イベントアフターレポート
講談が初めてのお客様に向けて、まずは基礎知識を
まずは神田伯山一門の三番弟子、神田若之丞さんの前座から。工夫を凝らし、戦いには不利とされる短槍で勝機をつかむ物語「長短槍試合」を、若手らしく生き生きと読み、観客の心を惹きつけます。
座が暖まったところで真打、神田伯山さんが高座へ。「この中に講談が初めてという方はいますか」という伯山さんの問いかけに、客席の半分以上の方が挙手。その様子を見た伯山さんは「初めて聴いてくださる方がたくさんいらして嬉しいですね」と笑顔を見せ、まくら(本題に入る前の導入部分)では、講談の歴史をはじめ、講談師が手にする張り扇や釈台(講談師の前にある机)の紹介など、ユーモアを交えながら語ってくださいました。
釈台をパパンと打つ小気味のいい音に引き込まれ
こうしてお客様が予備知識を得たところで、いよいよ物語の始まりです。
最初の演目は「鼓ヶ滝(つづみがたき)」。平安時代末期から鎌倉時代初期に活躍した歌人、西行法師の修行と成長を描いた物語です。続く演目「出世浄瑠璃」は、信州松本の城主、松平丹波守(まつだいらたんばのかみ)が参勤交代で江戸に向かう途中、秋の碓氷峠で2人の家臣が演じる浄瑠璃を耳にしたことが、思いがけない結末へと進んでいきます。
どちらも鋭く切り込む語りにふと差し込まれるユーモアが絶妙な緩急を生み出し、そこに張り扇で釈台をパパンと打つ小気味よい音が加わることで、客席はぐいぐい引き込まれていきます。
伯山さんが二席を終え仲入り(休憩)を迎えると、ホールのあちこちで「さすがだね」「話も面白いんだけど、なにより声がいい」「講談って面白いんだね」という声が。会場に用意された神田伯山さんの書籍も完売となり、初めて講談に触れたお客様も、すっかりその魅力に引き込まれた様子です。
仲入り後に、いよいよ最後の演目「徂徠豆腐(そらいどうふ)」へ。食べるものにも事欠く貧しい学者・荻生惣右衛門(おぎゅうそうえもん)を、人のいい豆腐屋の主人が支える物語です。声を落とし、間を含ませるように力なく話す惣右衛門に対し、豆腐屋は張りのある声で威勢よく畳みかける。そのコントラストと声の切り替えで、人物像がリアルに描き出されます。
数年後、火事で焼け出され一文なしになった豆腐屋主人を、出世した惣右衛門が助けるという世話講談で、伯山さん自身も心に響く一席だといいます。こうして温かな余韻とたくさんの笑顔に包まれ、独演会は幕を閉じました。
日本人が大切にしてきた物語を受け継いでいきたい
「初めてのお客様が多かったのですが、反応もよく、優しい空気が広がっていて。これを機会に講談を生で聴きたいという方が少しでも増えたら嬉しいですね」と伯山さんは、にこやかに振り返ります。
「講談には心に響く素敵な物語がたくさんありますし、昔から日本人が大切にしてきたものが息づいています。それをしっかり受け継ぎ、この令和の時代に大勢の人と共有していきたい、皆さまに講談の面白さをお裾分けしたい、そう思っています」
伯山さんによれば、講談には現在伝わるだけでも約4500の古典演目があるそうです。だからこそ楽しみはどんどん広がっていきます。
情景が浮かぶ圧巻の高座に魅了されたひととき
講談を聴くのはこの日が初めてというY・O様(40代)は、「古典はちょっと堅苦しいイメージでしたが、それを感じさせないくらい面白かった。碓氷峠の紅葉が色づく様子なども臨場感たっぷりでした」。ご一緒されていたお仕事仲間のK・Y様(60代)も「ずっと笑いっぱなしで、あっという間に時間が過ぎてしまいました」と満面の笑みを見せてくださいました。
親子で伯山さんの講談を聴くのは2回目というJ・A様(50代)は、「前回は寄席でしたが、今日は全く違う雰囲気の中で神田伯山さんの講談が聴けて嬉しかったです。伯山さんの語りはパワフルで、情景がよく浮かんできますね」。ご一緒に訪れた20代のお嬢様も「今回は伯山さんお一人の噺をじっくり聴くことができて楽しかったです」と笑顔で会場を後にされました。
講談との出合いをきっかけに、「次は寄席に行ってみたい」と声を弾ませる方の姿も見られ、楽しみの余韻は次の物語へと続いていくようでした。
- 本記事の内容は2026年5月掲載時の情報となります。情報が更新される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
こちらの記事もご覧ください!
マンションでかなえるペットリフォームの基本とアイデア
全館空調の快適さを、この先もずっと。賢くつなぐ「エアロテック リプレイス(機器交換)」
冬は暖かく、夏は涼しい! 「先進的窓リノベ2026事業」で理想の空間を
ホテルライクな空間を自宅に。くつろぎを生むフルリフォーム