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定番のパンこそ、素材と価格にまっすぐな「ラパン・ラパン」

朝、少し早起きをして、焼き立てのパンを買いに行く。そんなささやかな習慣があるだけで、一日の始まりは豊かになる。今回訪れたのは、「ザ・パークハウス 北綾瀬」のある街で親しまれている「ラパン・ラパン」。素材と丁寧に向き合い、毎日食べるパンを誠実につくり続ける職人の手仕事と、地域の人々の暮らしに静かに寄り添う店の魅力を覗いてみよう。

目次

「日常のパン」と「ハレの日のパン」どちらも楽しめる

普段あまり意識することはないが、パンには「日常のパン」と「ハレの日のパン」がある。「日常のパン」は、食パンやロールパンのように、日々の食卓に当たり前のように並んでいるもの。「ハレの日のパン」は、果物がたっぷり乗ったデニッシュや、チーズなどの食材を練り込んだ、オシャレなパンだ。「ハレの日のパン」には、少し値がはっていたとしても、あるいはお店が少し遠かったとしても、わざわざ買いに行きたくなるような魅力がある。

綾瀬で2011年から営業している「ラパン・ラパン」は、日常とハレの日の両方の要素を兼ね備えたパン屋さんだ。

パンは全部で約80種類。甘いもの、惣菜パン、サンドイッチ、食パン、バケットなどが揃う。幅広い世代、さまざまな好みの人を受け入れる豊富なラインナップ。
右の円形のパンから時計回りにパン・ド・ロデヴ(1g/2.5円 ※量り売り)、いちじくとオレンジのカンパーニュ(400円)、トラディションバゲット(350円)。
うさぎのイラストと白と赤を基調にした愛らしい外観が目印。
惣菜パンには季節の野菜や、ハム、チーズといったさまざまな食材が惜しみなく使われている。

扉を開けた瞬間に目に入る景色は、一瞬で心をつかまれるような魅力がある。菓子パンや惣菜パンなど80種類近くの商品がずらっと並ぶ様子は圧巻で、かつ、 そのどれもが見た目が上品で美しい。商品を一つひとつじっくり見てみると、季節の野菜や果物、チーズ、肉など食材の使い方が洗練されている。日常使いできる良心的な価格帯だ。

 「一番人気はバケットです」

と、店主の宮本康晴さん。低温で長時間発酵させて旨みを引き出したバゲットは、皮はパリッと香ばしく、かむほどに小麦の甘みが口の中に広がってゆく。もう一つの看板商品は、もちもちとした食感のパン・ド・ロデヴ。この2つには根強いファンがいて、焼き上がりの時間を目指して買いに来る人や、予約して遠方から訪れる人もいるほど。パンやサラダに添えるなど、普段の食卓に寄り添うパンだからこそ気に入ったものを食べ続けたいのだ。

「ご近所に住んでいた常連様が、仕事の都合などで離れた場所に引っ越してしまった後もわざわざ買いに来てくださったりすると、頑張ってパン屋を続けていて良かったなと感じます」

と、宮本さんは嬉しそうに話す。

そのほか、おめざやおやつにぴったりの甘いパンも豊富だ。たとえば、ルバーブのデニッシュはヨーロッパのオシャレなパン屋さんをイメージした商品の一つ。つやつやと輝く果物がパッと目を引き、パリパリッ、ザクっとした食感のデニッシュ生地にはバターの風味がしっかりと染み込んでいる。休日の朝食やおやつに食べたくなるような商品だ。

甘いパンも充実。チョココロネやメロンパンのように日本で長く親しまれているパンや、季節のフルーツをふんだんに使ったデニッシュのように海外のパン屋さんを思わせるオシャレな菓子パンが並ぶ。
ルバーブのデニッシュ(380円)。旬の果物を使いながら、年間を通じてさまざまなデニッシュを販売している。

自家製と旬の食材が生む、飽きない味

一方、昔馴染みのパンが好きな人や子どもにも人気なのは、ミルクフランスやメロンパン、チョココロネ。シンプルな味わいで、食感はやわらか。だからこそ、幅広い年代の人が手に取りやすい。一見、定番のパンだが 、「ラパン・ラパン」が特別なのは、素材選びを大切にしているから。たとえばチョココロネのチョコは、製菓用の高品質なチョコ・クーベルチュールを使い自家炊きし、宮本さんが味を整えてから使用している。

写真上からチーズとハムを使ったジャンボンフロマージュ(480円)、トマトやレタス、厚切りのベーコンを挟んだBLTサンド(560円)、季節野菜をふんだんに乗せたフォカッチャレギューム(450円)。

具材はなるべく自家製のものを使う、というポリシーは、菓子パンのみならず惣菜パンでも同じ。サンドイッチに使うハムやベーコンは、豚肉を塊肉の状態で仕入れ、お店で調理している。本当においしいパンとは何か、「ラパン・ラパン」の味とは何か、ということを追求していくうちに、自ずと無添加・自家製の食材を貫くようになっていったのだ。

そして、季節の野菜や果物を使うこと。夏であればとうもろこしやトマトを惣菜パンに乗せ、菓子パンにはルバーブやマンゴー、レモンなどを使う。旬の食材を使うことで食の豊かさを表現しつつ、お客さんにとっても一年を通して飽きずに食べ続けられる仕掛けになっている。それを、日常的に買い続けやすい価格で「ラパン・ラパン」は販売しており、だからこそ、地域の人々はこの店に通い続けたくなるのだ。

パンの製造は宮本さんがほぼ一人で行っている。

宮本さんから見た綾瀬・北綾瀬の魅力とは

時に個人経営のパン屋さんは、地域の特徴を表すことがある。なぜなら、地域の常連客やエリアの特性をリサーチしながら商品のラインナップを考えているからだ。宮本さんは、綾瀬・北綾瀬の魅力をこう語る。

「綾瀬・北綾瀬というエリアは住宅街や学校、病院、大きな公園が充実した、子どもから大人まで幅広い年代の人が生活しやすいエリアです。駅前には大型スーパーやドラッグストアもあり、生活に必要なものが揃います。そんな暮らしやすさが魅力です」

「北綾瀬」は、都心通勤・通学に便利な東京メトロ千代田線の始発駅。大手町駅や日比谷駅、表参道駅などに直通し、それぞれ大手町駅までは27分、日比谷駅へは30分で到着する。働く人にとっても通いやすいこの街は、ビジネスパーソンだけでなく、ファミリー層など、あらゆる年代の人たちが集まり、好みもさまざまだ。「ラパン・ラパン」の商品が種類豊富なのは、そういった街の特徴を意識し、幅広い層の人を受け入れやすくする ためだという。

お店の営業時間は朝8時から夕方6時まで。朝早くから営業しているので、平日には出勤途中の人がその日の昼食を買ったり、休日には朝食を求めに来たりする人もいる。11時を過ぎれば昼食を買いに行く人が次から次へと訪れ、夕方6時の閉店時間よりも前に売り切れ仕舞いとなることもしばしば。近くには公園が多いので、晴れた日にはここで買ったパンを公園で食べるのも、気持ちが良くていい。北綾瀬・綾瀬に住んだなら、きっとパン好きも、そうでない人も、「ラパン・ラパン」が生活の一部になるはずだ。

  • 本記事の内容は2026年9月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
  • 記事内の価格はすべて税込表示です。

お話を聞いたのは●宮本康晴さん

みやもと・やすはる/東京製菓学校卒業後、中目黒「ナイーフ」(現在は若林に移転)で修行し、ハードパンの存在を知る。その後、「ジョエル・ロブション」で研鑽を積み、ソフトパンも勉強するためリテールベーカリー「亀屋」に就職。同店では店長を務め、パン作りに加えて経営のノウハウを学んだ。2011年8月、綾瀬に「ラパン・ラパン」をオープン。店名は、パンと、フランス語でうさぎを意味する「lapin(ラパン)」を掛け合わせたもの。宮本さんが卯年生まれで、開業した2011年も卯年だったことに由来する。
https://www.instagram.com/lepainlapin/

ラパン・ラパン(Le pain Lapin)
【住所】東京都足立区綾瀬3-26-2
【電話】03-5856-0984
【営業時間】8:00~18:00(売り切れ次第閉店)
【定休日】水・木
【アクセス】JR常磐線・東京メトロ千代田線「綾瀬」駅より徒歩約5分

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