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コツは背中を「ゆるめる」!自分史上一番ラクになる座り方

ストレスの多い日々を過ごすなかで、「なんだか最近、調子が悪いな」「前より集中力がなくなったな」と感じることはありませんか?日常的な不調に関係しているのは「背中の固さ」と指摘するのは、ウォーキングコンサルタントの犬飼奈穂さん。「背中をゆるめる」コツや長時間座っても疲れない姿勢をご紹介します。

その不調、固まった背中が原因かも?

不調の原因は、固まった背中。そう聞いても、ピンと来る人は少ないでしょう。たとえば、ジムに通うなどして定期的な運動をしている人以外、ほとんどの人の背中は固まっています。もっと言えば、いくら熱心にジム通いを続けていたとしても、固まった背中をゆるめないままのトレーニングは、効果が得られないどころかさらなる不調の原因となります。

かく言う私も固くなった背中をゆるめることもせず、ひたすらジムでのトレーニングに打ち込んでいたことがあります。当時の私は、ペットボトルの水をうまく飲めませんでした。なぜなら、背中の筋肉が固まり過ぎてペットボトルを飲むためにほんの少し顔を上げることもできなかったからです。今思えば、固まり過ぎた背中は自覚症状もない危険な状態だったのでしょう。

こんなふうに固くなった背中は、体の可動域を狭めさせることのほかにも多くの不調を引き起こします。筋肉は、ゆるんだり緊張したりすることで、ポンプのような働きをして、血液やリンパの流れを活性化させることが知られています。固くなった背中を発端に血液やリンパの流れが滞ると、体内における酸素や栄養の運搬や不純物の排出も大渋滞が起こり、体のコリやハリ、痛みや倦怠感などを引き起こすので注意が必要です。

自分本来の正しい骨の位置に戻す

がんばってトレーニングやストレッチをするよりも、歩きながら全身の筋肉を無理ない程度に動かしたり、座った姿勢のまま、こまめに体を動かしたりするほうが、背中をゆるめるにはずっと効果があります。合言葉は、がんばらないこと。

たとえば、無理をして胸を張り続けると、反動で腰も大きく反り返り、不自然な体のバランスを取ることに。結果、腰痛や肩こりなどを引き起こしたり、長期に渡れば内臓を圧迫したりする危険もあるでしょう。猫背を改善するために、肩甲骨を力で寄せて胸を張るようなストレッチもNG。筋肉に無理な緊張を強いることも、緊張したままストレッチをすることも、残念ながらすべて危険な姿勢といえます。

体に余分な負荷をかけない無理のない姿勢には、何より心地よさがあります。背中をゆるめることで、自分本来の正しい骨の位置に戻すことを目指しましょう。

次に紹介する方法を試してみてください。動きはとても簡単ですが、繰り返すことで固まった背中をゆるめることができます。

背中をゆるめる3STEP

STEP1:肘を曲げて手のひらを上に向ける

肘から先を床に平行にします。肘窩(ちゅうか:肘の裏)を正面に向けるのがポイント。

STEP2:そのまま手を下ろす

手のひらを正面に向けたまま、肘から先を下ろします。

STEP3:手を小さく前後に振る

肘窩(ちゅうか)を正面に向けたまま手のひらを体の方に向け、STEP2で下ろした位置から前後に小さく振る。

猫背で胸が閉じた状態になっていたり、無理に胸を張ったりすると、どうしても呼吸がしづらく、浅い呼吸になってしまいます。体に充分な酸素が行き渡らないと、慢性疲労や冷え、自律神経の乱れを引き起こす原因に。そうならないためにも、背中にある大きな筋肉を日常的に少しでも動かして、ゆるめることを意識するのが大切。呼吸の要となる呼吸筋や胸周りの筋肉がゆるまると、深くたっぷりと息を吸い込むことが可能になります。

たっぷり息を吸うと筋肉に酸素が行き渡る、そうすると筋肉がゆるむ。筋肉がゆるむと、もっと深く息を吸うことができる。こんなサイクルができると、背中はもちろん、体全体がゆるくなり自然とラクになっていきます。

1日7時間、座っても疲れない姿勢へ

背中をゆるめるために、特に注意してほしいのが座り方です。スポーツ庁の広報サイトによると、シドニー大学などの研究で、日本人成人の平均座位時間(平日)が、世界20ヵ国中で最も長い、1日7時間に達するということがわかったそうです。長時間座りっぱなしのリスクとして、血流や筋肉の代謝が悪くなるため、不調のみならず成人病や認知症などのリスクの高まりも指摘されています。

ここでビジネスパーソンに特にお教えしたいのが、背中をゆるめた、体に負担が少ない座り方です。

長時間座っても疲れないラクな座り方

①腕を外に捻り、反対の手を脇の下に入れ、脇から背中にかけて置く

腕を体の横におろして外に捻り、反対の手を脇の下に添えます。

②①で置いた手を前にスライドする

手を置いたところにある肉を前に(背中から胸に向けて)持ってくるイメージです。

③腕を閉じる

持ってきた肉が後ろに逃げないように、ラクに脇を閉じます。

④脇の下にある手を抜く

挟んだ手を抜いた状態が、胸が自然に広がり肩の力も抜けているラクな姿勢になります。もう片方の腕も同じようにしましょう。

デスクワーク中に気を付けたいのは、顎が前に出て、背中が丸まっている状態。背中の筋肉が前に引っ張られた状態で固まってしまうことで、不調の原因になります。ぽっこりおなかにもなりやすい姿勢です。

最近では、立ちながらデスクワークができる昇降式デスクを導入したり、ドライバー向けに運転席でできるヨガ教室を開催したりする企業もあるようですが、まずは自分でできる背中をゆるめるコツと座り方をマスターしていきましょう。そしていくら良い姿勢でも30分に1度は軽く体を動かしてください。背中をゆるめることが体にも心にも疲れをためないポイントです。

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お話を聞いたのは●犬飼奈穂さん

いぬがい・なほ/ウォーキングコンサルタント。ORO(オーロ)ウォーキングスタジオ代表。「オーラをまとう歩き方レッスン」主宰。累計2万人に姿勢と歩き方を指導したウォーキングスクールで、公認インストラクターとして活動。その後、姿勢と歩き方の独自メソッドを確立させ、これまで10年で7,000人以上に指導し、肩こり・腰痛、猫背、坐骨神経痛など、身体が抱える数々の悩みを改善。著書に『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)がある。
https://oro-walk.com/