「横向き寝」の寝姿勢の安定とリラックス効果
抱き枕は、通常の枕とは違って、必ずしも使ったほうがいいわけではありませんが、一定の条件に当てはまる方にはメリットが大きい睡眠アイテムです。よく妊婦さんが使っているイメージがあると思いますが、妊娠中の寝る姿勢として左を下にした横向き寝が推奨されており、抱き枕にはこの姿勢を安定させるとともに、腰や肩への負担を軽減する効果があります。
そういった意味で、抱き枕は腰痛や肩こりに悩んでいる方におすすめです。いびきや、睡眠時の無呼吸の症状に悩んでいる方も、横向き寝のほうが、呼吸がスムーズになるといわれています。
注目したいのは、フィジカル面の効果だけではなく、メンタル面の効果にも期待ができる点です。何かを抱きしめることで、幸せホルモンが分泌されるため、抱き枕を使うことで安心感を得てよく眠れるようになると考えられます。普段から心理的な不安が大きく、入眠に時間がかかったり、眠りが浅かったりする方は、抱き枕を睡眠の質を上げるための選択肢の一つとして考えてみてください。
また、学術的な話ではありませんが、抱き枕を使うことで抱き枕と体、布団の間に隙間ができ、通気性がよくなるともいわれており、寝苦しい暑い時期の睡眠をサポートしてくれるようです。
選ぶポイントは、大きめ、S字、適度な反発力
抱き枕には、サイズや形状、素材などの違いがあります。最終的には抱きついたときのフィット感や自分の好みを総合して選ぶのがおすすめですが、初めて検討する方へのアドバイスとしては「腕とお尻と脚をサポートしてくれる安定感」を軸にするといいでしょう。ポイントを見ていきます。
<サイズ>
おすすめは大きいもの。太ももまでしっかりと乗せ切れるサイズ感がベストです。寝ている間に脚が落ちてしまうと、姿勢が曲がってしまいます。
<形状>
S字(流線形)タイプは、体にフィットしやすく高い安定感が得られます。このタイプには、頭を乗せる部分がついた商品もありますが、寝返りを打った際に頭が落ちてしまいますので、あまりおすすめしません。通常の枕とは役割が違うものと考えましょう。
リラックスしたい方や不安感が強い方には、全身を包み込んでくれるようなU字タイプもおすすめですが、暑い時期だと寝苦しさを感じるかもしれません。その場合は、接触冷感素材の枕カバーやシーツを合わせるといいでしょう。
<素材>
適度な反発力があり、抱きついたときに、肩、お尻、膝のラインが沈みすぎない素材がおすすめです。
また、睡眠中はかなり汗をかきますので、カバー付きで取り外しができるタイプにするか、丸洗いできる素材を。ウレタン素材は丸洗いに向きませんので、カバーがない場合は、パイプ素材、綿素材などを選ぶといいでしょう。
<色・柄>
濃い色や派手な柄のものは体が緊張状態になりやすかったり、疲れが取れづらくなったりしますから避けましょう。心を落ち着かせてくれる薄いグレーや薄いブルーなど、パステル系の色を選ぶといいでしょう。
<その他>
ぬいぐるみタイプやキャラクターなどが描かれた抱き枕は、上記に当たらないものも多いのですが、幸せホルモンの分泌という観点では、睡眠の質の改善効果が大きいといえます。
友野さんおすすめの抱き枕2選!
体圧分散性能で安定感を! LOFTY ボディピロー LBP-310

メーカー:ロフテー
希望小売価格:22,000円(税込)
本体サイズ:140×35cm
中身素材:ポリエステル100%
専用カバー付き
カバー色:ライトグレー
抱き枕に体重を預けることで横向き寝の寝姿勢が安定し、肩や腰に集中しがちな重みの負担を分散させることで、身体への負担を軽減してくれます。大柄な人でも十分なサイズ感がうれしいですね。沈み込みすぎず、適度な弾力と張りがあり、抱き心地もいいです。通気性がよく暑い時期にも使いやすいと思います。
幅大きめで抱き心地抜群! Laxia ジャンボ抱き枕 LX1028

メーカー:nishikawa
希望小売価格:9,900円(税込)
本体サイズ:108×42cm
中身素材:ポリエステル100%
専用カバー付き
カバー色:グレー
最大幅が42cmと大きめで、しっかりと体を預けられるのが特徴です。もちもち感があり、人に抱きつく感覚に近いため、安心感やリラックスの効果が高いと思います。カバー表地も綿100%のさらりとした質感で、暑い時期でも快適に過ごせそうです。
- 本記事の内容は2025年8月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

お話を聞いたのは●友野なおさん
ともの・なお/睡眠コンサルタント、株式会社SEA Trinity代表取締役。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科博士前期課程にて睡眠を研究し、修士号を取得。現在、千葉大学大学院医学薬学府先進予防医学医学博士課程にて睡眠と健康にまつわる研究を行う。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とし、全国での講演活動、企業の商品開発、雑誌やテレビへの出演、執筆活動などを精力的にこなす。
https://tomononao.com/