ライフデザイン

ボードゲーム・ジャーナリストの住職が推す!「年末年始に楽しむ」ボードゲーム3選

家族や親戚が集まる年末年始に、おすすめなのがボードゲームだ。「リアルに対面し、互いの表情や仕草を感じられる距離で一緒に盛り上がることで、普段は見られない親族の素顔に触れる機会にもなります」と話すのは、ボードゲーム評論家としても活動する小野卓也住職。大人も子どももみんなが楽しめるボードゲームの選び方と、おすすめのゲーム3つを教えてもらった。

ほろ酔いの大人も楽しめるくらいが、ちょうどいい

①子どもの年齢を考慮する

子どもの場合、ひらがなが読めるか、足し算や掛け算などの計算ができるかによって、プレイできるゲームが異なってくるため、事前に確認しておくといい。
 
「だいたい小学校の3、4年生くらいを境に、遊ぶゲームががらりと変わります。小学校低学年やその前のお子さんがいる場合、言葉や計算が必要ないものや、ルールを変えて難易度を調整できるようなものがいいでしょう」

②短時間で終わるシンプルなゲームを選ぶ

年末年始は、家事や買い物などで忙しいのに加えて、テレビを見たい人、酒を飲んで語り合いたい人など、過ごし方も人それぞれになりがち。そうしたことを考慮して、プレイ時間が長いゲームではなく、サクッと短時間で楽しめるものを選ぶといい。目安としては、15分程度で、頭を使って考え込むよりも反射的に盛り上がれるものがおすすめだ。
 
「頭を使うゲームの場合、1回やると疲れてしまうこともあり、ちょっとした空き時間に“やろうか”という雰囲気になりにくい。大人がほろ酔いのときでも楽しめるくらいのシンプルな内容のものがいいですね」

小野住職が太鼓判を押す!「場を沸かす」ボードゲーム3選

①“釣る”感覚にテンションも上がる『カヤナック』

北極の氷原に見立てたゲーム盤に穴を開け、磁石のついた釣竿で魚(金属球)を釣っていくゲーム。釣り上げた魚の得点が一番多い人が勝ちとなる。ゲームのレベルが3段階あり、参加者の年齢などに合わせて難易度を調整できるのが特徴。
 
「現実と同じで、魚がよく釣れる場所もあればそうでもない場所もある。自分の開けた穴で釣れない場合は、サイコロを振って他の人が開けた穴に移動するなど、プレイ中にちょっとしたドラマが生まれます。また、氷に見立てた紙に穴を開けるときのブスリと刺す感覚、魚が釣れるときの磁石に金属の球がカチっとひっつく感覚などを得ることができるのも、ボードゲームならでは。ルール通りにする必要はなく、小さいお子さんがいる場合には好きなところに穴を開けて釣っていいとするなど、柔軟に楽しんでください」


『カヤナック』
人数:2〜4人 年齢:4歳以上 時間:約15分
製作:ハバ社(ドイツ) 販売元:ブラザー・ジョルダン社 希望小売価格:6,820円(税込)

②運と勝負欲が試されるサイコロゲーム『ストライクASIA』

段の付いたすり鉢状の「アリーナ」に向かって手持ちのサイコロを振り入れ、最後まで残ることを競うゲーム。アリーナ内で同じ目が揃うとそのサイコロをもらうことができ、X印が出た場合や、アリーナから飛び出したサイコロはゲームから除外する。最後まで手元にサイコロを残した人が勝者となる。
 
「運に左右される部分が大きく、年齢差があまり関係ないゲームです。一番のポイントはサイコロの追加投入ができるという点で、そこに各々の性格が現れるんです。目が揃っていない状態、つまりすでに2、3個のサイコロがアリーナにある状態というのは、次に揃う確率がどんどん高まっているんですが、失敗すると手持ちのサイコロが減ってしまう。そこで勝負に出るのかやめておくのか、そういう駆け引きがあります。アリーナ内で他のサイコロにぶつけると目が変わることもあり、成功すると盛り上がりますね」

『ストライクASIA』
人数:2〜5人 年齢:8歳以上 時間:約15分
製作:ラベンスバーガー社(ドイツ) 販売元:ラベンスバーガー社/ブリオジャパン 希望小売価格:2,750円(税込)

③条件付きでカタカナ語を説明していく『カタカナーシ』

出題者が「ハンバーガー」「アナウンサー」などのカタカナ語をカタカナなしで説明し、回答者を正解へ導くパーティーゲーム。正解すると出題者と正解者がお題カードを1枚ずつもらい、正解者が次の出題者となる。先に10枚集めた人が勝ち。「ラップ風に」「単語だけで」など、表現を制限するイベントカードがさらにゲームを盛り上げる。
 
「例えば、お題が『ケーキ』というカタカナ語だとすると、スポンジや生クリーム、オーブンという言葉を使えない。熱して膨らませた甘いものとか、そういう工夫をこらした説明をしていくんです。そこにイベントカードなどが絡むとさらに変な説明になっていくんですが、それにみんなでツッコミを入れたりしながら、だんだんと正解にたどりつく過程でとても盛り上がります。中高生なんかだと、ゲームをなかなか一緒にやりたがらないことも多いんですが、こういうパーティーゲームなんかは、気軽にできておすすめです」

『カタカナーシ』『カタカナーシ2』
人数:3〜8人 年齢:8歳以上 時間:約15分
ゲームデザイン:Kazuna(TUKAPON) 発売元:幻冬舎 定価:各1,760円(税込)

お話を聞いたのは●小野卓也さん

おのたくや/曹洞宗三峯山洞松寺住職、ボードゲーム・ジャーナリスト。大学在学中の1996年にインターネットサイト「Table Games in the World」を立ち上げ、世界のボードゲームの情報配信を開始。1999年からは住職としての職務を果たしつつ、サイトの運営、ドイツ語ルールブックの翻訳、専門誌・新聞などへの執筆、ボードゲームイベントの企画など多岐にわたる普及活動を行う。著書に『ボードゲームワールド』(スモール出版)『ボードゲームで社会が変わる』(河出新書)など。個人的なオールタイムベストは豆を育てるカードゲーム『ボーナンザ』。
https://tgiw.info/