悪質リフォーム詐欺のよくある手口
悪質リフォーム詐欺とは、虚偽の不具合を指摘して、本来必要のない工事や、必要以上に高額なリフォーム工事を契約させる詐欺です。契約後に工事をしないまま金銭だけをだまし取ったり、ずさんな工事が行われたりするケースもあります。
近年、被害が増加しており、2025年は摘発件数が80件(※)を超え、統計が残る2010年以降で過去最多となりました。被害額も前年の3倍以上となる150億円超を記録しています。この中には、戸建てだけでなく、マンションでの被害も多く含まれています。
手口の特徴は、突然自宅を訪問し、その場で契約まで持ち込もうとする点にあります。具体的な流れは次の通りです。
① 点検や近隣工事の挨拶を装い、突然訪問する
事前のアポイントなしに訪問し、「近所で工事をしているので挨拶に来ました」「無料で給湯器の点検をしています」などの理由をつけて、ドアを開けさせようとします。
② 不安をあおり、リフォームの必要性を訴える
室内に入ると、点検を装って「老朽化しています」「このままだと危険です」などと不具合を指摘し、工事を勧めてきます。築年数が経った物件や、住人が「そろそろ寿命かも」と思い当たる設備ほど、狙われやすくなります。マンションの場合は特に、専有部の給湯器・水回り・換気扇などがターゲットになることが多いです。
③ その場で契約させようとする
不安をあおったうえで、「今契約すれば半額になります」「今日15時までに振り込んでもらえれば、特別価格で対応します」といった言葉で即決を迫ります。家族に相談したり、他社の価格を調べたりさせないようにすることが目的です。
- 出典:警察庁発表資料『令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について』
悪質リフォーム詐欺の被害を防ぐための3つの心得
相手は詐欺のプロで、トークマニュアルも用意しています。専門用語を並べられ、矢継ぎ早に説明されると、思わず信じてしまいそうになるものです。被害に遭わないために、次の3つの心得を意識しましょう。
心得①:アポなし訪問の業者はインターホンで対応する
電話やインターネットでの営業が一般化している昨今、見ず知らずの業者が突然訪問してくる時点で警戒が必要です。基本は、ドアを開けず、インターホンで対応を終えること。対面しないことが最大の防御になります。
近年は、無料点検や訪問営業を装い、強盗などの下見目的で家に入ろうとするケースもあるため、「詐欺かどうか」を判断する以前に、知らない相手を家に入れないことが自分の身を守ることにつながります。「管理会社から来ました」「管理組合から紹介され、全戸に案内しています」と名乗るケースも同様です。その場では応対せず、必要があれば後から管理会社に確認しましょう。
心得②:契約を急がせる業者に依頼しない
良心的な業者であれば、その場で契約を急かすことはありません。「今日中なら安くなる」「今決めないと危険」と即決を迫られた時点で、悪質な業者を疑いましょう。名刺や社員証、パンフレットを提示されても安心はできません。偽物の可能性もありますし、資料やホームページもそれらしく作れてしまいます。
リフォームを検討する際は、地域の工務店や大手企業など信頼できる複数社から見積もりを取り、条件を比較したうえで判断するようにしましょう。点検が必要な場合も、自分で選んだ業者に依頼することが基本です。
心得③:自分だけで判断しない
「自分は大丈夫」「自分で対処できる」と思っている人ほど、一人で判断しようとして、結果的に被害に遭うケースが後を絶ちません。少しでも迷ったら、家族や信頼できる人に相談することが大切です。
マンションの場合は、管理会社や近隣住民に相談しても良いでしょう。「こんな業者が来た」「こう言われた」と共有することで、被害を未然に防げる可能性も高まります。
もしも、悪質な業者と契約してしまったら
万が一、悪質な可能性のある業者と契約してしまった場合は、支払い前であれば、すぐに止めてください。そして、消費者ホットライン「188」や警察相談専用電話「#9110」などに速やかに相談しましょう。
また、インターホンの録画、名刺やパンフレットなどの資料は、証拠として保管しておくこと。業者から電話があった場合は、録音しておくと相談時に役立ちます。高圧的に振り込みを要求されたり、脅すような言動があった場合は、警察や弁護士への相談も検討してください。
訪問販売に該当する場合、契約書面(法定書面)を受け取った日から数えて8日以内であれば、クーリング・オフが可能です。事業者がうそをついたり、威圧して解約を妨げたりした場合は、8日を過ぎても対応できる可能性があります。一人で抱え込まず、周囲の人に相談したり、公的窓口を頼ってください。
- 本記事の内容は2026年5月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
お話を聞いたのは●京師美佳さん
きょうし・みか/錠前の認定資格、防犯設備士を取得後、2005年に京師美佳セキュア・アーキテクト設立。防犯対策専門家・防犯アドバイザーとして、マンション・戸建ての防犯のプロデュースや設計、防犯診断、防犯の施工などを行う。2025年、一般社団法人安心安全社会推進機構代表理事就任。日本初の女性防犯アドバイザー、日本で唯一の犯罪予知アナリストでもあり、講演、テレビ・新聞・雑誌など、多方面で防犯の啓蒙活動を展開している。