発電・蓄電で非常時の電力を賄うポータブル電源
ポータブル電源とは、防災にも活用される比較的新しいジャンルのアイテムです。
その名のとおり、持ち運びのできる大容量の蓄電池のことで、太陽光で発電する「ソーラーパネル」と組み合わせて使用します。日中に発電・蓄電を行えるため、停電時でもさまざまな家電や機器へ電力を供給できます。
たとえば、スマートフォンの充電や簡易なライト、季節に合わせて扇風機や電気毛布など、消費電力の比較的少ない機器ならば長時間稼働させることも可能です。大規模災害による停電は、いつでもどこにでも起こりえますので、そのための備えとして、ポータブル電源は非常に有用といえます。
避難までの安全を確保したうえで、ライフラインが止まった後でも生活を継続するための手段と考えるといいでしょう。
ポータブル電源を選ぶ基準
ポータブル電源を選ぶ際の基準は、大きく分けて「コンセント出力」と「バッテリー容量」の2つです。
コンセント出力は「筋力」、バッテリー容量は「体力」に例えられます。コンセント出力が大きければ大型の家電が動かせますし、バッテリー容量が大きければ長時間電気を供給できます。
コンセント出力:おすすめはAC1500W以上
ポータブル電源に搭載されているコンセント出力の単位はW(ワット)。日本国内で使用されている100Vで動作する一般的な家電は、AC1500Wの出力があれば問題なく稼働します。
多くのポータブル電源はAC1500Wの出力に対応しているため、大型のエアコンやIHクッキングヒーターといった200Vで動作する家電を除けば、停電下でも大抵の家電を使用することができます。
ただし、複数の家電を同時に使用すると、より大きな出力が必要になります。そのため、ドライヤーやヒーターなどの消費電力が大きい電熱系の家電は同時使用できない可能性があります。
バッテリー容量:一般家庭向きは1000Wh〜
バッテリー容量の単位はWh(ワットアワー)。これが大きいとポータブル電源に蓄えられる電気の量が多く、長時間家電を使用し続けられます。
ポータブル電源の標準サイズの容量である1000Whがひとつの目安です。例として、容量が1000Whあれば、100Wの家電(小型冷蔵庫・電気毛布・デスクトップパソコンなど)を10時間程度稼働させられるのです。
落雷やマンションの配電設備の不具合による一時的な停電や、計画停電などの短時間であれば、1000Whの容量で賄えるでしょう。
止まっては困る家電があり、より長時間または複数台の機器の使用を考えている場合には、2000Wh前後の製品も選択肢に入れることをおすすめします。
また、長期停電を想定するなら、「ソーラーパネル」も合わせて用意しておきましょう。基本的にはポータブル電源とセットで売られていることが多いため、同じメーカーの100W以上のソーラーパネルを選べば安心です。
ソーラーパネルは折り畳んでの使用はできないので、ベランダなど、ご家庭の敷地内で広げられるサイズのものが望ましいです。
その他のチェックポイント
コンセント出力やバッテリー容量のほかに気をつけておきたいポイントは以下のとおりです。
・持ち運びやすさ
ポータブル電源は、容量が増えるほどサイズも大きくなります。1000Whの容量のポータブル電源の重さは12kg前後で、これは2Lのペットボトル×6本程度の重さになります。ご自身で無理なく持ち運べる重量のものを選びましょう。
また、いざというときに置き場所を忘れた、といった事態を避けるために、常日頃からリビングの隅など、家の見える所に置いておくことを推奨します。部屋の大きさに対して、邪魔にならないサイズのものがおすすめです。
なお、置き場所は、「直射日光の当たらない、風通しの良い所」が最適です。地震の際に落ちたり、取り出しにくくなってしまったりするのを避けるため、高所は避けましょう。
・価格
価格はバッテリー容量と比例します。
家電への電源供給に困らない程度、1000Wh程度の容量であれば、購入のタイミングにもよりますが、10万円前後は見ておきましょう。倍の2000Wh程度の容量のものは、12〜15万円程度が目安です。
もしスマートフォンの充電のみなど、用途が小型の電子機器に限られているなら、容量の少ない5万円程度の小型ポータブル電源も視野に入れていいでしょう。
・保証期間の長さ
保証期間は最低でも5年の長さが必須です。さらに保証期間後も、バッテリーの寿命を迎えた際の無料回収などに対応してもらえるメーカーを選んでください。
・日本語でのサポートが受けられる
日本語でのサポート窓口があり、問い合わせにも丁寧に対応してもらえるメーカーを選ぶことが重要です。連絡がなかなかつかないようなメーカーは、緊急の時にも対応してもらえないリスクがあるためです。
ポータブル電源を選ぶ基準はさまざまですが、基本的には、「Anker」「BLUETTI」「EcoFlow」「Jackery」など、ポータブル電源の代表的なメーカーの商品を選べば大きな問題はないでしょう。
高荷さんおすすめ! ポータブル電源&ソーラーパネル
Anker Solix C1000 Gen 2 Portable Power Station with Anker Solix PS100 Compact Portable Solar Panel
モバイル充電機器においてトップシェアのAnkerが提供するポータブル電源と、折りたたむとA4程度のサイズになるソーラーパネルのセットです。
出力AC1550W、容量1024Whのスペックで、一般家庭の電化製品を問題なく稼働させられます。満充電まで最短54分(※)という充電速度も魅力です。
一般的に、ポータブル電源はバッテリーの劣化を避けるため、60〜80%での容量での保管が推奨されていますが、この商品は100%満充電での保管が可能です。充電をしたまま放置してもOKで仕様がわかりやすく、「最初の一台」としておすすめです。
価格:159,900円(税込)
https://www.ankerjapan.com/products/b17635z1
- 20℃のテスト環境下におけるAnker調べ。専用アプリで超急速充電モード設定時。通常モードでは約60分です。外気温や使用環境により充電時間は異なる場合があります。
Jackery Solar Generator 1000 New V3 ポータブル電源セット(ブラック+オレンジ)+ソーラーパネル 100W(JS-100F)×1枚
本体の重量が10.6kgと軽く、コンパクトでデザイン性の高い本体とソーラーパネルのセットです。
スペックはAC定格出力1500W、容量1024Whで、電子レンジなども動かせます。
アプリ機能が充実していて、Wi−FiやBluetoothでスマートフォンに接続することで、アプリ内でバッテリー残量や充電状況の確認や、プラグを抜き差しせずに給電のオンオフが設定できます。
たとえば、電気料金が安い時間帯にポータブル電源を充電し、電気料金が高い時間帯にはポータブル充電から家電へ給電を行うといった設定も可能です。ご自身で使い方をカスタマイズしたい方向けのポータブル電源といえます。
価格:108,450円(税込)〜
https://www.jackery.jp/products/solar-generator-1000-new-v3
※本記事の内容は2026年10月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
お話を聞いたのは●高荷智也さん
たかに・ともや/合同会社ソナエルワークス 代表。備え・防災アドバイザー。1982年、静岡県生まれ。「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに「自分と家族が死なないための防災対策」を体系的に解説するフリーの防災専門家。大地震や感染症など自然災害への備えから、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝える活動に定評がある。講演・執筆・メディア出演も多く、防災YouTuberとしても活動している。著書に『今日から始める家庭の防災計画』『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店)他多数。
https://sonaeru.jp/