理想の住まいの選び方

納得のいく着地点を見つけるには?「セカンドベスト」の物件選び

物件価格の高騰でマイホームを諦めていませんか。住宅評論家の櫻井幸雄さんが、資産性に縛られすぎず、納得感と満足度を両立させる「セカンドベスト」の選び方をアドバイスします。

目次

「ベスト」にこだわらずに満足できるマイホーム探し

マイホームを買いたいと考えるとき、重視すべきポイントは複数ある。そのなかでも、近年は「将来、値上がりしそうな場所」を第一条件とする人が増えた。マイホームは資産性が大事という考え方で、「値下がりするような場所の家は買うべきではない」という極端な意見まで飛び出すようになっている。

値上がりの確実性を重視すれば、都心はベストな場所となる。郊外でも駅に近い場所は、そのエリアのベスト立地といえるだろう。その結果、都心や郊外の駅近物件は地価やマンション価格が大幅に上昇した。資産性にこだわると、マイホームが買えない。でも、安いだけの場所でマイホームを買いたくない――。そんなジレンマを感じる人が増えている。

「ベスト」に執着せず、それでも満足できるマイホーム選びはどうしたら実現するのか。「セカンドベスト」のマイホーム探し、そのコツを伝授したい。

「値上がり期待」をひとまず横に置く

マイホーム探しで「値上がり期待」が強すぎると、いつまで経ってもマイホームが買えないということになりかねない。

たとえば、都心の港区や千代田区で再開発計画によって誕生する超高層タワーマンションならば、将来の値上がりは十分に期待できる。だが、そのようなマンションを買おうとすれば、どれほどの予算が必要か。そのような理想はさておき、現実的に買える範囲で好ましい物件を探そう、というのがセカンドベストの購入法だ。

したがって、まずは「将来、必ず値上がりする」という条件を外してみたい。

マイホームは、家族が生活する場であり、家財道具を保管する役目も備え、1日中、そして1年中フルに働いてくれる。家族全員で毎日使い続けることを勘案すると、値上がりしなくても十分に元は取れている。買ったときと同じ値段、もしくは少し下がった程度の価格で売れれば、居住期間のコストを考えても「得をした」ことになるはずだ。

そのように考えることで、マイホーム探しの選択肢が大きく広がる。それが、セカンドベストの物件探しを行う第一歩となる。

セカンドベストの「穴場」探し術

セカンドベストの物件探しを行うなら、純粋な都心部は候補地から外すことになる。首都圏なら山手線の内側、近畿圏では梅田周辺や御堂筋沿いの梅田から難波までのエリア……。そのような場所は諦めて、その外周部である「準都心」や「近郊外」と位置づけられる場所を探すのが本筋となる。

さらに、そのなかで「穴場」を見つけることができれば、言うことなしとなる。便利な場所だが目を付ける人が少なく、物件価格が抑えられている。そんな穴場を上手に見つけることができたらいいよね、と誰でも思う。

だが、その穴場探しがむずかしい。

というのも、ウェブサイトの記事やテレビ番組などで、穴場として取り上げられる場所は、すでに住宅価格がそんなに安くないケースが多いからだ。たとえば、足立区の「北千住」や山手線の「西日暮里」駅周辺(足立区)、大田区の「蒲田」などは穴場として頻繁に取り上げられる。しかし、いずれも近年は住宅価格が上がっているし、新規に発売されるマンションも減っている。結果として「もはや穴場ではない」となりがちなのだ。

私自身、狙い目は別のところにあると考えている。23区内なら「青砥」や「浮間舟渡」、千葉県船橋市なら「下総中山」あたりの地名を挙げたくなるが、これらは知名度が低い。穴場といわれても、「それ、どこ?」という反応になりがちだ。そのため、メディアで紹介される際は、知名度が高く、穴場っぽい場所が選ばれることになる。つまり、世間でいわれる穴場はあまりアテにはならないと考えたほうがよい。

では、セカンドベストの物件探しにおいて、穴場はどう探すべきか。ここで、役に立つのが「土地勘」というものだ。

地縁のある場所で見つけるのが基本

前述した「青砥」や「浮間舟渡」、「下総中山」は一般的にはなじみが薄いかもしれないが、その周辺住民からの評価は高い。「あそこは、住みやすいよね」という声が聞かれる。街が落ち着いている、買い物が便利、おいしい飲食店があるといった、エリアの魅力があるからだ。

地元の人たちに愛されているが、他エリアの人には知られていない。そのような場所は販売価格が抑えられる一方で、住んでからの満足度が高いため、真の「穴場」となる。

問題は、そのような真の穴場を探すにはどうすればよいか、だ。

基本は「地縁のある場所」で探すことだ。今住んでいる場所の周辺、もしくは以前住んでいた場所、仕事で頻繁に出かける場所……。実際によく知っている場所であれば、間違いなく自分にとってのセカンドベストを見極められる。

もし地縁のある場所に好ましい街がない場合は、「好きな要素」を備えているかどうかで探す方法がある。じつはこれ、私が個人的に行っている手法でもある。

私は「虫の音」が聞こえる場所が好き

どんな場所に住みたいか。その答えとして、私は「虫の音が聞こえる場所」と決めている。夏から秋にかけて、虫の音が聞こえないような場所には暮らしたくない。これは、子どもの頃から決めていることで、シニアになった今もその気持ちに変わりはない。

同様に「山が見える場所」や「海に近い場所」を好む人もいれば、「賑やかな場所が近くにあるほうが落ち着く」という人もいるだろう。そうした「好きな要素」を条件にマイホーム探しを行うのだ。

また、故郷に近い場所で居住地を定め、落ち着く人も多い。

名古屋や大阪の出身者は、新幹線で帰郷しやすい横浜エリアを好む傾向があり、東北や上越の出身者は埼玉県の大宮周辺を好む。このように、自分の心が求める要素から探すのも、セカンドベストの物件探しをスムーズに進める手立てとなる。

発展する街の見極め方

こうした心情的なアプローチだけでなく、合理的な街の見極め方法も紹介したい。

たとえば、将来的に伸びる街かどうかは、駅のまわりを見ることで推測しやすい。駅に集まる道が広く、駅前ロータリーが整備され、周辺に商店が多い、もしくは商業施設の建設予定地がある。そのような街は、これから活気が増す可能性が高いと判定できる。

さらに、周辺に大学などの教育機関や企業の研究所があることも、高評価のポイントだ。学生や働く人が集まる場所は飲食店や商業施設が活気づき、街が発展する要素となるからだ。駅周辺の道が狭くても、商店街に活気があれば、それはプラス評価だ。逆に、住宅街しかなく、平日の昼間は閑散としている街は、人によってはテンションが下がるはず。商店街にシャッターを下ろした店舗が目立てば、それは明確なマイナス評価となる。

ネットの情報だけで判断せず、必ず街に行って、歩き回って街の真価を探る。セカンドベストの物件探しでは、それが何より大事なこととなる。

  • 本記事の内容は2026年6月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

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