馬と出逢って、たった30分で、私の世界が変わった広がった

都心から車で1時間のドライブ。圏央自動車道「牛久・阿見I.C.」から10分程の緑豊かな木々に囲まれた場所にあるのが「乗馬クラブクレイン竜ヶ崎」。
平日にも関わらず、初心者から何年も通っているというベテランまで中高年の女性たちを中心に、多くの人で乗馬クラブは賑わっていた。この人気のクラブで「乗馬体験レッスン」にトライしてみた。
馬に乗った経験は観光牧場程度で、ほぼ未体験。ドキドキしながらヘルメットやエアバッグベスト、乗馬ブーツをレンタルして、いざ、馬たちがいる厩舎へ。
ブラッシングして名前を呼んでいるうちに、「私、この子のこと、けっこう好きかも」

初心者向けのベテラン馬「シルク」に乗せてもらうことに。お父さんは有名な競走馬のシルクジャスティスで、まさに血統書付きのサラブレッド。間近で見てみると、その体躯は美しく、栗色の毛並みは未だ冬毛が残り、もこもこしていた。
乗馬の魅力は、なんと言っても馬という動物との触れ合いである。乗る前に、軽くブラッシングをしてみる。「シルク、今日はヨロシクね」と声をかけ最初のコミニケーションを取ってみたのだが、ベテランの風格?いやいや、シルク眠そうだよね・・・今、立ったまま寝てたよね・・・可愛い♡。その大きさに正直、最初は少し緊張したが、一瞬で虜になってしまった。そして馬場(練習する場所)まで一緒に引張って歩く。
乗ってみたら、想像以上に“運動”だった!
「本来、馬は賢い動物なので、相手が気に入らないと『歩け』『走れ』という号令にも従ってくれません。実は眠そうにしていてもブラッシングの時からシルクは信頼できるパートナーなのか見ていたんですよ」とインストラクターの伊賀ちはるさん。
伊賀さんが乗り方、馬上での姿勢、合図の出し方、褒め方などを実際にシルクに騎乗して目の前で丁寧に見本を見せてくれる。さっそうと走るシーンには思わず憧れのまなざしに。そして、いよいよ私もシルクの背中へ。台の上から乗るので、大人はもちろん子どもでも難しくはなさそうだ。しかし、いざ乗ってみると高さは160センチ以上、自分の座高も加えると視線の高さは2メートル以上にもなるので、見える景色はガラリと変わる。
姿勢はピンとまっすぐ!まずは馬をゆっくりと歩かせるところから。自分の両足で軽く馬のお腹を叩くと歩き出し、手綱を引くと止まる。伊賀さんによると「馬は人間で言うと肩車をしているような状態なので、なるべく重心がまっすぐかかるようにし、馬の負担を減らしてあげること」がポイントだとか。腹筋を使って、うつむかないようにしつつ、視線は遠くの景色を見て。足もまっすぐに伸ばすので、この乗馬姿勢をキープすると、筋肉に負荷がかかる。乗馬は、全身運動かつ有酸素運動だとカラダがジワジワと感じはじめる。
次のステップは「速歩(はやあし)」と呼ばれるスキップ。馬が小刻みに走り出すと背中も揺れるので、集中して乗っていなければならない。サークルでレッスンを受けているので、それなりの重力がかかり、バランス感覚が問われる。
「馬の動きに合わせてお尻を浮かせられるようになると、まさに“人馬一体”となって軽快に走れますよ」と伊賀さん。1回目のレッスンで馬と合う人は1割もいないが、数回乗るとコツがわかってくるのだとか。しかも、これを練習して海辺を走ることを目標にしている人も多いと聞いた。
「ちょっと気になる」人は、全員向いてる

乗馬って、特別な人がやるものだと思っていた。けれど実際に体験してみると、年齢も性別も関係なく、誰でも“馬と一緒にいる時間”を楽しめるんだと知った。実際、クラブには学生さんもいれば主婦の方も会社員やフリーランスも通っているみたい。みんな馬を“推し”のようにかわいがっているのが印象的。
それにしてもシルクが、ちゃんと言うことを聞いてくれたことに感動。ありがとう!
シルクの首筋をパンパンたたいて心から感謝を伝えた。今度は大好物だというニンジンを絶対に持ってこよう。
馬と向き合う時間が、自分と向き合う時間に
「乗馬クラブ クレイン竜ヶ崎」の会員は約1,200人ほど。その約70%が女性だ。首都圏全域から通ってきている人も多く、乗馬レッスンが終わった後も、馬との時間をゆっくりと過ごしている。
「レッスンが終わっても、クラブの人たちはすぐには帰りません。馬に話しかけたり、馬のお世話をしたり、のんびり過ごしています。「この子、今日はご機嫌だったな」とか「新しい仲間が来たよ」とか。スマホもSNSも置いておいて、ただ馬と過ごす時間に癒されています。馬に乗ってカラダを整え、馬にふれてココロを整える。乗馬クラブが、馬との時間が、かけがえのない安心できる場所になっているんだと思います。」(伊賀さん)
確かに時間がゆっくりと流れていく、この場所で、吸い込まれそうな深い馬の瞳を見ていると、俗世間の憂さを忘れられそうな気がした。
馬という特別な動物と過ごす贅沢な時間。人生を豊かにする新しい趣味を求めるなら、乗馬はうってつけの選択肢になるだろう。

全国展開する乗馬クラブクレイングループ
引退競走馬を中心にたくさんの馬たちが第2の馬生を過ごしている。
全くの初心者でも安心して楽しめる体験乗馬が人気。
海や山へのトレッキングを目指して練習に来る方、何年もクラブに通い障害馬術、馬場馬術といった競技を楽しんでいる方も多い。最近は長距離を走る馬のマラソン「エンデュランス」の参加者が増えている。まずは、お近くのクレインを探して体験乗馬に、是非ご参加ください。
- 本記事の内容は2025年5月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。