理想の空間づくり

冬は暖かく、夏は涼しい! 「先進的窓リノベ2026事業」で理想の空間を

健やかな暮らしのベースとなるのは、冬は暖かく、夏は涼しい、そんな心地よい部屋の温度ではないでしょうか。政府が取り組む住宅の省エネ化のなかでもうれしい制度が「先進的窓リノベ2026事業」。これからのより良い住まいづくりについて、住宅ジャーナリストの山本久美子さんが解説します。

目次

国が本気で取り組む住宅の省エネ化

政府は「2050年までに、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする)の実現を目指す」と宣言しています。その一環として、住宅に関する省エネ化を推進しています。

住宅の省エネ化のために、新築する住宅と既存の住宅のそれぞれで目標が設けられていますが、その一方で、費用面を軽減するために減税や補助金などが用意されています。

新築については、住宅で消費するエネルギーをプラスマイナスでゼロにする「ZEH(ゼッチ)化」などを推進しています。一方、既存の住宅を省エネ化するためには、主に次のような改修を求めています。  

  1. 住宅の構造部分(外壁や屋根・天井・床)の断熱性を高める
  2. 住宅の開口部(窓や玄関ドアなど)の断熱性を高める
  3. エネルギーを効率よく使うエコ住宅設備を設置する

政府は既存住宅の省エネ改修を推進するため、2023年度からは環境省・経済産業省・国土交通省の3省が連携し、ワンストップで補助金の申請ができる「住宅省エネキャンペーン」を展開しています。年度ごとにルールが少し変わりますが、2026年度もこのキャンペーンが実施されます。

住宅省エネ2026キャンペーンの3つの補助事業

「住宅省エネキャンペーン」で、個人が対象となる補助金の事業は3つあります。  

  • 先進的窓リノベ2026事業(開口部の断熱改修)
  • 給湯省エネ2026事業(高効率給湯器の設置)
  • みらいエコ住宅2026事業(住宅の構造部分の断熱改修・開口部の断熱改修・エコ住宅設備の設置等)

このなかで最も使い勝手がよく、省エネ効果を実感できるのが「先進的窓リノベ2026事業」でしょう。「みらいエコ住宅2026事業」は住宅の構造部分の断熱改修を含む大がかりな工事になりますが、最大の補助額は戸当たり100万円です。一方、「先進的窓リノベ2026事業」は窓の改修だけで補助額の上限が戸当たり100万円ですから、工事が簡単で、補助額も多いというメリットがあります。

また、住宅では開口部からの熱の出入りが最も大きくなります。冬に住宅内で暖房した熱が開口部から消失する割合は58%、夏に外気の熱が冷房時の住宅内に入る割合は73%(住宅省エネ2026キャンペーン公式サイトより)というデータもあり、省エネ化を実感しやすいのもメリットです。

さらに、開口部の断熱改修は冷暖房機器の効果が高まるので経済的なだけでなく、室温が安定してヒートショックのリスクを減らしたり、結露の発生を抑えたりといったさまざまなメリットもあります。

「先進的窓リノベ2026事業」とは?

「先進的窓リノベ2026事業」について、詳しく説明していきましょう。日本の住宅の窓は、アルミ製の窓枠に単層(1枚)ガラスという組み合わせが広く普及していました。この窓を熱伝導率の低い樹脂製の窓枠に変えたり、複層(2枚以上)ガラスに交換したりすることで、窓の省エネ性能を引き上げるのが「窓リノベ」です。

「窓リノベ」の方法としては、既存の窓のガラスだけを複層ガラスなどに交換する「ガラス交換」や、既存の窓の室内側にもう一つ窓を設置して二重にする「内窓設置」、既存の窓を窓枠ごと交換する「外窓交換」があります。また、窓リノベと同時に行う場合に、玄関や勝手口のドアの交換も補助金の対象になります。

出典:「先進的窓リノベ2026事業の概要」より転載
https://www.env.go.jp/content/000367224.pdf

補助額は、「工事内容」(ガラス交換や内窓設置など)ごとに「性能のグレード」と「大きさ」、「住宅の種類」(戸建住宅や低層マンション、中高層マンションなど)によって単価が定められています。

たとえば、中高層マンションで、サイズ大(ガラス面積1.4㎡以上2.0㎡未満)、最高級グレードSSのガラスに交換した場合、1枚当たりの補助額は5万7,000円。4枚交換すれば×4で22万8,000円の補助額…というように、1カ所当たりの単価を積み上げた総額が補助額となります。ただし、補助額の上限は100万円までです。

なお、窓リノベで使用する部材は、一定の省エネ性能をもつ「対象製品」であることが条件となります。

窓リノベの補助金を利用する際の注意点は?

補助額が5万円以下の場合は補助事業の対象外になり、他の補助事業と併用できるものとでないものがあったりします。このように、補助金の対象となる工事については、さまざまな条件が付いています。

こうした条件を住宅の所有者個人がすべて判断するのは難しいため、事前に登録した「窓リノベ事業者」が代わって補助金の申請などを行い、交付された補助金を工事費用に充当する(工事代金から補助額を差し引く、支払い後に補助額をキャッシュバックする)流れになっています。

そのため、補助金を利用したいなら、必ず「窓リノベ事業者」に工事を依頼すること、事業者と「工事請負契約」を結ぶことの2点が最大の注意点です。窓リノベ事業者ならば、申請のスケジュールや段取り、対象となる工事内容などの詳細を把握しているはずなので、細かい条件についてはその事業者に確認すればよいのです。

なお、窓リノベ事業者は、「先進的窓リノベ2026事業」の公式サイト内の「登録事業者の検索」で検索することができます。

この補助事業の申請受付は2026年12月31日までですが、申請累積額が予算枠に達した時点で期間中でも受付が終了します。事業者まかせにしないで、自身でも予算の消化状況などをチェックするとよいでしょう。

失敗しないための事業者選びのポイント

補助金を的確に受け取るためには、工事を依頼する事業者選びがポイントになります。窓の断熱改修だけを行うなら、「先進的窓リノベ2026事業」について詳しい事業者でもよいでしょうが、他の断熱改修も行うなら、他の補助金が利用できるか、併用可能か、市や区の自治体の補助金で利用できるものはあるかなど、幅広い知識を求めたいところです。

そこでお勧めしたいのは、複数の事業者に見積もりを依頼する「相見積もり」です。見積もり金額だけを比較するのではなく、どういった知識を有しているか、工事に関して適切な助言があるかなどを対面で話し合って、信頼できる事業者を選ぶことが大切です。

事業者すべてが広範な知識を有しているとは限りませんし、補助金はもちろん、本当に効果的な工事かどうかなどの適切な助言ができるかどうかもさまざまです。事業者を比較することで、見えてくる部分もあるはずです。

窓リノベは数日の工事で終わりますが、その間は窓から風が入る状態になります。真冬や真夏には避けたい工事ですから、これからの時期に工事を検討するとよいでしょう。

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