イタリアワインに魅せられたキッカケは?
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父がイタリアンレストランを経営していたこと、父の友人がイタリアにいたこともあり、イタリアは子どもの頃から身近な国でした。父はイタリア調理師協会スタート時の7人のシェフの一人でしたが、自身はイタリアには行ったことがなかったため、私にイタリア行きを勧めてくれました。そうした経緯で、シエナにある国立外国人大学に留学しました。
シエナ時代の友人はワイン関係の人が多く、「いいワインがあるからぜひ日本に紹介して」とよく言われました。当時、小さなワイナリーはなかなか輸入してもらえなかったんです。「それならば自分で輸入会社をつくろう」と酒税免許を取り、2003年に事業をスタートさせました。2005年に個人事業主となり、2006年に法人化して株式会社MONACAを設立しました。
実は事業スタート後はイタリアのワイナリーで4年ほど修業していました。法人として取引する際には株式が必要だったため、当初は母に社長になってもらいました。また、母は会社員だった兄(青山哲弥さん)を呼び、兄が社長を引き継ぎました。現在は、兄が経理を含めた会社全体の管理を、取締役の私がワイン選びや通関業務などを担当し、営業は二人三脚でやっています。
会社名の「MONACA」(モナカ)に込められた意味
「MONACA」はイタリア語で「修道女」を意味します。酒税免許の取得を悩んでいたとき、ある日本人の僧侶の方に相談し、背中を押してもらったことがありました。そのご縁から女性版の僧侶である「修道女(MONACA)」を会社名にしました。ロゴマークも修道女の姿をモチーフにしています。
「モナカ」という響きは、日本人なら和菓子の最中を思い浮かべて覚えやすいですよね(笑)。イタリア人も同じで、日本のインポーターの名前はなかなか覚えられないと言う彼らも、「MONACA」だけはすぐに覚えてくれました。
どのようにワイン選びをしていますか?
最初は1社からスタートしました。私が修業していたトスカーナ州のワイナリーで、今回おすすめする3本のうちの1つです。ここの生産者があちこち連れて行ってくれたので知り合いがどんどん増え、扱うワイナリーも2社、3社と増えていきました。
現在40社、約300アイテムを取り扱っています。イタリアは20の州がありますので、エリアが重複しないようバランスよく選んでいます。イタリアは州ごとに人の性格が違うと言われ、ワインも州の個性を反映して多種多様です。「すべての産地のワインを飲み尽くそう!」と心掛けていますが、掘っても、掘っても底が見えません。日々勉強の毎日です。
注目が集まるイタリア、おすすめの産地は?
イタリアは全州に強烈なキャラクターがあり、どこか一つに絞るのは難しいほど面白いです。あえて挙げるなら「DOCオルトレポ・パヴェーゼ」。ピエモンテ州との境にあるロンバルディア州の産地で、さまざまなタイプが造られています。知名度が低いため他の輸入元さんは「売れにくい」と言いますが、当社ではとても人気があります。
他にも、フランス寄りのリグーリア州の海岸沿いで栽培される「ピガート種(白)」、カンパーニア州ヴェスヴィオ火山の麓の「カプレットーネ種(白)」、そしてシチリアやサルデーニャなど、どの州、どの県にも地元ならではの品種があり、面白いです。
春にぴったり! おすすめのオススメワイン3選
(左)スパークリングワイン
フランチャコルタ・サテン・リゼルヴァ UG1941+81 2011 – ST(ロンバルディア州)
ロンバルディア州のDOCGフランチャコルタです。「クアドラ」ワイナリーが特別な良い年にのみに造る伝統的瓶内二次発酵のスプマンテで、サテンは、サテン生地を思わせるシルキーでなめらかな泡を特徴としています。2011年は屈指の良年で、傑出したキュベをひとつのタンクに集約させ、瓶内熟成80カ月以上の長い熟成を経て味わいにまとまりがあり、素晴らしいクオリティです。春のイメージを感じるワインなので、これから頑張っていくスタートを祝うのにぴったり。自分へのご褒美としてもおすすめです。ボリュームある味わいで、ちらし寿司、前菜、パスタ、肉、ポテトチップス等々、何にでも合わせられます。オールマイティに寄り添ってくれる魔法の1本です。シャルドネ70%、ピノ・ビアンコ30%のブレンド。9,900円(税込)
(中)白ワイン
ピガートDOCヴェンデミアタルディーヴァ 2022 プンタクレーナ社(リグーリア州)
3番目に輸入したワイナリーです。山の崩れた道の先にある海沿いの断崖絶壁の場所で、昔から当然のように自然にブドウを栽培しています。ブドウ品種はナッティな風味のあるピガート100%。遅摘みしたブドウを使い、特別な年にのみ造ります。海に近いため海のミネラル感があるワインです。瓶の中でゆっくり熟成が進んでいくため、飲んでいくごとにボリューム感が広がり、遅摘みブドウのコクを味わえます。アルコール度数は14.5%ありますが、ワインに透明感があり、身体にスーッと入ってきます。果実味がしっかりして丸みがあり、ジューシーで、ていねいに造られた滋味深い味わいと強いうま味に魅了させられます。春は花冷えで少し寒く感じる時があるので、白ワインは少しコクのあるものがおいしく感じると思います。このワインは、おいしくないとこれまでに一度も言われたことがない、ミラクルワインです。5,720円(税込)
(右)赤ワイン
キャンティ クラッシコ リゼルヴァ “バンデッカ” DOCG 2020 サン・ジョルジョ・ア・ラピ社(トスカーナ州)
私が4年間修業していた、今や家族のようなワイナリーで、キャンティとキャンティ クラッシコの両方を造っています。最初に輸入したのがここです。2020年は暖かい年で、やわらかみのある仕上がりになっています。キャンティ クラッシコには春のイメージがあります。ここの生産者は一番おいしいタイミングで出荷するため、すぐにバランスよくおいしく飲めます。フルボディですが、ただ濃いだけではなく、複雑味があり、グラスによって味わいが違います。キャンティってやっぱり偉大だと思わせてくれる1本です。ブドウ品種はサンジョヴェーゼ 90%、コロリーノ・トスカーノ10%。24カ月の樽熟成後、6カ月瓶内熟成。合わせる料理は、やっぱり肉。牛カツ、ステーキ、シンプルに焼いた牛肉やBBQ、イノシシなどもオススメ。重めのミートソース、ラザニアもいいですね。料理との相性はいつも考えます。チョコをひとかけ摘まんだり、レーズンやカカオニブともいいですね。6,160円(税込)
今後の夢とワイン選びへの想い
今後は、ノンアルコールワインを広めていきたいです。ヨーロッパでは低アルコールのトレンドがあり、アルコール離れが始まっています。さまざまな理由でノンアルドリンクを選ぼうとする時、ビールはたくさんあるのに、ワインはまだ少ないですよね。ワインでも多種なノンアルが始まってきていますので、ノンアルワインを身近なものにしていきたいです。
また、昨今の自然派ワインのブームについても、「本来の味を楽しむこと」を忘れてはいけないと感じています。日本の輸入元の数は多いですが、本当に良いものを選び、自分の中で線を引き、見分ける力が大事だと思っています。自然派ワインを好む方、良いものを見極めて何年も飲み続ける方、若い世代の感覚、先輩方の好むクラシックなもの、どのお客様にも支持されるよう、ワインを身近に飲んでもらえるよう、自分の感覚で選び、紹介していくのが自分の仕事だと思っています。チャレンジは常に、そして前向きに、です。
【取材後記】
輸入会社を立ち上げ、この4月で20年。イタリアへのディープな愛と、自分の舌が納得するまで選び抜く妥協のない姿勢が、青山さんが消費者から長く支持されてきた所以なのだと感じさせてくれたインタビューでした。ありがとうございました!
お話を聞いたのは●青山倫子さん
あおやま・みちこ/東京都出身。明治大学商学部卒業後、国立外国人大学(伊シエナ)を卒業。トスカーナ州のサン・ジョルジョ・ア・ラピ社で4年間の修業を経て、2003年に輸入事業を開始。2006年に株式会社MONACAを設立。
https://www.web-monaca.com/
聞き手●綿引まゆみ(ワインジャーナリスト) 写真●花井智子
- 本記事の内容は2026年4月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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