暮らし快適メモ

Q:ビタミンCを一番多く摂れるのはどれ?➡①ポテトサラダ ②ほうれん草のお浸し ③レモネード

この問題の答えは①です。
「レモン〇個分のビタミンC!」というフレーズをよく耳にします。そのせいか、レモンはビタミンCを多く含む食品だと思われがちですが、実際は、レモンから摂取できるビタミンCはそれほど多くなく、レモン以外の食品からビタミンCを多く摂取していることは、あまり知られていません。問題①②③のそれぞれの1食あたりのビタミンC量は、ポテトサラダは約27mg、ほうれん草のおひたしは約22mg、レモネードは約11mgとレモンが一番少ないのです。

目次

レモン1個食べることは、日常的にほぼありません。

レモン1個(果汁)に含まれるビタミンCは約20mgありますが、レモンは香りづけ等に少し使われることが多く、丸々1個を食べることはまずありません。にも関わらず、ビタミンC=レモンというイメージが根付いているのは、農林水産省が制定した「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン(※1)」によるところが大きく、多くの清涼飲料水や菓子類に表記されるようになったため、その知名度をあげたと考えられます。

またビタミンC=酸っぱいというイメージがありますが、この酸味はビタミンCではなくクエン酸によるものです。あくまでレモンは基準なので、実際は、ポテトサラダやほうれん草のおひたしなど、酸っぱくない一般的な料理からもビタミンCを私たちは得ています。これは、栄養を摂取する際、その含有量だけでなく、1食あたりの「量」や「食べやすさ(頻度)」なども重要なポイントになるということです。

ビタミンCを食事から摂取するのは、それほど難しくありません。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では1日100mg(※2)がビタミンCの摂取基準と定められています。この基準を満たすには、果物や芋料理、野菜料理を1日3品以上摂ることができれば、おおよそ満たすことができます。日常的に、野菜や果物を摂取している方であれば、それほど難しくはないと思いますが、偏食がある方は不足するかもしれません。ただ注意しておかなければならないのは、ビタミンCは、水にとけやすく、光や空気の影響も受けやすいため調理による損失が非常に大きいことです。生で食べた方が良いのですが、生で食べられない野菜もあります。

また、重量に栄養素量は比例しますから、調理をした方が野菜はカサが減るため、結果的に、たくさん食べることができます。
たとえばブロッコリー(30g)ですと、「生」と「ゆで」のビタミンC量は、約36mgと約17mgと、ほぼ半分になります。野菜だけでは、摂取基準を満たすことは難しいため、生で食べられる、かつビタミンCを多く含む「果物」を摂ることが推奨されます。果物は食べ過ぎるとエネルギーや糖質過多になるため、1日1品(表1の1食あたりの量)程度とし、野菜料理を2品以上摂ると上手く1日分のビタミンCを摂取できるでしょう。

美容はもちろん、がんや心筋梗塞の予防に!

ビタミンCは、たんぱく質とともにコラーゲンの生成に働いたり、紫外線の刺激で出来るメラニン色素(しみ)の沈着を防いだり、女性が不足しがちな鉄分の吸収をサポートしたり、抗酸化作用があることから老化を予防するため、美容に効果的な栄養素というイメージがありますが、疾患に関する研究も数多くあり、がんや心筋梗塞の予防に役立つことがわかっています。とくに果物や野菜からビタミンCを多く摂取する人は、肺癌、乳癌、結腸直腸癌など、多くの種類のがんを発症するリスクが低いと考えられています。

またビタミンEとともに働くことで相乗効果があるとされ、LDL(いわゆる悪玉)コレステロールの酸化を抑制して心臓血管系の疾患を予防するとも言われています。他にも、喫煙者は吸わない人と比較してビタミンCを消耗しやすく、プラス35mg必要になるという報告があります。受動喫煙においても同じ傾向があるため、多めにビタミンCを摂取することが推奨されています。

さいごに、ビタミンCは極端に不足すると、「壊血病」という死に至ることもある疾患が発症します。その昔、長距離を航海する船員の多くが壊血病で亡くなりました。その原因がビタミンCとわかってからは必ず柑橘類(常温で長く食べられる)を船に積むようになったそうです。昔のことと思われがちですが、今も少なからず残る疾患です。かなりの偏食でなければ発症しませんし、治療が可能ですので死に至ることはまずありませんが、加熱した野菜しか食べられない、あるいは少食で野菜嫌いの人や、腎臓病で生の野菜や果物を控えている方などは注意が必要です。

ビタミンCは高濃度のサプリメントなどを摂らない限り、日常の食生活で摂りすぎることはまずありえません。水溶性のビタミンなので基本的に摂り過ぎた場合は尿から排泄されます。健康にも美容にも良い栄養素で摂りすぎ(過剰症)の心配がないのです。こういった背景から多くの場面で積極的に推奨され、ビタミンCは今の知名度を得たのかもしれませんね。

  1. 2008年4月に廃止
  2. ビタミンCの食事摂取基準(12歳以上の男女 推奨量)
    参考文献)
  • 上西一弘 食品成分最新ガイド 栄養素の通になる第3版 女子栄養台出版部
  • 伊藤貞嘉、佐々木敏 監修:日本時の食事摂取基準 2020年版,第一出版
  • 小山裕子、上田博子 第2版サービングサイズ栄養素量100-食品成分順位表‐ 第一主版
  • 香川明夫 監修:七訂 食品成分表2020女子栄養大学出版
  • 清涼飲料水の「レモン果実1個あたりのビタミンC量」の表示について 日本果汁協会
  • 「統合医療」に関わる情報発信等推進事業 医療関係者の方へ 海外の情報 厚生労働省
  • 佐々木敏 佐々木敏のデータ栄養学のすすめ 氾濫し混乱する「食と栄養」の情報を整理する 女子栄養大学出版部
  • 女子栄養大学で学べる栄養学に基づくレシピ!Let's Enjoy栄養学レシピサイト

アドバイザープロフィール/窪田あい

医療機関のコンサルティング会社である株式会社メディヴァにて年間のべ600人以上の保健指導を行う傍ら、医学や栄養学を一般の方にもっとわかりやすく伝えたいと、さまざまな講座を企画。(一社)健康栄養支援センターに所属しながら「はらごしらえワークス」にてフリーランスとしても活動中。ライフスタイルにあわせた体重コントロール法でダイエットサポートなども行っている。

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