1.なぜズレる? 家族間で重視するポイントの違い
人によって異なる「家へのこだわり」
一般的な傾向として、家づくりやリフォームで重視することは人によって異なります。
ある調査では、インテリアの美しさや家族のコミュニケーションがとりやすい間取りなど、見た目や暮らしやすさを重視する人が多い一方で、安全性能や設備のスペック、コストパフォーマンスを重視する人もいます。
特に、日常的にその場所を使う頻度が高い方ほど、使い勝手の細部にこだわる傾向があります。例えば、料理を主に担当する人にとっては、キッチンの動線や収納の小さな違いが日々の暮らしに影響を与えますので、細部までこだわりたいと考える人が多く見られます。しかし料理をあまりしない人にとってはピンとこないことも多いことでしょう。
またお風呂に入るのが大好き、毎日の癒しの場になっている人は、浴室の居心地やデザインにこだわりたいと考える一方、掃除を主に担っている人にとっては、掃除のしやすさが第1と考えるのは当然ともいえるでしょう。
※本記事では説明の便宜上、一般的な傾向や調査データに基づいた例を示していますが、実際には各家庭で役割分担は異なります。どちらがどの役割を担うかは家庭によってさまざまであり、ここで示すパターンが逆の場合も多くあります。
典型的な意見の対立パターン
ケース1:キッチンvs.浴室の予算配分
キッチン重視派:「毎日快適に炊事ができるよう、機能も環境もしっかり整えるよう予算を掛けたい」
浴室重視派:「毎日の疲れをいやす大切な場所なので、思い切って予算を掛けたい」
ケース2:キッチンリフォーム
コスト重視派:「余計な設備は不要、予算を抑えたい」
快適性重視派:「毎日使うから、機能性はもちろんデザインにもこだわりたい」
ケース3:浴室リフォーム
機能重視派:「掃除のしやすさと省エネ性能が大事、デザインは二の次」
生活の質重視派:「疲れを癒す場所。照明やデザインにもこだわってリラックスできる空間にしたい」
ケース4:住まいに対する価値観の違いによるリフォーム予算配分
パートナーA:「子どもの教育費を優先したいから、リフォームは必要最低限に」
パートナーB:「毎日の生活の質が上がるなら、住まいに多少予算をかけたい」
なぜ意見が分かれるのか
意見の違いは、主に以下の要因から生まれます。
①その場所との関わり方の違い
毎日使う人と、時々しか使わない人では、不便さの実感が異なります。
②優先する価値観の違い
初期コストを重視するか、長期的な快適性や家事効率を重視するか。住まいそのものに対する価値観の違いもあります。
③現状への不満度の違い
ある人にとっては「限界」でも、別の人には「まだ使える」と感じることも。
重要なのは、お互いに違う視点を持って考えているという前提を理解することです。それぞれの視点を理解していれば、意見が分かれた際にも「この場所は○○さんが主に使うから、○○さんの意見を優先させる」など、折り合いをつけやすくなります。
2.家族会議を成功させるための3ステップ
大切なことは家族間でリフォームの優先順位をしっかりと決めておくこと。そのためには充分な話し合いが必要です。今傷んでいたり、不便を感じていて、リフォームをしなければいけない場所はどこなのか。リフォームすることでどのような生活にしたいのか。リフォームをすることで、毎日の生活が具体的にどう変わるのか。そこには癒しや安らぎといった精神面での検討も大切になります。具体的に話し合ってより良いリフォームの実現を目指しましょう。
ステップ1:現状の不満点を全員で洗い出す
批判や否定はせず、すべての意見を書き出します。キッチンの収納不足、浴室の寒さ、トイレの使いにくさなど、日々感じている不便さを率直に共有しましょう。
ステップ2:希望を「必須」「できれば」「余裕があれば」に分類する
まずはお互いの意見を紙に書き出してみましょう。話し合うべきことが明確になります。「必須」は安全性や衛生面の問題、「できれば」は家事効率の向上、「余裕があれば」はデザインやオプション機能といった具合に分類します。
ステップ3:優先順位と予算配分を決める
総予算の上限、各場所への配分、譲れないポイントと妥協できるポイントを明確にします。意見が分かれた時の判断基準も事前に決めておきましょう。
3.意見が対立した時の5つの解決テクニック
①使用頻度で判断する
「妻が主に使うところだから妻の意見を優先させる」という考え方です。キッチンは料理する人、書斎は使う人の意見を重視することで、納得感が得られます。
②交換条件で合意する
お互いが歩み寄れるポイントや妥協点を探してみましょう。例えば「キッチンはよく私が使うからこの希望は通してほしいけど、ベランダはあなたの希望通りつけてもいいよ」など交換条件もありです。
③第三者(プロ)の意見を聞く
意見が分かれたときには、プロに意見を聞くことも大切です。どこに費用を掛けると満足度が上がるかといったことや、折衷案を提案してもらえることもあります。住宅のプロであればさまざまな経験や知識を持っていますから、どこを重視すべきか、もしくは意見のバランスを取るにはどうすればいいか、ということもアドバイスできるのです。
④長期的なコストで考える
初期費用だけでなく、維持費、光熱費、家事にかかる時間、耐久性などの価値も含めて判断します。データで判断材料を増やすことで、感情論から脱却できます。
⑤選択肢を絞り込む
選択肢が多い場合は、いっそのこと限定してしまいましょう。色で迷っているなら、例えば担当者に人気カラーを3つほど選んでもらって、「ABCどの色が好き?」と限定して検討するようにすると悩む時間も減ります。
4.よくある対立パターンと妥協点の見つけ方
実際のリフォームでは、以下のようなパターンで意見が分かれることが多くなっています。
パターン1:予算の考え方の違い
「予算を抑えたい」vs「機能にこだわりたい」という対立には、使用頻度の高い箇所や生活への影響の大きい箇所に予算を配分し、グレードを使い分けることで解決できます。
パターン2:デザインの好みの違い
「シンプル派」vs「おしゃれ派」の対立には、お互いが許容できるバランスを探ることが有効です。それぞれが大事にしている場所は相手の好みに合わせるといった折衷案も。
パターン3:緊急度の認識の違い
「今すぐ必要」vs「まだ使える」という対立には、プロの診断で客観的な判断材料を得ることで、感情ではなく事実に基づいた判断ができます。
まとめ
水まわりリフォームで家族の意見が合わないのは自然なこと。重要なのは、お互いの視点を理解し、納得できる答えを一緒に見つけることです。家族会議で優先順位を明確にし、5つの解決テクニックを活用することで、全員が満足できるリフォームを実現しましょう。
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監修:一級建築士 尾間紫
- 本記事の内容は2025年11月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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