理想の住まいの選び方

家族仲良く、元気に暮らす! 理想のマンションに出会うための「家相」入門

マンションは大きな買い物だからこそ、立地や利便性、管理体制など、さまざまな条件から理想を探すもの。ただ、似たような物件なら、決め手に迷うことも。そんなときは「家相」の知恵を参考にして選んでみてはどうだろうか。家には、住む人の運気を左右する要因があるという。そもそも家相とは何か? マンション選びの際に気をつけたい点は? 家相建築設計士の佐藤秀海さんに聞いた。

徳川家康も取り入れていた「家相」の知恵

家相は方位学を起源に持つ学問で、方角で吉凶を判断するものだ。これに陰陽道や五行説、易学などを加味してできたとされる。家相に基づいて建物を設計する佐藤秀海さんによると、家相のいい家のメリットは「住む人が健康で、争いごとなく幸せに暮らせること」だそう。

「自宅は人が多くの時間を過ごす場所で、お互いに影響を与えます。住む家によって人生が変わるのが家相の考え方。江戸時代には徳川幕府も家相の知恵を取り入れていました。たとえば家相のいい暮らしでは、エネルギーが活発になり、フットワークの軽い生活が望めるでしょう。目に見えないものですが、間取りを見る際にいくつかの点を気にするだけで、いい家に出会えるはずです」

自身で建てる一軒家とは異なり、マンションの場合はすでに家相が決まっている。その際、マンションの建物全体で「エントランスが鬼門にある」「斜面に建っている」などは避けた方が無難だが、それよりは実際に生活する部屋の家相を観ることが重要だという。

家相によるマンション選びのポイント

家相の面から部屋を見る際、キーとなるのは「不浄物の位置」と「玄関の位置」、家の「形」だ。不浄物とは、コンロや給湯器などの「火気」や、流し台や風呂、トイレ、排水管などの「水まわり」を指す。

「方角にはそれぞれ意味がありますが、特に注意したいのは“北東の表鬼門”“南西の裏鬼門”。家族全員が気を付けるべきがこの鬼門です。北東と南西、それらを結ぶ線上に不浄物や玄関がない物件を選ぶといいでしょう。特に、火気は人の精神状態に影響しやすいのでより注意してください。また、IHであればガスコンロよりも危険度が下がります」

「鬼門に加えて、人は生まれた年によって“十二支方位”“九星方位”や、家族の役割で決まる“家族方位”など、気を付ける方角が決まっていす。家族個々の方位も考慮するとなお良いでしょう」

また、部屋の形も重要なポイントだ、凹凸があるものや三角形などは避け、シンプルな四角形が理想的。基本的に外に出ている「張り」は吉相、へこんでいる「欠け」は凶相となるが、いずれも鬼門にあると大凶相になってしまう。

「マンション選びの際は、なるべく多くの物件を見ることが大切です。そして、同じ条件のマンションであれば、できるだけ方角を意識してください。例えば、同マンション内で間取りが逆になっているものがあると思いますが、家相の観点からより良い方を選ぶといいでしょう」

ちなみに方角で運勢が変わると聞くと、風水をイメージするかもしれないが、「厳密には別のもの」だそう。

「家相には誰に対しても危険な鬼門方位がありますが、風水にはそのような考え方はありません。風水には鬼門はなく、どこの方位でも、色やものの配置で対処できるという考えです。もともと建っている物件では、大掛かりなリフォームでもしない限り家相は変えられません。そのような場合に、風水を補完的に活用するのが最良です。また、中古物件を買ってリフォームする際は、神主を招いてお祓いをしてもらい、前の入居者の運気を一度きれいにしてから入居するのがおすすめです」

家庭円満、健康、学力向上……幸せを招く物件の選び方

自分が望む生活によって注意して見るべき点を聞いた。新居でどんな生活を過ごしたいかを考えながら、いい要素を取り入れるといいだろう。

■家庭円満で暮らしたい

ガスコンロやガス給湯器などの火気の位置に要注意。火気の影響は強いので、この方位が凶相だと、ストレスがたまりイライラして家庭内の雰囲気が悪くなりがち。影響が強く出ると、メンタルの不調も出やすいとされる。さらに「欠け」にも気を付けたい。特に玄関が「欠け」ていると、欠けの影響が強く出るので、人間関係がギスギスして家族仲が悪くなりやすい。また、金運を司る北西の「欠け」は、財産など家計に関するトラブルが起こりがちだが、マンションの場合には、極端に大きく欠けていなければ、戸建て住宅よりも影響が少ないと思ってもよい。

■イキイキと健康を保ちたい

北東の表鬼門にキッチンや風呂があると、メンタルや体の不調につながりやすいとされる。健康面でも「欠け」を避けることは大切。加えて、個人の十二支方位に、火や水、玄関を置かないことが健康を保つコツ。人によってその方角は変わるため、家族の中で特に環境の変化に敏感な人がいれば、その人の十二支方位を優先するといいだろう。

■子どもの学力を向上させたい

大地(土)のエネルギーを受けやすい低層かつ、日当たりがいい部屋がおすすめ。また、ベッドや机の位置も見落としてはいけない。いい方角は「北と東」と覚えよう。たとえばベッドの頭を北にすると、睡眠の質が向上し、脳の働きが活発になるという。磁気線が通っている南北のラインに沿って寝ると安眠を得られるからだ。また日が昇る東もすっきり目覚められる。机を配置するのは東を選ぶのが○。

お話を聞いたのは●佐藤秀海さん

さとう・しゅうかい/家相建築士、住宅アドバイザー、有限会社家相建築設計事務所代表。1960年、東京都出身。法政大学経営学部卒業。家相の大家である鶴野晴山氏が運営する日本家相建築協会を経て、建築士の資格を取得。2000年に家相建築設計事務所を設立。家相建築家として、住宅・店舗・事務所などの設計監理とリフォーム・マンション選びの相談を受ける。全国各地での講演活動のほか、雑誌などでも精力的に活動。また、茨城県つくば市千勝神社において神主として奉仕している。主な著書に『カラー版 よくわかる!家相と間取り』(エクスナレッジ)、『プロのための家相マニュアルー建て主が納得する家づくり』(エクスナレッジ)など。
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