イベントアフターレポート
静寂と緊張が交錯する中、「第九」の演奏が幕を開ける
開演前の会場には、舞台袖でオーケストラ奏者の皆さんが音を確かめるために鳴らす楽器の調べが静かに響いています。調弦の音、フレーズの断片、それらの音のすべてが開演前の心地よい緊張感をいっそう引き立てます。
やがて開演時刻となり、大きな拍手に迎えられたオーケストラ奏者が、そして指揮者がステージへと登場しました。
この日の演奏は新しい時代の“楽しいオーケストラ”を目指し活動を続けている東京21世紀管弦楽団。指揮は同管弦楽団の音楽監督でもある浮ヶ谷孝夫氏が務めます。
まずは劇音楽「エグモント」序曲からスタート。胸の奥にずしりと響くような力強い和音で始まるこの曲は、弦楽器と管楽器がリズムを交わし合い、次第に力強さを増していきます。速いテンポで一気に駆け上がるようにクライマックスへ。それがこれから始まる交響曲第9番への期待を呼び覚ます——、感動の幕開けにふさわしい一曲です。
この日、ご主人と来場されたM・K様は、「年末は『第九』が定番と言われますが、この『エグモント序曲』も素晴らしかった。冬らしい厳かな重厚さを感じさせてくれる曲ですね」と語ってくださいました。
「エグモント」序曲の演奏が終わると、会場には一瞬、張りつめたような静けさが訪れ、その沈黙を破るように交響曲第9番(合唱付き)、「第九」の始まりです。
迫力ある演奏と気さくな人柄が客席を魅了
ドラマチックな第1楽章に続き、アップテンポのリズムが躍動する第2楽章が終わると、合唱団と4人のソリストがステージに登場します。
チューニング(音合わせ)に耳を傾けながら合唱団の着席を静かに待つ浮ヶ谷氏。と思ったら、くるりと客席を振り返り、「合唱団が座るまで、こうしてチューニングでつなぐんですよ」と笑顔で語りかけ、会場には和やかな空気が広がります。浮ヶ谷氏によれば、演奏中にこうして客席に語りかけることは度々あるのだそうです。
「最高の演奏を届けることはもちろんですが、それと同じくらいお客様には演奏会を楽しんでいただきたいのです。以前、モーツァルトの『フィガロの結婚』を演奏したとき、曲の頭でパッと演奏を止めて、『この曲何かわかる人?』と客席に尋ねたことがあります。そしたら手を挙げて答える方がいたんですよ。これには客席も盛り上がりましたね」
奥様とともに訪れたH・K様も、そんな浮ヶ谷氏の気さくな人柄に惹かれたご様子。「途中、客席に声をかけて笑わせてくれるなんて面白いですね。でも、指揮はとてもアクティブで迫力を感じました」。こうして客席はどんどん演奏に引き込まれていくのでした。
演奏と合唱の圧巻のハーモニーがホールを包み込む
第3楽章は一転してゆったりとした調べが印象的なアダージョへ。そして、いよいよ「歓喜の歌」の合唱が付く第4楽章が幕を開けます。
「第九」と聞けば誰もが思い浮かべる旋律がコントラバスとチェロの低く静かな音色で奏でられ、そこに弦楽器や管楽器の調べが次々と重なり、徐々に音の層が厚みを増していきます。やがてソリストの朗々とした歌声、さらに合唱が加わると会場の空気は一変。「歓喜の歌」の力強く美しい歌声がホールを満たし、一気にクライマックスへと向かいます。
迫力ある演奏と合唱のハーモニーはまさに圧巻。演奏と合唱が溶け合い、大きな波となって会場全体を包み込んでいきました。
「管弦楽団のメンバーは常に全力投球で演奏に臨んでいます。演奏する側が熱くなって、感動しながら演奏しているからこそ、観客を惹きつけることができるのです」と浮ヶ谷氏。
この日、クラシック好きのご主人と訪れたC・K様は「第4楽章はとにかく素晴らしかった。やはり生の演奏は迫力がありますね」。ご主人のM・K様も「『第九』は何度か聴いたことがありますが、やはり大きなホールで聴くと感動もひとしおです。もっともっと聴いていたかったです」と、お二人とも興奮冷めやらぬご様子で語ってくださいました。
「第4楽章の合唱は圧倒的な迫力で、この曲を聴くと、新しい年もがんばろうと思える。それが『第九』の魅力です」(浮ヶ谷氏)。
感動の余韻とともに始まった新しい日々は、きっと希望に満ちたものになるはずです。
- 本記事の内容は2026年2月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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