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眼精疲労になる前に!スマホを使いながら、目の疲れをためない方法

十分に寝たはずなのに、なんだか体の疲れが取れない……。その原因は、目の疲れかもしれません。日々蓄積される目の疲れを放っておくと、肩こりや頭痛の原因ともなる眼精疲労を引き起こします。そこで眼科医の平松類先生に、目の疲れをためない生活習慣と目のリフレッシュ方法を教えてもらいました。

眼精疲労とは脳まで疲れている状態!

目の疲れが蓄積することで引き起こされるのが眼精疲労です。一般的な目の疲れだと、週末にスマホやパソコンなどの画面から距離を置き、十分な睡眠を取れば回復するでしょう。しかし、目の疲れが慢性化し眼精疲労の段階になると、1~2日、目を休ませたくらいでは回復しません。なぜなら眼精疲労とは、目を酷使することで脳までも疲れてしまっている状態だからです。

特にスマホやパソコン、テレビなどのデジタル機器の画面を目で見ることは、脳に多くの負荷がかかっています。それらの画面は、いわばチカチカと点滅する膨大な数のパラパラ漫画のようなもの。そうして目に入ってきた膨大な画像を読解するのは脳の役割です。長時間に渡り情報を処理することで、脳の疲労を引き起こし、結果として眼精疲労となってしまうのです。

眼精疲労は、目の不快感だけではなく体全体の不調を引き起こし、目がかすんだり、見えにくくなったりする以外に、頭痛や肩こりの原因にもなります。人によってはイライラや吐き気、抑鬱状態などの症状を引き起こすことも少なくありません。逆にこれらの症状で悩んでいる人は、原因を調べると眼精疲労ということも多いです。

ドライアイになると「質が悪い涙」に!

パソコン作業をしている人の75%が罹っているといわれるドライアイも、放っておくと眼精疲労の引き金になります。ドライアイと聞くと涙の量が少ないような感じもしますが、乾燥で細かく傷ついた目を守るために涙がよく出る場合もあります。

ドライアイの問題は涙の“量”ではなく“質”。涙は水と脂が混ざってできていて、目の表面を油分でしっかりと守ることが大きな役割です。目の周辺が冷えて血流が悪くなるとその脂がうまく分泌されず、いわば、脂不足の「質が悪い涙」になってしまいます。そこで効果的なのが、目を温めること。温めて血流をよくすることで、主に上まぶたから脂がスムーズに分泌され目の表面が乾きにくくなります。適度に温めた濡れタオルや市販の温感アイマスクを利用するのもいいですし、両手のひらを10秒ほど擦り合わせて両目を覆うだけでも効果はあります。

涙の質を上げるためには、食生活も重要です。質の悪いコーン油やジャンクフードはなるべく避けて青背の魚など良質な脂を摂ることで、涙の質も上がります。血流促進にも抗酸化作用を持つ、マグロやカツオ、イワシなどがおすすめです。

もちろん、ドライアイ用の目薬を処方するのも効果はあります。ただし、目薬は涙の量をほんの少し増やすだけにすぎません。根本の涙の質を改善しないで、涙の量だけを増やしてもあまり意味はないでしょう。

スマホを使いながら、目の疲れをためない3つの習慣

長い人間の歴史に、スマホなどのチカチカと発光するものを手元でじっと見るような時代はありませんでした。厚生労働省が定めた「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」によると、ディスプレイやキーボードを常時使用する情報機器作業を1日に4時間以上行なう作業者に、眼の検査を含む定期的な健康診断の受診を勧めています。

ただ、1日4時間という数字はあまり現実的ではありません。であれば、スマホなどの情報機器を使いつつ、日頃から次に紹介する3つのことを意識して、目の疲れをためないようにしましょう。


①定期的に遠くを見る

遠くを見ることで、目のピント調節を担う毛様体筋を休めることができます。例えば、パソコン作業中も1時間に1回は手元から視線を外して2メートル先を見てください。また手元と遠くを交互に10秒、10回ずつ繰り返してください。これを朝夕に2回行うことで、目の疲れを癒やすことができます。


②睡眠時、目に光が入らないように

目の疲れを癒やす方法として睡眠は有効です。ただ睡眠時に注意したいのが、光をつけた状態にしないこと。常夜灯や豆電球など光がついた状態で寝ると、一般的な人よりも疲労や充血になる人が多くなるという研究結果があります。完全に光を消さなくてもいいので、瞼を閉じているときも目に光が入らないように、アイマスクをして寝る、足元に光を置くなど工夫してみてください。


③見えにくい状態を放置しない

老眼や近眼があるのに、メガネなしで生活するのも目の疲れを加速させます。近年、20~30代の若年老眼が増えています。年齢に関係なく、少しでも見えにくいと感じたら、老眼鏡をパソコンなどの作業用メガネとして用意したほうがいいです。コンタクトの方はそのまま、普段からメガネの方はその上から老眼鏡をかけるだけで、作業中の目の疲れが格段と楽になります。


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お話を聞いたのは●平松類さん(眼科医)

ひらまつ・るい/二本松眼科病院副院長。昭和大学兼任講師・医学博士。テレビやラジオなど多数のメディアを通じ、わかりやすい医療情報を積極的に発信。YouTube「眼科医平松類」では目の病気の情報を紹介。『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』(SBクリエイティブ)など著作多数。医学博士。
https://www.youtube.com/@hiramatsurui