整理収納のコツ

整理収納のプロが教える!時短を叶えるキッチン収納のコツ

調理器具や食器、調味料などモノが多いキッチンは、うまく収納しないと出し入れに時間がかかり、大幅に手間が増えることに。整理収納アドバイザーの七尾亜紀子さんが、家事時短を実現する収納のコツを解説します。

キッチン収納が適当だと、時間もお金もムダに!

家の中で、整理収納に悩む人が多い場所がキッチンです。使うアイテムが多い上、いくつも戸棚や引き出しがあるので、どこに何を置くか決めないまま、とりあえず物を詰め込んでいる状態……というご家庭は少なくありません。

こうしたキッチンでは、次のような“ムダ”が生まれます。

  • 在庫が把握できず、同じ物を買ってしまったり、賞味期限を切らしてしまいがちになる。
  • 収納した場所がわからず、使うときに探さなければならない。
  • 必要以上に調理器具を揃えた結果、収納し切れず作業スペースを侵食し、調理がしづらくなる。
  • 使う場所と収納場所が離れているために、取り出すときに移動が必要になる。

一つひとつは小さなことですが、キッチンは毎日使う場所なので、その積み重ねは馬鹿にできません。ムダな時間や出費を生まないためにも、整理収納を見直し、使いやすいキッチンを目指しましょう。

家事動線やモノの置き場所を考えて、使いやすいキッチンに!

では、使いやすいキッチンにするためには、どのように整理収納していけばよいのか。そのコツを解説していきます。

まずは、キッチンの「設計図」をつくり、何をどこに置くか決めましょう。コンロやシンク、引き出しや戸棚の位置がわかるように、紙にキッチンの間取り図を書きます。そして、ふせんに「鍋」「食器」などアイテム名を書き、先ほどの間取り図の収納したい場所に貼っていきます。

収納場所を考えるときは、以下の3つのポイントを意識しましょう。


ポイント① 動線を考えて収納する

どこで使う物かを考え、その場所になるべく近いところに収納することで、作業がスムーズになります。例えば、シンク周りの収納であれば、ザルやボウル、ラップや袋などの消耗品のストック、掃除道具など。コンロ周りには、鍋やフライパン、調味料があると便利でしょう。


ポイント② 重いものは低い場所に置く

鍋などの重たいものは、高いところに置くと取り出しづらくなってしまいます。吊り戸棚などの高さのある収納場所には、保存容器やお弁当グッズ、粉物調味料といった軽いものを収納しましょう。


ポイント③ 同じ種類のものは1カ所にまとめる

「レトルト食品はここに置く」「乾物はこの引き出し」と種類ごとに収納場所を決めておくと、在庫管理がしやすくなり、賞味期限の近い物から順に使っていくことができます。キャパシティも把握できるので、買い過ぎ防止にもつながります。

設計図ができたら、実際に収納していきます。しかし、今入っている物を全部出して、もう一度入れ直すのは現実的ではありません。そのため、“玉突き移動”がおすすめです。例えば、「最初はコンロ下の戸棚から手をつけよう」と決めたら、そこにあるモノだけを全て出して、設計図で決めたものを収納します。それを1カ所ずつ繰り返していくのです。

“アクション数”を減らす工夫をすれば、家事はグッとラクに!

収納してみて「使いづらいな」と感じたら、“アクション数”を減らす収納方法を考えてみましょう。例えば、複数のフライパンを重ねて収納している場合、上のフライパンを一度どかして、もう一度重ね直して……と、動きにムダが多くなってしまいます。しかし、フライパンスタンドなどを活用して、引き出しに立てて収納することができれば、開けるだけで簡単に取り出すことができるでしょう。

同様に、食器もディッシュスタンドなどを使って1枚ずつ取り出せるようにしたり、上下に仕切ってなるべく重ねる枚数を減らすことで、アクション数を格段に減らすことができるのです。

そもそも、物の量が多すぎることが、出し入れしづらい原因となっていることも。使用頻度の高い物だけを置くようにするなど、モノを減らすことも検討してみてください。

また、夫婦で家事シェアをしている家庭の場合、相手が決めた収納場所を守ってくれず、逆にどちらかの負担が増えてしまっていることがあります。整理収納を見直すときは一緒に相談して決める、収納場所を写真に撮って冷蔵庫に貼って共有するなど、夫婦どちらにとっても使いやすいキッチンを目指しましょう。

ただでさえ、アクション数の多いキッチンでの家事。整理収納を工夫することで、時間はもちろん、負担やストレスの軽減にもつながります。ぜひ、一度キッチンを整理し直してみてはいかがでしょうか。


(2023年1月16日掲載)

お話を聞いたのは●七尾 亜紀子さん

ななお・あきこ/LIFE WITH代表、整理収納アドバイザー。
大手IT企業に15年勤務。次男の育休中に整理収納の魅力にはまり、2017年に整理収納アドバイザー1級の資格を取得。2018年に整理収納コンサルティングサービス「LIFE WITH」を立ち上げる。著書に『自動的に部屋が片づく 忙しい人専用 収納プログラム』(KADOKAWA)がある。
https://www.lifewith770.com/