ハプスブルク家の皇帝を喜ばせてきた味
『DEMEL』の歴史は、1786年、オーストリア・ウィーンの皇帝や王侯貴族たちに召しかかえられていた“ツッカーベッカー”と呼ばれる菓子職人のひとりであるルートヴィッヒ・デーネが王宮劇場の傍で小さな菓子店を始めたことから幕を開ける。
1799年、ルートヴィッヒが亡くなると、息子が店を継ぐも、政界へ進出すべく当時の職人長であったクリストフ・デメルに店を譲り渡した。つまり『DEMEL』とは、彼の名を冠して生まれた店名なのだ。
秀逸なおいしさを誇るそのお菓子は、オーストリア皇帝としてヨーロッパに君臨してきたハプスブルク家の皇帝や王侯貴族たちを喜ばせ、1799年にはウィーン王宮御用達菓子司に指定された。ブランドマークに由緒あるハプスブルク家の紋章が使われているのは、その格式と歴史の表れのひとつだろう。
そして、1988年に『デメル・ジャパン』が設立。代名詞ともいえるチョコレートケーキ「ザッハトルテ」をはじめ、ウィーン菓子のおいしさを日本に伝えている。

黄金色に焼き上げた、バターたっぷりのふんわり食感

紹介するのは、国内で複数の店舗を展開しているなかでも銀座松屋本店でしか販売していない「アーモンドバターケーキ」。箱を開けた瞬間から、香ばしく甘い香りが満ちてくる。
おもな材料は、卵、砂糖、バター、小麦粉、アーモンドパウダー、ハチミツと非常にシンプル。フレッシュなバターをたっぷり使っているのに、口に含んだ印象は驚くほど軽い。そして、豊かなバターのコクと旨味、アーモンドの香りで口の中がいっぱいになる。
広報担当の宗藤わか奈さんは「油脂の多い生地をふわっと焼き上げるためにバターの温度、状態を確認しながら丁寧に仕込んでいます」と言う。そのおいしさゆえに、いただき物で味わった後に自ら買いに足を運ぶ人も少なくない。
シェアできるホールタイプのため、持ち寄りのホームパーティーなどにも向くし、賞味期限が約2週間と日持ちするので贈られた方が好きなタイミングで食べられるのもうれしい。


『DEMEL』松屋銀座本店
東京都中央区銀座 3-6-1 松屋銀座地下1F
TEL:03-3561-4565
営業時間:11時~20時、日曜・連休最終日は11時~19時30分 ※百貨店に準じる
休:百貨店に準じる
取材・文●沼 由美子 撮影●オカダ タカオ (2024年9月掲載)
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