上手に育てるコツは「どんどん使う」こと!
ハーブは季節ごとに、さまざまな楽しみを与えてくれる植物です。たとえば春の日差しが心地よい時季は、香りが優しく、夏の太陽を浴びれば、香りも味わいも濃くなります。暑い日、ほんのり苦味のあるハーブティーを飲むと「あぁ!夏だ」と実感するものです。
ハーブを上手に育てるコツは、どんどん使うこと。枯らさないためにも、風通しをよくするためにも、まめに収穫すれば、すくすく育ちます。ハーブに「ごちそうさま!ありがとう」の一声があるともっといいですね。不思議と通じている気がします。そして元気がないときは、「日差しが強いのかな」「室外機の熱風があたっているのかしら」と、世話を焼く――。人と植物、同じ場所に住む者同士、助け合って生活していることが感じられて、それもまた魅力と言えるでしょう。
ハーブはリラックス効果をはじめ、たくさんのメリットをもたらすと言われますが、それを期待してというよりは、楽しく、おいしく、ほどよい距離で付き合うことが長続きのコツです。
フレッシュハーブとドライハーブは、気分に合わせて使い分けを

ハーブを使うにあたって知っておきたいのは、摘んだものをそのまま楽しむ「フレッシュハーブ」と、乾燥させる「ドライハーブ」があることです。フレッシュハーブは、明るく澄んだ色合いが美しく、苦味は少なめ。一方、ドライハーブはいろいろな成分がギュッと凝縮されて味わい豊かな点が特徴。干ししいたけのようなイメージです。
ハーブの特性を最大限に活かすため、摘むタイミングも意識しましょう。フレッシュハーブは、使いたいとき、使う直前に摘んでください。食用にするなら、水で洗い、しっかり水気を乾かします。直前にパンと叩くと、香りがあふれますよ。
ドライハーブにするなら、最も香りがいいとされる朝に摘むのがベストです。摘んだら風通しのよい日陰で、ネットやざるに広げたり、束ねて吊したりして、2~3日干せばできあがり。戸外で干す場合は、夜になったら家に入れます。触ってパリパリと崩れればOK。缶や瓶に詰めて乾燥剤を入れておきましょう。
今日からできる!かんたんハーブアレンジ
ハーブのいいところを活かした簡単なアレンジ方法をご紹介します。簡単に始められますから、ぜひ生活に取り入れてみてください。
①ハーブワイン(フレッシュ/ドライ)
ワインボトルにハーブを入れて一晩寝かせれば、普通のワインも高級な味わいに。白ワインには、ローズマリー(フレッシュがおすすめで15cmのものを2本程度)がよく合います。ラベンダー(フレッシュであれば20cm程度を5本程度、ドライであれば大さじ1杯程度)を入れるとロゼのような色合いになってきれいですね。赤ワインにはセージ(フレッシュがおすすめで20cm程度を2~3本)を。香りが苦手でなければ2~3日置いてもいいでしょう。「香りが強すぎた!」と思ったら、ぜひお料理に。ちょうどよいアクセントになります。
②ハーブオイル(フレッシュ/ドライ)
オリーブオイル250mlにつき、12cm程度のローズマリーを2~3本。にんにくのスライス、ブラックペッパー、唐辛子(割ると辛みが強くなります)を一緒に入れてもよいでしょう。お料理だけではなく、パンやフォカッチャにつけてもおいしいです。
③アイスハーブ(フレッシュ)
製氷皿に水を半分入れて、ミントやタイムを浮かべ、さらに水を注いで凍らせると、ハーブ氷ができます。アイスティやジュースに入れると見た目も涼しげ。そのほか、ハーブティを凍らせて、炭酸水で割れば、爽やかな一杯になります。
④入浴剤(フレッシュ/ドライ)
湯気にのって、ハーブの香りがバスルームに広がります。ラベンダーはもちろん、ペパーミント、スペアミントといったミント類、レモンバーム、レモングラスなどのレモンの香りがするハーブ類、その日の気分に合わせて選んでください。クズが散らないよう、ネットや出汁パックに入れると後始末が楽です。ハーブは染色にも使われることから、残り湯は洗濯に使わないようにしてください。
製作過程も楽しい「手ごねハーブ石けん」

最後にドライハーブを使った見た目よし、香りよしのハーブ石けんの作り方をご紹介します。石けんの素地にお好きなハーブを混ぜ、手で練り合わせるだけで作れますから、小さなお子さんと一緒に楽しむこともできます。2種類を合わせてマーブル状にするなど、ぜひアレンジを楽しんでみてください。


【材料】
石けん素地 100g
ペパーミント(ドライハーブ)小さじ1
バタフライピー(ドライハーブ)10粒くらい
お湯(熱湯) 30g
【作り方】
- 石けん素地を半分(50gずつ)に分けてそれぞれビニール袋に入れる。ハーブはそれぞれ紙やプラスチックのコップに入れ、お湯を注ぎ、3分置く。熱いのでやけどに注意する。
- ペパーミントとお湯を入れたコップの中身を片方のビニール袋の中に全量入れる。袋の上から、適度な力でこねる。耳たぶくらいの固さになればOK。
- バタフライピーは花が入らないよう茶こしなどを使い液体のみをビニール袋に入れ、同様に耳たぶくらいの固さまでこねる。
- それぞれを袋から取り出し、手で軽く棒状にする。その後くっつけて1つにし、真ん中あたりで半分に折る。再度棒状にする作業を繰り返し、最後に形を整える。色の異なる2種類を合わせることで、きれいなマーブル模様の石けんになる。
- 日陰の風通しのよい場所で、3~4日かけて乾燥させる。一日何回か空気に触れる面を変えるとムラなく乾かすことができる。
- 完成後、ハーブの色が薄くなっていくため、石けんの色合いも少しずつ変化します。

お話を聞いたのは●梅原亜也子さん
うめはら・あやこ●生活の木ハンドメイドギルドディレクター。手作り石けん、手作り化粧品の研究開発に携わるほか、生活の木ハーバルライフカレッジなどの講師としても活躍。日々の暮らしの中で実践できる、ハーブの楽しみ方を伝えている。主な著書に『ハーブ染めレッスン—安心な材料だけで楽しむ、自然の色』、『ハーブ・アロマを楽しむナチュラルソープのつくりかた—手づくり石けん・香りと色のバリエーション20』(いずれも誠文堂新光社)など。
生活の木 公式サイト https://www.treeoflife.co.jp/