一定の省エネ性能を満たす中古物件の「借入限度額」「控除期間」が新築並みに
そもそも住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用して住宅を購入・増改築した場合に、年末のローン残高の0.7%を所得税・住民税から控除できる制度です。
今回拡充されたなかで、特に大きな変化を見せたのは、一定の省エネ性能を満たす中古住宅の借入限度額と控除期間です。これまで、住宅ローン減税の対象となる中古住宅の借入限度額は、新築よりも低く設定されていました。控除期間も新築の13年に対して、中古住宅は10年だったのです。しかし、今回の税制改正によって借入限度額が上がり、控除期間も原則13年と、新築住宅並みになりました 。
●2026年以降の住宅ローン減税の借入限度額/控除期間(カッコ内は子育て世帯・若者世帯の借入限度額)
長期優良住宅・低炭素住宅
新築:4,500万円(5,000万円)/13年
中古:3,500万円(4,500万円)/13年
ZEH水準省エネ住宅
新築:3,500万円(4,500万円)/13年
中古:3,500万円(4,500万円)/13年
省エネ基準適合住宅(※)
新築:2,000万円(3,000万円)/13年
中古:2,000万円(3,000万円)/13年
- 2028年以降に建築認定を受ける省エネ基準適合住宅については、適用対象外(登記簿上の建築日付が2028年6月30日までのものは適用対象)。
今回の拡充は市場に大きな影響を与えるでしょう。住宅価格高騰により中古住宅の価格も上がっている今、新築と同水準の住宅ローン減税を受けられるとなると、中古物件購入の後押しになると考えられます。
近年は建築資材の高騰もあり、新築より築浅の中古物件のほうが、質の良い素材が使われているというケースもあります。築5~10年ほどの物件であれば、省エネ性能や設備も新築に見劣りしないので、今後は中古市場が盛り上がるのではないかと思います。
「床面積40平方メートル以上」の物件も減税の対象
もうひとつ、今回の拡充で注目したいのが床面積要件です。
これまでの要件は「50平方メートル以上」でしたが、今後は「40平方メートル以上」に緩和されます(所得1,000万円超の人および子育て世帯等への上乗せ措置利用者の要件は「50平方メートル以上」)。
床面積要件の変化によって、住宅ローン減税の対象となる人が大幅に増えるでしょう。例えば、一人暮らしの人やDINKs(ディンクス)世帯(子どもがいない共働き世帯)が住宅を購入する際、これまでは床面積要件をクリアできず、住宅ローン減税の対象にならないケースがありました。しかし、今後は控除を受けられる可能性が高まるといえます。
住宅購入の決め手は制度ではなく「家族の意向」
住宅ローン減税の延長・拡充は、住宅購入に際して大きなポイントになります。しかし、「拡充されたから、今のうちにマイホームを買おう」と決断するのは、少し違うのではないかと思います。
住宅ローン減税をはじめとする制度は、住宅購入を判断する際にメインに据えるものではなく、購入を決めたうえで「最後に背中を押してくれる要素」だといえるからです。住宅購入の計画を立てるなかで、税制改正によって翌年から控除額が増える、期間が延びるといった可能性が出てきたら、「購入は来年にしよう」などと考えるのはありでしょう。
制度に振り回されすぎると、本当に欲しい物件を逃してしまったり、必要ないのに住宅を購入してしまったりするといった事態になりかねません。制度は年々変化していくので、情報をアップデートしていくことはとても大切です。ただ、情報だけに重きを置くのではなく、自分や家族にとってその住宅は本当に必要なものなのか、今は購入すべきタイミングなのか、しっかり考えて判断しましょう。
- 本記事の内容は2026年2月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
お話を聞いたのは●千日太郎さん
せんにち・たろう/公認会計士、オフィス千日合同会社代表社員。大学卒業後、大阪の監査法人へ入社。資格や名前を伏せて始めた「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」が評判を呼び、住宅ローン、不動産分野で人気の高いコラムニストとなる。YouTubeでは、公認会計士としての金融商品の分析力と独自のノウハウをもとに、日々寄せられる読者からの相談に的確なアドバイスを行う。著書に『家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本』、『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』(いずれも日本実業出版社)など。
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