水やりは1週間に一度で十分

リモートワークが普及してから、インテリアを彩る植物の人気が高まりつつあります。ただ、一般的な観葉植物はそれなりに場所を取るという声も少なくありません。その点、小さなコケは置き場所に困ることはなく、リビングの片隅やリモートワークで使うデスク周り、オフィスの一角に飾って、家事や仕事の合間にコケを愛でて癒やされている方が多いようです。
中でも、小さな容器でコケを育てる「苔テラリウム」は、水やりも1週間に1度程度で十分という手軽さが受けています。たとえば、一人暮らしの方が出張や旅行で1~2週間ほど家を空けることになっても、「苔テラリウム」なら出かけるに水やりをしておけば、容器の中でコケが好む環境を保つことができるので、枯れる心配はありません。
気を付けたいのは、ある程度の光を必要とするということ。コケは日当たりの悪いジメジメした場所に生えているイメージがあるかもしれませんが、コケも光合成して育つ植物です。窓のない玄関のような光が入らない場所に「苔テラリウム」を置くときは、LED照明を活用することも可能です。コケは強い光を必要としないので、仕事用のデスクライトでも十分ですが、1日に8~10時間ほどの照射を要します。それより短いとコケが成長しませんし、長時間当てすぎるとコケにとってストレスになり、痛む原因となってしまうので注意が必要です。
作成キットで自作・栽培もできる
「苔テラリウム」の自作にチャレンジしたいけれど、作り方がわからないという人は、作成キットを使って自作・栽培することもできます。コケや容器、土など、基本的な材料と説明書などがセットされているので初心者の人でも簡単に作成することができます。
世界にひとつだけの「苔テラリウム」を作りたいという人は、基本的な材料と道具を揃えて自作・栽培する方法もありますし、自作する時間がない人や、細かい作業が苦手という人でも、すでに作品として完成しているものを購入して栽培することもできます。
2つのポイントをおさえて、オリジナルを楽しむ!
「苔テラリウム」を作るときは、以下の2点に注意してください。
①野外に生えているコケや、庭の土を使うのはNG
道路わきなどに生えているコケと庭の土を使ってテラリウムを作成しても、小さな虫や虫の卵が隠れていて失敗してしまうことがほとんど。「苔テラリウム」を作る場合は、専門店で販売されている洗浄済みの栽培苔とコケの生育に適した土の使用を推奨しています。たとえば川辺などで見つけた石を使いたいときは、やはり土がついているとトラブルの元となるので、しっかり洗浄してから容器に入れることを心がけてください。
②まずは、蓋付きで直径10~15センチくらいの「器」から
蓋なしの容器では乾燥が防げず、水やりも気を配らなければなりません。その点、蓋つきのキャニスターであれば2~3週間に1度の水やりでも、コケの好む湿度を保つことができます。容器は100円ショップなどで入手したお好みのものも使えますし、素材は問いません。ただ、アクリル製の容器は土を入れたときなどにすり傷がつきやすく、見栄えが良く扱いやすいのはガラス製の容器です。光を透過する無色透明のものだと、コケの色が確認しやすいでしょう。ピンセットを使った細かい作業も必要なので、初心者の方は直径10~15センチくらいの器をおすすめしています。
手軽にインテリアに緑を取り入れられる「苔テラリウム」。間近で成長を見守るだけではなく、容器を変えたり、テーマを設けて作ったり、オリジナルのものを作れば、楽しみ方の幅は広がります。



詳しい作り方や育て方は、書籍をご覧になるのも手ですし、いまはインターネットが便利です。YouTubeなら動画を見ながら作成・栽培できて、ほとんど失敗することはありません。ご自身に合った方法で「苔テラリウム」にチャレンジしてみてください。

お話を聞いたのは●石河 英作さん
いしこ・ひでさく/苔クリエイター。苔テラリウム専門ブランド道草michikusa 代表を務める。苔テラリウム専門ブランド道草michikusaを立ち上げ、コケの企画商品販売やYouTube【苔テラリウム専門─道草ちゃんねる─】にて苔テラリウムの管理方法について発信。嫌われ者のゼニゴケを愛でる対象にすることを目指した活動や、コケを美味しく食べることを追及している「コケを食べる会」、「五感で楽しむコケイベント」などコケの幅広い魅力を発信している。著書に『はじめての苔インテリア』『魅せる苔テラリウムの作り方』(ともに家の光協会)など。
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