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ヨーグルトで腸活!おいしく食べて腸から健康に!

腸内環境を整えることで健康になろうという「腸活」。なかでも種類が豊富にあるヨーグルトは、手軽に試しやすく、腸活の強い味方です。ヨーグルト研究家として、日々腸活を実践している花映さんが、ヨーグルトの作用や効果的な食べ方をお教えします。

花映さんが実践している「腸活」とは?

私は現在、毎日400g入りのヨーグルトを1パック、1週間に3kgほど食べています。ヨーグルトに興味を持ったのは、美容に興味を持ちだした中学生の頃。それまでは母が買ってきてくれたものを食べていたのですが、メーカーやブランドによって種類や特徴があり、いろいろと試して比べる楽しさを知るようになったのです。

食べ方にも工夫をしていて、ヨーグルト以外の発酵食品や食物繊維、オリゴ糖も意識して摂っています。生きた菌を取り入れることを「プロバイオティクス」といいますが、腸活では、菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖を一緒に摂る「シンバイオティクス」も大切だと考えるからです。

また、運動やマッサージなどのリラックスタイムも意識しています。脳と腸には密接な関係があり、自律神経が興奮したままの状態になってしまうと腸も影響を受けて腸内細菌のバランスが崩れてしまい、それによって不安感が増すなどの悪循環に陥るからです。ですから、お風呂や就寝前のリラックスタイムで1日の疲れをリセットすることは、腸にとっても重要なのです。

ちなみに、幸せホルモンと呼ばれているセロトニンの90%は腸で作られているそうで、セロトニンがしっかりと作られることで脳が幸せをきちんと感じ取ることができます。また、セロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニンの原料にもなるので、安眠にもつながります。

乳酸菌やビフィズス菌が、不調の原因となる悪玉菌の増加を抑える!

それではなぜ、ヨーグルトが腸活に有効なのでしょうか。私たちの腸の中にはさまざまな細菌がいますが、食生活の乱れや不規則な生活などで腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増えると腐敗物質が発生してしまい、それが腸から血管に吸収されて全身を巡ります。その結果として肌荒れなど、さまざまな体調不良の原因になると考えられています。

そこで活躍するのが、ヨーグルトに含まれている乳酸菌やビフィズス菌。乳酸菌は体内で乳酸を作り、ビフィズス菌は乳酸と酢酸を作り出します。それらが腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にすることで、便通が良くなったり、腸内を酸性にすることで、悪玉菌の増殖を抑制するという整腸作用をもたらします。それによって、病気の予防や改善、さらには美肌効果にもつながるのです。特に、酢酸は乳酸よりも抗菌効果が高く、腸を元気にする働きがあります。

かつては、乳酸菌やビフィズス菌が生きて腸に届くことを重視していましたが、最近の研究では、途中で死んでしまっても腸内細菌のエサとなり、その働きを助けるという考え方が主流です。豊富にエサがあると腸内細菌が活発に働き、腸の中で乳酸や酢酸が作られるので、たとえ生きて届かなくても無駄ではないんです。

どのヨーグルトを選べば良い?まずは目的や好みに合わせて選ぼう

最近では、各メーカーからいろいろなヨーグルトが出ていて、どれを選ぶべきか悩んでしまう人も多いでしょう。ヨーグルトは製造法や原材料によってさまざまな種類がありますが、私は「プレーン」「機能性」「デザート」の3つに大きく分けています。

「プレーン」は無糖・加糖を問わず、具が入っていないヨーグルトのことをいいます。自分で甘味を調整したりフルーツを加えたりアレンジが無限なうえ、400g入りのパックもあり日常的に食べて腸活を習慣にしようという方にピッタリでしょう。

「機能性」ヨーグルトは、ヨーグルトがもともと持っている整腸作用などに加えて「内臓脂肪を減らす」や「睡眠の質を改善する」など特定の機能を強化したものです。健康上の気になる点を改善したいという人におすすめで、1回分のドリンクタイプも多いので、外出が多い方やあまりヨーグルトを食べる習慣のない方も手軽に続けられます。

「デザート」はフルーツなどの具が入っていたり、生クリームやハチミツなどのリッチな原材料が用いられているものです。甘いものが好きだけど健康にも気を使いたい、という方に選んでいただくといいと思います。

スーパーやコンビニなどで見るヨーグルトは、基本的にこの3つのジャンルに分けられますが、さらにその中でも、さまざまな種類があります。よく見る特徴的な種類に「脂肪ゼロ」「ギリシャ」「植物性」などがあげられるでしょう。

「脂肪ゼロ」をうたっている場合でも、腸活への効果はほかのヨーグルトと同様に得られます。また、ヨーグルトの水分(ホエイ)を除いた「ギリシャヨーグルト」は、酸味が少なく濃厚な味わいが特徴です。クリームチーズの代わりとして食べたり、料理に利用するのもおすすめです。

また、「植物性ヨーグルト」を目にする機会も増えてきました。植物性のヨーグルトには、豆乳やアーモンドミルク、ココナッツミルクなどの種類があり、牛乳のヨーグルトと同じように腸活の効果を得ることができます。

植物性のヨーグルトの特徴のひとつが、コレステロールがゼロであるということ。さらに、牛乳アレルギーや乳糖不耐症の方、ヴィーガンの方も食べられるという利点があります。また、牛乳のヨーグルトでは得られない栄養素も含まれています。たとえば、豆乳ヨーグルトは、イソフラボンや大豆オリゴ糖が含まれるため、骨粗鬆症の予防に、アーモンドミルクヨーグルトは抗酸化作用のあるビタミンEや食物繊維が豊富に含まれるため、美容目的に、ココナッツミルクヨーグルトは体脂肪になりにくい中鎖脂肪酸が含まれているため、ダイエット目的の方におすすめです。ただし、アーモンドミルクやココナッツミルクのヨーグルトはカロリーが高くなりがちなので、食べる量には注意が必要です。

1日100~200gが適量。食べ続けることが大事!

先ほど私は毎日400gくらいのヨーグルトを食べていると言いましたが、一般的には、機能性ヨーグルトなどの個食パックの場合は1日1パック、プレーンヨーグルトであれば1日100~200gが適量です。健康な人であればたくさん食べても問題はありませんが、カロリー過多や栄養が偏らないように気をつけてください。口から摂取した乳酸菌やビフィズス菌は、体内に定着せずにどんどん失われていってしまいます。特にビフィズス菌は、加齢とともに減ってしまうので、毎日食べ続けることが大事です。

食べるタイミングは朝昼晩のいつでもかまいませんが、おすすめは夕食後。朝起きてから15時間後くらいに、体の中で細胞や組織の修復が行なわれ、腸の動きも活発になるからです。夕食後にヨーグルトを食べることで、乳酸菌を効率よく腸に届けられます。

体に合うヨーグルトの見極め方

実は腸内細菌の種類や量には個人差があるので、周りから勧められたものが必ずしも自分に合うとは限りません。自分には合わないなと感じたら、違うタイプのものに変えてみることも大事です。

見極めるタイミングは、毎日食べて2週間後くらい。排便を指標にすると、バナナうんち(色が黄土色で程よく形、硬さがあり、水に浮く状態)に近く、臭いが少ない状態が理想的です。ただし、排便は毎日あることよりもスッキリ感が大事。出ないことがストレスになると腸内環境の悪化につながってしまいます。排便のサイクルや量には個人差があるので、自分の体の状態に関心を持つきっかけにしてください。

なお、最近は慢性的に下痢や便秘、急な腹痛などを繰り返す過敏性腸症候群という病気の方が増えています。この病気にも、乳酸菌や食物繊維などを摂取して、腸内環境を整えることが有効とされているのですが、過敏性腸症候群の原因の1つと考えられている小腸内細菌異常増殖(SIBO)の症状をもつ方では、逆効果になってしまうことも。

発酵食品やオリゴ糖などでおなかが異常に張ってしまう場合、低FODMAP食という食事療法を試してみるのも1つの方法です。原因や治療法が定かでなく、周囲にも相談しづらい病気のため、病気そのものがストレスになってしまうことも多いのですが、体からのサインを受け取り、時には心身ともにしっかり休むことも重要です。まじめで責任感の強い人がなりがちな病気でもあるので、自分への労いを忘れないようにしてくださいね。

お話を聞いたのは●花映さん(ヨーグルト研究家)

はなえ/徳島県出身。東京農業大学卒業後、食品用香料・色素メーカーで研究開発および品質管理に携わるが、夢の実現のため、飲食業界に転職。現在は会社員として働きながらヨーグルト研究家として情報を発信。メディアでも活躍。2018年にヨーグルト専門店 Dear Mechnikov(ディア メチニコフ)をオープン。月に一度の営業を行っている。
https://www.instagram.com/hanae_yogurt/