ガーデニング

「観葉植物」が巣ごもりで疲れた心を癒してくれる

多くの時間を過ごす自宅を、リラックスできる空間にしたいというニーズが高まり、いま、観葉植物が静かなブームになっている。ECサイトや全国に店舗を展開する日比谷花壇のガーデンデザイナーに、“おうち園芸”のメリットと、初心者でもできる楽しみ方を聞いた。
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教えてくれた人●日比谷花壇 ガーデンデザイナー 保坂 悠平さん

造園技法を取り入れたバイオフィリックデザインの提案を得意とし、個人邸からオフィス・商業施設の緑化計画まで、幅広く手掛ける。植栽管理では、地域の多世代交流を目的とした総合園芸プログラムの監修も行う。
1級造園施工管理技士、樹木医、自然再生士。

緑視率を参考に、自宅をリラックス空間に!

※写真はイメージです

2020年、日比谷花壇オンラインショップのご利用者数は、前年に比べ大幅に伸長。フラワーギフトと共に観葉植物も買い求める人が急増しているという。個人の邸宅からオフィスや商業施設の緑化計画まで手がける、ガーデンデザイナーの保坂悠平さんはこう語る。

「ご家庭で過ごす時間が増えて“おうち園芸”を楽しむ人が確実に増えています。観葉植物は熱帯~亜熱帯の原産が主で、弱い光でも育てられるものが多いです。室内が温かいマンションは管理に向いていますね」

二酸化炭素を吸って酸素を出してくれる植物を部屋に置くと、リラックス効果が得られる。中でもサンスベリアは、マイナスイオンの放出による空気清浄効果が高いことでも知られている。最近、注目されているデータは「緑視率」。これは人の視界に占める緑の割合を測る指標で、国土交通省が平成17年に発表した緑視率についての調査資料では、「緑視率が高い場所ほど安らぎを感じる人が多い」という結果がまとめられている。

「自分を中心にした半径3~5メートルの中に、緑色の割合が10~18パーセント置くのが目安です」

植物の緑には、ストレスや疲労感を減らす効果もある。それは近年、本物と見間違うほど精巧になってきたフェイクグリーンでも同様だが、保坂さんは「本物ではないと自分が認識してしまうと、心理的な効果が薄れてしまいます」と語る。やはり、生きた植物を育てるのが良さそうだ。

グリーンを見るとリラックス効果が。

“成長するインテリア”の変化を楽しむ

葉が小さいポトスはハンギング(吊り鉢)で飾りやすい。
土を使わないエコスギ(植物用土)は根腐れをおこしにくく、水やりの回数も少なくてすむ。左からペペロミア、コルジリネ、ポトス。写真提供/日比谷花壇

テレビドラマや雑誌に登場するハイセンスな部屋には、必ずと言っていいほど置かれている観葉植物。インテリアとして楽しむときのポイントがある。

「リビングに置くなら100センチ以上。葉が多くて緑視率も上がりますし、大きい方が植物の存在感が出ます。大きな鉢の隣に別の小さな鉢のものを置くなど、グリーンの置き方にまとまりをつけると、さらにインテリア性がアップします。また、天井やカーテンレールなどから吊るすハンギング(吊り鉢)も、空間のアクセントになるので人気がありますね」

鉢植えなら植物が上や横に成長し、ハンギングなら下に伸びてくる。日々、緑の形が少しずつ変わっていくのが、観葉植物の魅力とか。

「お気に入りの家具を置くのもいいものですが、植物は“成長するインテリア”。その変化を楽しんでください」 

植物を育てたことがない人でも始めやすいのは、土を使わない観葉植物のセット鉢。日比谷花壇では、土の代わりにハイドロボールやエコスギといった、取り扱いが簡単な植物用土を使った鉢も人気だ。

 

ハイドロボールとは、粘土を高温で焼いて発泡されたもので、小さな球形をしたもの。そのボールを土の代わりに敷き詰め、そこに植物を植えて育てる。エコスギは、国産の杉チップに土壌バクテリアを散布したもの。どちらも保水性や通気性、そして排水性に優れている。

「土がついた観葉植物を、部屋の中に置くのは抵抗がある方もいらっしゃると思います。その点、ハイドロボールやエコスギを使った観葉植物では、鉢植えより圧倒的に水やり管理がしやすく、初心者の方でも安心してスタートできます」

キッチンなど、より清潔感を求められる場所には、土を使わない小さめの鉢を置くのがオススメだ。

プロが鉄板を押す、ビギナー向けの3種類

保坂さんが園芸初心者に勧めるのは、パキラ、ポトス、フィカス(ゴムの木)の3種類。どれも育てやすく丈夫だ。日当たりを好むパキラは1メートルを超えるものから小さな鉢植えまで大きさはさまざま。

「パキラはすっと伸びた幹に大きな葉が星型に広がる植物で、幹の内部が柔らかいため、編み込んだりすることができます。室内の明るい窓辺を好みます」

ポトスはよく伸びるツルに明るい緑色の葉をつけるのが魅力の、生命力にあふれる植物だ。乾燥に強く、グローバルグリーンという緑色の濃淡が美しいものや、エンジョイというおしゃれな班入りの品種など、好みのルックスを選べる。

「繁殖力の強いツル性の植物なので、伸びたところをカットして水に挿しておけば、そこからまた新しく根が生えます。手軽に“増やせる”のも魅力ですね」

フィカスも、人気のフィカス・アルテシマやフィカス・ウンベラータなど、たくさんの品種がある。

「アルテシマは葉が班入りで硬い質感、ウンベラータは柔らかくも存在感のあるハート型の葉が女性に人気。選べる種類が多く、大きく育てたりこんもりと茂らせたり。初めてのインテリアグリーンとして、楽しみ方は十人十色です」

幅広く親しまれているパキラ。お手入れも簡単なので、ビギナーも安心だ。写真提供/日比谷花壇
緑の色が鮮やかで丸い葉のフィカス・アルテシマは、ゴムの木の中でも一番の人気。写真提供/日比谷花壇

忙しい人は、多肉植物がベスト

手のひらサイズもある多肉植物は、家の様々な場所のインテリアとして活躍する。写真提供/日比谷花壇

前出のパキラ、ポトス、フィカスのように丈夫な植物でも、水やりや霧吹きなどの世話は必要。育てる上で一番大切なのは水やりのタイミングで、水をやりすぎれば根腐れし、水が少ないと枯れてしまう。

最近では、目で見て灌水のタイミングを判断できる水やりチェッカーが手軽に購入できる。また、それがあっても自宅に不在がちでたまにチェックするのが難しい人は、多肉植物やサボテンから始めてみるのも手だ。

「多肉植物は生育期と休眠期があり、肉厚の葉の中に水を蓄えられるので、水やりの頻度は少なくて済みます。中でもサボテンは、冬場であれば水やりの必要がありません。どちらも小さな鉢の商品が多いので、置く場所も選びません」

多肉植物やサボテンはいくつかの品種の寄植えで売られていることも多い。テーブルや棚の上に置いてみると、小さくてもグリーンならではのニュアンスを出せる。

インテリアとしての決め手は、その部屋になじむ鉢カバーを選ぶこともインテリアとして楽しむ方法の一つ。シンプルモダンの部屋なら白やグレーの鉢、ナチュラルテイストの部屋なら自然素材で編んだカバーや木製鉢など、部屋のイメージから考えるのもひとつ。

観葉植物は家具と違い、時間を経過とともに変化を楽しめることが最大の魅力。思い立ったら、まずは定番の植物からスタートしてみては如何だろうか。

日比谷花壇=取材協力 小田慶子=文

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