世界的バーテンダーが開発! 本格カクテルを詰めた 「ジントニック缶」で乾杯!
たとえばコンビニの冷蔵ケースを眺めたとき、ビールは上質なクラフトビールから第3のビールまでと幅が広いのに、なぜRTD(READY TO DRINK=ふたを開けてそのまますぐ飲める飲料)カクテルの類は、発泡酒や第3のビールに準ずる低価格帯のものしかないのか。本物の素材を使ってクラフトビールやナチュラルワインに並ぶような価値のRTDカクテルを創ってみたい——バーテンダー歴36年、著名なバーテンダー・中垣繁幸さんが「クラフト・ジントニック」という新ジャンルのプレミアムRTDに挑んだ理由とその楽しみ方を聞く。
バーテンダーの手で造る、飲み手とバーをつなぐ「缶カクテル」
岐阜県岐阜市のバー「BAROSSA cocktailier(バロッサ コクテリエ)」は、「ミクソロジー」という言葉が浸透するよりずっと前から、遠心分離や真空調理法を用いたカクテルを提供してきた。オーナーバーテンダーの中垣繁幸さんは、ヴェルモットやビターリキュールなどを自家製してカクテルに生かす人物。国内のみならず、海外でもバーテンディングやセミナーの講師を務めるなどスペシャリストである。
中垣さんに転機が訪れたのは、コロナ禍でのこと。期間限定の酒販免許を取得したものの、カクテルの販売は許容範囲外だった。そこで、中垣さんは自身のカクテルをバー以外の場所でも味わってもらえるよう酒造免許の取得に乗り出す。国内外の資料を読みあさり、さらに山梨県でクラフトビールの製造販売を手掛ける「ファーイースト・ブルーイング」や岐阜県の清酒の酒蔵にしてスピリッツ製造もする「奥飛騨酒造」、ジン蒸留所「辰巳蒸留所」などとの交流を重ねて考えを深めた。
「よりナチュラルな味わいで、日常の生活シーンに寄り添えるフレンドリーな酒を造りたい」
中垣さんがその答えとして導き出したのが、蒸留所「LONG GOOD」を新設し、自身の手でジンとトニックウォーターを造り、カクテルに昇華して缶に詰めて販売することだった。
中垣さんは、現在、平日は蒸留所「LONG GOOD」(写真)でジン造りを行い、金曜~日曜は自身のバーのカウンターでカクテルを提供する日々を送っている。(LONGGOOD提供画像)
バーで提供する一杯においても、人工的な素材で造られたリキュールは使わずにカクテルづくりをしている中垣さん。商品づくりで追求したのは、こんなことだ。
「ごくカジュアルに楽しまれているRTDカクテルと、オーセンティックバーで提供される本格的なカクテルの溝を埋めるような商品でいて、人工的な香料を使わずに缶に詰めたい。バーテンダーで培ったブレンディング力でジンを造り、さらにジンを割るトニックウォーターも自家製しよう」
そうして、3種類の「ジントニック缶」が誕生したのだった。
華やかな「カフィアライムとローズ」はエレガントな香りと余韻
ボタニカル(原料となる植物)ごとに蒸留して、それをブレンドする製法で3種類の「ジントニック缶」を展開する。タイ料理をはじめエスニック料理に欠かせないハーブ「カフィアライム(コブミカン)とダマスク・ローズを合わせた1本は、天然の香水のように華やかなアロマが広がる。チーズ料理やシャルキュトリー、マカロンなどの洋菓子、フルーツ全般との相性がいい。
「黒文字+ベルガモット」は、スパイス料理にも合う爽快感!
圧倒的な爽快さを誇る1本。それでいて、リフレッシングできる味わいもあわせ持つ。ジュニパーベリーはシリーズ最多の量を使用し、スパイスやハーブを使った料理やサラダ類、フルーツ全般との相性がいい。
「グリーンティ+ジャスミン」は和食や鮨、中国料理に寄り添う清楚な味わい
繊細かつおだやかな味わいのジントニック。キーボタニカルに緑茶を使っているだけあり、料理にも幅広く合わせられる。和食や鮨、台湾料理や中国料理、それに和菓子や杏仁豆腐などに相性がいい。
缶でプシュッと、グラスに注いでしっとりと。キャンプでも上質な味を
数多あるボタニカルから厳選した素材の風味が冴える「ジントニック缶」。カジュアルにそのままプシュッと飲めば、「おかえり」と言ってくれるようなフレンドリーさがあり、グラスに注いで食事と一緒に味わうシーンにも寄り添ってくれる。ワイングラスでスワリングすれば心地よいアロマが立ち上り、ぬるくなったとしてもバランスが崩れず自然な味わいを楽しむことができる。
持ち寄りが多いパーティーシーンにも、あるいはキャンプにも。プレミアムRTDの新しい扉を開く「ジントニック缶」である。
<取材協力>
LONG GOOD https://longgood.jp/
WEB SHOP https://longgood.jp/pages/web-shop
取材・文●沼 由美子 撮影●大沼ショージ(2023年12月26日掲載)