壁や床の防音性能には限界がある
自宅で音を楽しむには、近隣住民への気配りが大切ですが、そもそもマンションの防音性能の実態はどうなのでしょうか。NPO法人建築音響共同研究機構の理事長・安藤 啓さんは「そもそも集合住宅で音を完全に遮断することはできない」と語ります。
「集合住宅では壁や床1枚を隔てて、他人同士が暮らしています。集合住宅の音に関する基準は、普通の生活を想定して設定されています。建物はその基準に沿って、居住面積や建築コストなどの制約の中で建設されているため、壁や床の防音性能には限界があるのです」
そもそも音は漏れるもの、と認識して対策を講じる必要があります。では、漏れる音は近隣からどのように受け取られるのでしょうか。
「本人にとっては心地よい音楽でも、壁の向こうから聞こえると不快な音として受け取られることがありますし、たとえ小さくても気になるものです。とくに夜間や早朝に建物内で発生する音は、明瞭に聞こえてうるさく感じます」(安藤さん)
できるだけ音を小さくする4つの工夫
近隣への音漏れを軽減するために、どのような対策ができるのでしょうか。安藤さんは基本的な4つの工夫をアドバイスしています。
- スピーカーの下にゴムシートなどの振動遮断材料を敷く
- スピーカーを壁から離れた場所に設置する
- ナイトモードを持つオーディオを利用する
- 大音量で聞きたい方は、ヘッドホンを使うか、防音型リスニングルームを採用する
「コミュニケーションも立派な気配りの一つです。同じ音でも、顔を知っている人が出しているとわかれば、仕方がないなと思ってくれるはず」と安藤さん。隣人と人間関係を築く努力をすることが、トラブルを防ぐ何よりの防音対策になります。
音には時代を超えて感情を呼び起こす力がある
自分に合ったオーディオ環境を整えるには、専門店にいくのが近道です。東京・青山にあるKEF Music Gallery Tokyoを訪ねました。
KEFは1961年にイギリスで設立されたオーディオブランド。同店はオーディオファンをはじめ、日常生活のサウンドクオリティをあげたい人や、部屋の装飾を演出するアイテムにこだわる人に向け、高品質で洗練された製品を取りそろえており、品質をその場で体感できるギャラリータイプの店舗です。
ストアマネージャーの星野良太さんは、音が持つ本質的な魅力と、高性能のスピーカーを所有する価値をこう語ります。
「音には多彩な魅力がありますが、そのひとつに時代を超えて感情を呼び起こす力があります。たとえば幼い頃に聞いた音楽や映画は、当時の記憶や情景をもよみがえらせます。高性能のスピーカーは細かいサウンドまで再現でき、聞く人の感性を揺さぶります。思い起こす情景もリアルに浮かび、音楽や映画の感動もより深くなります」
KEFのスピーカーの特長は「原音再生」にあるといいます。
「創業時からのコンセプトは『音楽家が考え抜いた原音を忠実に再現する』こと。KEFのスピーカーは音の低域や中域、高域の全音域を1つのポイントから放射されるように構成されています。常に正確な原音再生サウンドを実現し、楽器が奏でるニュアンスを正確に隅々まで味わえます」(星野さん)
ワイヤレスHiFiスピーカーでカジュアルなホームシアターに
KEF Music Gallaryではゲストが実現したいオーディオ生活や音の好み、住環境などをヒアリングし、その人にマッチしたスピーカーや設置方法を案内しています。
「ホームシアターというと映画館と同じようなスピーカーをいくつも揃えるような本格的なものをイメージしますが、実は普段のテレビよりもいい環境で聞ければ、それはホームシアターなんです」(星野さん)
いつものテレビ画面でも、外付けスピーカーをつなげるだけでワンランクアップのエンターテイメントを楽しめます。
「ただ、外付けスピーカーで気になるのは配線コードです。ごちゃごちゃした配線は見た目も美しくなく、お子さまがつまずく恐れもあります。そこでKEFが提案しているのは、ワイヤレスHiFiスピーカーを使ったカジュアルなホームシアターです。コンパクトでどんなお部屋にもマッチングするカラーバリエーションで、インテリアの一部として溶け込みます。HiFiサウンドの細部まで表現し、音の深さとリアリズムを楽しむことができます。スマホやPCと接続できるほか様々なデバイスと互換性があるので、Spotifyなどのストリーミング・サービスやゲームなど、どんな世代でもご満足いただけます。価格は13万円台から販売しています」(星野さん)
ギャラリーではこれまでにないHiFiオーディオを体験できる
気になるのはスピーカーの設置場所ですが、KEFのワイヤレススピーカーは設置環境に合わせて、アプリで調整をかけることができるそうです。
「例えば、壁から離れた場所に置けない場合は壁から何センチと入力したり、振動を少なくしたい場合は低音域を抑えたりするなど、ご自宅の環境で最適な音を出力できるように調整できます」(星野さん)
同ギャラリーでは、これまでにないHiFiオーディオを設置したホームシアターで、感動の音楽体験を味わうことができます。青山を訪れた際は、ミュージアムを鑑賞する感覚で訪ねてみてはいかがでしょう。一見の、いえ“一聴の”価値があります。
お話を聞いたのは●
NPO法人 建築音響共同研究機構
トラブルのより少ない健全で調和がとれた環境社会づくりに寄与することを目的とする非営利特別活動法人。産学官の協力により騒音・振動や室内音響、固体音等の技術分野に関する技術情報を整理し、情報発信している。
http://andow-k.com/npo/index.html
KEF Music Gallery Tokyo
2023年12月9日 東京・青山にオープン。高品質で魅惑的なKEF製品と著名なアート作品をコーディネイトし、ディスプレイして展示。試聴などのサウンド体験スペースを提供し、お気に入りのCDなども持参できる。イベントやエキシビションなども開催。サウンド体験は、ホームページの予約フォーム、または電話予約で受け付けている。
https://jp.kef.com/pages/kef-music-gallery