健康に暮らすのための『窓』。
『住まいの窓』。その先に見える眺望や景色、開放感など心理的な豊かさと満足感を得る上でも大切なチェックポイントになるでしょう。しかし、“窓”本来の目的は、通風や採光という健康に暮らすために欠かせない機能的な役割をもって必要とされているものです。
そのため、長い時間を過ごす居室、例えば、リビング・ダイニングや寝室、子ども部屋などの空間には、必ず窓を設けることが決められています。建築基準法では、採光に有効な面積はその居室の床面積の7分の1以上必要とされ、換気に有効な面積はその居室の床面積の20分の1以上必要というように最低限の大きさが定められています。また、自然の通風の取り入れ(=換気)においては、現在の新築住宅は24時間換気設備の設置も義務付けられています。確かに“窓がある”だけでは心地よい風が通り抜ける住まいになるわけではないのです。では、どんな点に注意して間取りや窓を考えると風通しの良い住まいがつくりだせるのでしょうか。
日本の『風』を知っておくということ。
ひとつ目のポイントは天候に左右されずに一定の方向から吹く風、「主風方向」です。主風方向には、海からの風と山からの風というように、土地それぞれにも固有の要因があり、季節や東から西に太陽が動く1日のなかでも変化しています。
例えば、季節によって日射量は変化し、合わせて空気の温まり方や冷やされ方に差が生まれます。温暖前線が通過すると風向きが東よりから南よりに、寒冷前線が通過すると風向きは南よりから北よりに変わることになります。上手く風の方向を捉えると、窓は小さくても風通しがよくなるので、気象情報などを参考にしてはどうでしょうか。
一般的に日本人は住まいの開口部が南向きである間取りを好むといわれますが、それも古来からある採光にプラスして風も捉えるという知恵だといえるでしょう。
開けっ放しより、こまめに『風の通り道』つくってあげましょう。
もうひとつは風の通り道をつくるということです。簡単に変えることのできない窓の位置も、開け方次第で風通しの効果に違いがでます。まず基本は、窓を開けて換気する際には1か所だけではなく、2か所の窓を開けること。風の入口と出口になるため、できれば向かい合わせか、対角線上にあるとより効果的です。リビングに一方向しか窓がない間取りの場合は、バルコニーに接する窓と玄関側の部屋の窓と、途中の扉を開けておけば住まい全体に風が通り抜けます。リビングだけを換気したい、玄関を開けておけない場合は、バルコニーに面する窓の左右両端、2か所を開けるとよいでしょう。
でも、窓は網戸が片側にしかないため左右両端は開けにくいという住まいも多いはずです。窓を開けて換気するときの目安は、1時間に5~10分程度。10分の換気を1回するよりも、5分の換気を2回する方が効果は高くなるともいわれています。網戸のない側の窓は小さく、短い時間だけにすると虫が入る心配も少ないでしょう。大きく開け放っておくよりも、こまめに、回数を多く換気をするが気持ちよいお部屋のポイントです。また、異なる場所の窓を開ける場合、風や空気は小さい隙間から勢いよく入り、大きい隙間から出ていきやすいという性質を知っておくとより効率的に風を通すことができます。
知恵と利器の活用で、もっと『風』をよくする暮らし方を。
マンションの間取りは窓が限られるから風通しが悪いのは仕方がない?ということでもありません。リフォームで工夫すると風通しをよくすることも可能です。例えば、LDKが面する大きな窓が南側にあり、北側が収納や間仕切り壁で分断されている場合の風の出入り口を考えたいくつかのアイデアをご紹介しておきます。
- 玄関ドアに網戸:戸建て以外に、マンションタイプもあるため取り付けるとドアを開けておけるようになり、家全体に風が抜けるようになります。(※)
- 間仕切り壁を引き戸に:LDKと北側の居室の間を開け放てるようになり、空間も広がるため空気もこもりにくいでしょう。
- 収納を変更:LDKと北側の居室の収納をウォークスルークローゼットにすると、行き来できるようになり使い勝手もよく、衣類も風が通せます。
- 間仕切り壁に室内窓:LDKと居室の間に窓を取り付けることで風の通り道がつくれ、家族間の気配も感じやすくなります。
- 取り付け可能かどうかは、事前に管理規約の確認が必要
最後に、それでも間取りから風の流れや効果が考えにくいならば、利器の活用です。キッチンの換気扇(レンジフード)は住まいの中でも排気量が大きいため、開ける窓が1つしかない場合の換気に役立ちます。この場合、キッチンに近い窓よりも離れている窓を開けたほうが部屋全体に風の流れをつくり、換気を効率よくアシストしてくれます。
また、インテリアとしてもセンスアップされるシーリングファンンを取り入れてみてもいいでしょう。シーリングファンは直接的に部屋の空気を冷やす・暖めるのではなく、空気を循環させることで冷暖房の効率を上げるものです。特に夏場は、外気が入る壁際は外からの熱気を帯びて空気が暖まり、上昇気流が発生するため上に熱気がこもりやすくなります。ファンを下向きにして空気の流れを促すと、部屋中の空気を効率よくかき混ぜる効果も見込め、体に直接風を感じることができて体感温度を下げてくれます。(逆に、冬場は天井に向かって上に吹く風を送るとよいといわれています。)


