理想の住まいの選び方

アクティブシニアの「住まいの選び方」と「資金戦略」

人生100年時代に重要になるのが、老後の住まいのあり方です。アクティブシニアとして、資産価値とQOL(生活の質)を両立させる住まい選びのポイントを、住宅ジャーナリストの山下和之さんが解説します。

目次

豊かな生活を続けるための検討ポイント

長い老後を安心して暮らすためには、何より将来に備えた住まいの確保が欠かせません。若いうちに購入した住まいは、年月とともに傷みが目立ち、地震などの災害に対する不安も強まります。また、バリアフリー対応がなされていないケースも多いでしょう。

それだけに、ある程度お金が自由になり、体力のあるうちに住み替えて、あと20年、30年、そして40年と安心して暮らし、豊かな生活を満喫できる住まいにしておきたいところです。

そのためには、どうすればいいのでしょうか。まずは検討のポイントを整理しておきましょう。

  • 老後資金を確保するため、過度な予算設定は避ける
  • コンパクトタイプや築年数の経過した物件を選び、購入予算を抑える
  • 都心に近く、駅徒歩時間の短い利便性の高いエリアなら、資産価値を維持しやすい
  • 住宅ローンの借入額を抑え、15年〜20年などの短期間で返済する
  • 返済期間が短ければ、金利の低い「変動金利型」でも金利上昇リスクを抑えられる
  • アクティブな生活を目指すなら、利便性の高い都心近接エリアが向いている
  • 段差のある一戸建てより、フルフラットなマンションのほうが安心感がある
  • マンションはセキュリティが充実しており、鍵ひとつで外出できる手軽さも魅力

アクティブシニアに向いている住まい

まず資金面について見ると、かつて金融庁の報告書をきっかけに「老後の30年間に2,000万円が必要」との試算が話題になりました。その後、前提条件により数値は変動していますが、いずれにしても老後の安心のためには一定の資金を残しておく必要があります。住み替えで貯蓄を使い切るわけにはいかず、身の丈に合った物件探しが重要です。

価格を抑える手段として、郊外への買い替えや地方移住という選択肢もあります。しかし、住み慣れたエリアを離れるには相当なエネルギーが必要で、高齢期を迎える世代にはあまりお勧めできません。むしろ、現在の住まいに近く、地域コミュニティや友人との交流を継続でき、文化・芸術などの刺激が多い都心やその近くのエリアのほうが、閉じこもりを防ぎ、アクティブシニアらしい生活を送るのに適しています。

もちろん、都心やその周辺は価格が高くなりますが、夫婦2人世帯であれば、60〜70平米のファミリータイプではなく、50平米以下のコンパクトタイプで十分でしょう。その分、価格は抑えられます。また、新築にこだわらず、一定の築年数が経過した中古物件を検討するのも賢い選択です。

首都圏の中古マンションの動向を見ると、築浅物件は新築並みかそれ以上の価格ですが、築年数とともに価格は低下します。「築26年〜30年」なら築浅の半値近く、「築31年〜」であれば築浅の3.5分の1程度まで価格が下がる傾向にあります。

自分たちらしい住まいへリフォーム

もちろん築年数が経過すれば、老朽化や汚れは目立ちます。しかし、物件価格を抑えた分、リフォームやリノベーションに資金を充てれば、世界にひとつの自分たちだけの、ライフスタイル、ライフステージに合ったマンションになります。新築マンションは画一的な間取りが多く、必ずしもシニア世代のニーズに合致するとは限りません。中古物件をリフォーム、リノベーションするほうがシニアらしい住まいにできるのではないでしょうか。

また、価格的には戸建住宅のほうが安いのですが、将来的な資産価値を考えると、マンションのほうがより高く、スムーズに売れるかもしれません。優良な中古マンションを選んで、大切に住めば、資産価値を維持しやすく生活の質を高めることができ、QOLとの両立をはかることができそうです。

住宅ローンを利用する場合は、できるだけ自己資金を多く用意し、借入額を最低限にとどめましょう。返済期間も15年、20年と短く設定するのが安心です。住宅ローンには金利上昇リスクがある変動金利型と、金利リスクのない固定金利型があり、固定金利型の金利は2%台が中心に対して、変動金利型なら1%以下か1%前後で利用できます。変動金利型は金利が上がると返済額が増えますが、返済期間が短ければ、金利上昇リスクが小さくなり、さほどの不安ではなくなります。

利便性と資産価値を左右する「駅近」の優位性

マンションと一戸建てを比べると、生活の利便性に差があります。特に大きな違いは「最寄り駅からの徒歩時間」です。首都圏のデータを見ると、マンションは駅徒歩3分以内が最も多く、徒歩5分を過ぎると物件数が減少します。対して、一戸建ては徒歩15分圏内がボリュームゾーンであり、駅徒歩5分以内の物件は限られています。

一戸建ては駅から離れた物件が中心のため、若いうちは気にならなくても、高齢になるほどつらくなってきます。将来的に車の運転に不安を感じる時期が来ることを考えれば、商業施設や公共施設などの生活利便施設が揃っている駅前や駅近のマンションが安心でしょう。物件選びは立地選びと密接にリンクしており、それが日々のQOLだけでなく、将来の資産価値にも直結するのです。

元気なうちに安心の住まいを確保する

住まいに対する考え方は人それぞれでしょうが、いずれにしても、住み替えは元気なうちに実行しておかないと、さまざまな制約が多くなり、選択肢が狭くなってしまいます。

老後も安心して生活できる住まいを確保するためには、早めに買い替えを行うのがいいのではないでしょうか。

  • 本記事の内容は2026年3月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

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