犯罪者に狙われやすい戸建ての特徴
警察庁の犯罪認知件数データによると、令和5年の侵入窃盗は約1万8千件、侵入強盗は414件となっており、前年より増加しています。中でも近年目立つのが、SNSなどで集められた実行者が犯罪を繰り返す匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)による強盗事件です。
トクリュウのような組織的犯罪集団は、事前に綿密な下見をして「侵入しやすい+逃げやすい」家をターゲットに定め、犯行に及びます。ターゲットになりやすい家は、主に以下のような特徴があります。
- ガラス破りのしやすい単板ガラスが入った勝手口や窓がある
- 防犯カメラやカメラ付きインターホンがない
- ブロック塀や低木で見通しが悪く、死角が多い
- 2階へ侵入しやすい足場がある
- 逃走しやすい角地に面している
上記に加え、高級車を持っているなど資産があることがわかりやすい家や、近所付き合いが薄く、近隣の目が届きにくい家などはより狙われやすいといえるでしょう。
リフォームのヒントは「防犯対策の4大鉄則」

強盗や空き巣に狙われにくい家にするために、まず知っておきたいのが「防犯対策の4大鉄則」です。
・「人の目」の防犯対策
犯罪者は人の目を最も嫌がるため、防犯カメラなど人の目があることを意識させるような対策をする。
・「音」の防犯対策
犯罪者は侵入に気づかれる音を気にするため、侵入を感知し音で威嚇・通報するような対策をする。
・「時間」の防犯対策
警察庁のデータでは、侵入に5分以上かかると7割、10分以上で9割が犯行をあきらめるとされている。そのため、窓やドアを強化するなど侵入に時間のかかる対策をする。
・「光」の防犯対策
光があると侵入に気づかれやすいため、センサーライトなど光で威嚇・発見できるような対策をする。
【人の目・光】の防犯対策ができるリフォーム
- 防犯カメラの設置
- 人の動きを感知するセンサーライトの設置
- カメラ付きインターホンの設置
- ブロック塀などをスリット型フェンスにするなど敷地内の見通しをよくする
強盗に特化した防犯対策としては、「パニックルーム」の設置もおすすめです。屋内に強盗が侵入した際に家族で緊急避難できるシェルターのことで、書斎など既存の部屋のドアを頑丈なものに取り替え、鍵を取り付けるといったリフォームをすれば簡易型のパニックルームとなります。
【音・時間】の防犯対策ができるリフォーム
- 窓やドアに補助錠を取り付けて、ダブル・トリプルロックできるようにする
- CP認定の錠前、防犯ガラスへの交換
- CP認定の防犯フィルムを全面に貼る
- CP認定の防犯面格子、窓シャッターの設置
- ドア枠にガードプレートを取り付ける
- 侵入などを感知して警告音を発する防犯ブザーの設置
- 歩くと音が鳴る防犯砂利を敷く
「CP認定」とは、官民合同会議の試験で防犯性の高い建物部品と認められている製品です。防犯リフォームの際には、CPマークのついた製品を選ぶようにしましょう。
信頼性の高いリフォーム業者への依頼はマスト

防犯リフォームを行う際は、大手のハウスメーカーや建設業許可など公的な資格・登録のあるリフォーム業者など、防犯リフォームの知識と実績がある業者に依頼しましょう。リフォーム業者を装って犯罪の下見をするケースもあるので、値段だけで業者を決めるのは禁物です。
どこから手をつけていいかわからない場合は、総合防犯設備士にコンサルティングを依頼すると良いでしょう。総合防犯設備士は防犯設備のエキスパートといえる資格であり、個々の家に合わせた防犯リフォームを提案してもらうことができます。
また、戸建て住宅で起きる空き巣や強盗の半数近くが、無施錠の玄関や勝手口、窓から侵入しています。「防犯リフォームしたから安心」と油断せず、自分たちの防犯意識を高めることも大切です。防犯リフォームと合わせて、戸締りを徹底する、個人情報の記載されている書類などをそのまま捨てない、SNS・アンケート・名簿などでご家族の個人情報を流失させない、近隣のコミュニティを強化するといったことも心がけましょう。
- 本記事の内容は2025年1月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

お話を聞いたのは●新井 富美男さん
あらい・ふみお/アルファセキュリティ株式会社代表取締役。総合防犯設備士として、防犯対策番組への出演・監修や警察本部の防犯対策講習会等の講演を通し、社会のセキュリティ向上を目指して活動。クライアントの犯罪被害リスクに応じた、オーダーメイドの総合的な防犯設備・セキュリティシステム構築の実績を持つ。
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