利用価値のある物件で、他の条件がよければ、50平米未満でも選択肢となることもあります。

築年数

築年数は、原則として2001年以降に完成した物件が一つの指標となります。前年に品確法(※2)が施行され、「10年間の瑕疵担保責任の義務化」および「住宅性能表示制度の義務化」という2つの大きな流れができました。これにより耐震性など住宅の性能を評価された上で建設されるようになり、結果的に住宅の基本性能が高まったとされています。加えて、同年4月には消費者契約法も施行され、マンション購入にも適用されたことで、トラブルが減少傾向にあります。2000年前後に建築された建物は比較的好立地かつ価格も手ごろで、現代のマンションと設備・仕様が大きく変わらない点も特長です。

※2 住宅の品質確保の促進等に関する法律:住宅性能表示制度に沿った評価書が発行され、その性能が証明される

  • 本記事の内容は2025年8月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

お話を聞いたのは●後藤一仁さん

ごとう・かずひと/不動産コンサルタント、株式会社フェスタコーポレーション代表取締役社長。
1965年神奈川県生まれ。大手不動産会社のハウジングアドバイザー、東証一部上場企業連結不動産会社の取締役を経て、2002年に株式会社フェスタコーポレーションを立ち上げ、代表取締役に就任。「不動産を通じて、世の中の一人でも多くの人を幸せにすること」をミッションに掲げ、専門家として、テレビ、雑誌、書籍、ウェブなどあらゆるメディアで活躍中。主な著書に『マンションを買うなら60㎡にしなさい』(ダイヤモンド社)、『中古マンション これからの買い方・売り方』(日本実業出版社)。
https://mbp-japan.com/tokyo/goto/