中古と新築のマンション価格の違い
2025年12月、東京都内の中古マンション価格は1億円を突破。23区内に限ってみると、20か月連続で上昇し、1億1,960万円に達したと発表された(東京カンテイの調査で価格は70㎡換算)。
新築分譲マンションが価格上昇したことで、中古マンションも値上がりしている。「この先も上がり続けるので、今のうちに買っておいたほうがよい」という人もいる。本当に早く買ったほうがよいのか。そして、買うときの注意点は……。中古マンション購入で語られることが少ない最新事情や、中古ならではの落とし穴について、リアルな実情を解説したい。
まず、「中古マンションの値上がり」について注意したいことがある。それは「中古マンション価格」を「新築マンション価格」と同様に考えてはいけない、ということだ。中古の価格は基本的に「売り出し価格」であり、「成約価格」ではない。「新築マンションの価格」ならば、原則として提示された価格で販売され、購入される。しかし、「中古マンションの価格」は、必ずしもその金額で取引されるわけではないのだ。
実際、中古マンションの取引では、「言い値」に対して「指し値」が入る。「1億円で売りたい」「いや、それは高い。8,000万円なら買う」というようなやり取りが発生し、最終的に9,000万円で決着したりする。この場合は9,000万円が成約価格となる。中古マンションの成約価格は一般に広く公表されにくい。そのため、中古マンションの調査データは成約価格ではなく「売り出し価格」を基に計算されるのが普通で、実情は「そこまで高くはない」ということになりがちなのだ。さらに、昨今は売り出し価格がより高く設定されがちであり、その点にも注意が必要だ。
売り出し価格が高めに設定される背景
中古マンション価格が高く設定されがちな理由は2つある。1つは、転売目的で新築分譲マンションを買う人が増えたこと。特に、東京23区内に立地する、いわゆる都心マンションではその傾向が強い。転売目的で購入した人は、当然ながら新築価格より高い値段で売りたい。その際、最初は思い切り高く売り出し、徐々に下げていく手法が取られる。控えめな値段で売り出してすぐに買い手が付くと、「もっと高く売り出せばよかった」と後悔することになるからだ。だから、「売り出し価格」が跳ね上がる。
2つめの理由は、海外投資家、特にアジア圏の購入者が中古マンションを好むことにある。彼らは、以前から新築よりも中古マンションを好んで購入してきた。理由は、中古ならば契約から引き渡しまでの期間が短いからだ。新築マンションだと、引き渡しは1年後か2年後、超高層マンションだと3年後になったりする。そこまで待ちたくない、という投資家が多いのだ。
また、中古市場では価格交渉の余地があることも特徴の一つだ。こうした需要を見越して、売り出し価格が最初から高めに設定されるケースもあると私は見ている。
つまり、中古マンションを買うときは「売り出し価格」だけで判断せず、周辺相場や過去の成約事例を確認したうえで検討することが重要である。そのためには相場を知っておくことが必要だし、交渉の「度胸」も求められる。「そんなことは無理」という場合は、不動産仲介会社を味方にするとよい。信頼できる業者を見つけ、助言を得ながら交渉するのが得策だ。価格交渉に不安があるならば、交渉の手間がない新築マンションという選択肢も含めて比較検討するのも一案である。
古いマンションの注意点
中古マンションは、築年数によって価格が変わる。当然ながら、古くなれば価格は下がるもの。かつてのおおまかな目安は、築5年目までは新築と大差なく、5〜10年で5〜10%安くなり、10〜20年でようやく20〜30%下落。築20〜30年で40%下がり、築30年を超えると50%以上安くなる……というものだった。
ところが今は「古くなっても、そんなに安くならない」という状況が生まれている。前述した転売目的の強気な売り出しに加え、マンションの寿命が延び、築30年でも十分に住み続けられると考えられるようになった影響も大きい。しかし、すべてのマンションが長持ちするとは限らない。昭和時代に建てられたマンションの多くは、築50年程度で建て替えの検討時期を迎えている。築40年を超える物件には、建物の限界が近いものも含まれていることを心得ておくべきだろう。
一方で、中古マンションは「この建物は大丈夫か」「あと何年もつか」といった詳細な検査を行わずに売買されることが一般的である。内装や設備を刷新したリノベーション物件ならば、新築のような住み心地を得ることは可能だ。しかし、建物本体の状態(躯体など)は見極めが難しい。特に築40年を超えるような古い物件を買うときは、相応の覚悟が必要になる。
もちろん、築30年や40年でも、造りがしっかりしていて、まだまだ現役という物件はある。だが、その見極めは不動産のプロでも難しい。コンクリートの一部を切り取って強度検査を行えば確実だが、購入前の検討段階で建物の一部を削り取るような検査はまず許されない。仮に許されたとしても、多額の費用がかかるのだ。
中古マンションの購入には、新築とは質の異なる難しさがある。それは紛れもない事実なのである。
- 本記事の内容は2026年3月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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