禅寺の住職が説く!人気再燃中の「ボードゲーム」の奥深い魅力

インドア遊びの需要が高まるなか、家族一緒に楽しめるボードゲームへの注目が高まっている。せっかくならボードゲームの世界をよく知ってから始めてみたい。「五感を通して相手とのつながりが深まるのが魅力」と語る住職兼ボードゲーム・ジャーナリストの小野卓也さんに、そのありがたみを聞いた。

目次

お話を聞いたのは●小野卓也さん

曹洞宗三峯山洞松寺住職/ボードゲーム・ジャーナリスト。大学在学中の1996年にインターネットサイト「Table Games in the World」を立ち上げ、世界のボードゲームの情報配信を開始。1999年からは住職としての職務を果たしつつ、サイトの運営、ドイツ語ルールブックの翻訳、専門誌、新聞などへの執筆、ボードゲームイベントの企画など多岐にわたる普及活動を行う。著書に『ボードゲームワールド』(スモール出版)など。個人的なオールタイムベストは豆を育てるカードゲーム『ボーナンザ』。

https://tgiw.info/

進化するボードゲームと世界のトレンド

テレビゲームに慣れ親しんだ世代は、ボードゲームといえば子どものころに遊んだ記憶で止まっているかもしれない。しかし現実にはこの20〜30年でボードゲームは多様化し、「子どもの遊び」の範疇を超えるものがたくさんある。
 
まず驚かされるのが近年のドイツを中心とした海外ボードゲームの進化だ。たとえば近年のボードゲームでは、手札を破り捨て、盤面にシールを貼って不可逆性の緊張感を楽しむ作品がある。また遊ぶたびに山札のカードの種類が増え、二度、三度と遊ぶうちに難度が上がり、より攻略甲斐が増す作品もある。
 
「1990年代にドイツで作られた『ファミリーゲーム』というジャンルは、家族で遊ぶことが想定されながら、子どもの対象年齢が高めでした。子どもの遊びに大人が付き合うのではなく、子どもと大人がほとんど対等に遊べるように作られたのです。それが進化した近年の作品には1プレイが終わりではなく『続き』があります。遊ぶたびに少しルールや新たなストーリー展開が明かされたりして、何回も遊べる設計が今の世界のトレンドです」

同じ空気を共有することが“癒し”になる

ボードゲームの魅力を「五感を使うことにつきる」と語る小野さん。デジタル画面を通したプレイでは、ほぼ視覚と聴覚に頼っている。一方、ボードゲームでは実物のコマを掴むことはもちろん、カードの受け渡しなどでお互いの距離が縮まり、その場に風が流れてくる空気感や一緒にいる人の息遣いまで感じることができる。
 
「ゲーム中に相手が『ふっ』と笑う瞬間があります。実際に空気が動くわけではないのですが、『ふっ』という空気感が対面だとわかります。相手のことや、ゲームをやっている環境が五感を通してリアルに感じられて、それが楽しさ、安心感、充実感、癒しを与えてくれます」
 
五感は自分のなかの感覚だが、それだけで完結せず、人と人とのつながりに結びついていくという。
 
最近はリモートでボードゲームをプレイする試みもあり、小野さんも実際に体験した。だが画面を通した視覚と聴覚だけの人とのつながりと、同じ空気を共有している人同士が五感で感じる感覚は、似て非なるものだった。どんなインタラクティブなデジタル画面でも、目の前にいる生身の人間にはかなわない。
 
「これからのお寺はたんにお経を読むのではなく、悩みを抱える人にいかに寄り添えるかが大事だといわれます。ボードゲームは寄り添っている状態での遊びです。同じ場で感覚を共有する、それによって相手の性格や考え方が見えてくる。ああ私とこの人、あの人は、考えていることが違うんだな。そういうあたり前ですが、普段意識しないことに気づきます。そして違うのであれば、その人に合わせて何ができるのか、その人とどう一緒に時間を楽しむかが大事になりますよね。お寺の考え方でいえば、楽しむことと癒しを得ることはかなり近いところにあります」

 

親子の“ホンネトーク”を促すおすすめボードゲーム

ボードゲームを介して親子のコミュニケーションが普段よりもうまくいくことがあるという。
 
「親子で一緒にゲームをすると、いろんな会話が生まれます。こういう場では親は考えていることを押し付けがましくなく伝えられますし、子どもは叱られることを考えずに本音をボソっと言えます。何かに集中していることで、かえって発言がしやすくなるんですね」
 
最後に家族でプレイするのにおすすめのボードゲームを3つ紹介してもらった。在宅時間が長くなった人は、これを機会に親子での“ホンネトーク”をしてみてはどうだろうか。

■おすすめボードゲーム①
『ミクロマクロ:クライムシティ 日本語版』(ホビージャパン)/対象年齢:8歳以上/希望小売価格 3,960円(税込)


現在、何度目かのルネッサンスまっただ中にある世界のボードゲームで、小野さんいわく「もっともホット」。2020年にボードゲームの本場ドイツで生まれた。
 
大きな一枚の紙にひとつの町が事細かく描かれている。町のいたるところで事件が起きており、カードをめくると「○○を探せ」と指示される。それをプレーヤー全員で一緒に地図の中から探し出すのがミッション。事件現場を探すことから始まり、次に事件がなぜ起きたかを探るべく容疑者や関係者を見つける。そうして進むうちに事件の全貌が解き明かされていく。
 
「平たくいうと『ウォーリーを探せ』みたいなゲームです。みんなで一緒にクリアを目指す協力系ゲームで、ドイツやフランスで高く評価されており、とくに子どもが大好きなようです」

■おすすめボードゲーム②
『ナンジャモンジャ(日本語版)』(すごろくや)/対象年齢:4歳以上/希望小売価格 1,430円(税込)


ロシア生まれのカードゲーム。12種類のユニークな生き物が描かれたカードを順に引いていき、初めて出てきたものには好きな名前を付ける。カードを引いていく中で、同じ生き物が登場したら、すばやく名前を呼び、早く正確に呼べた人が勝ちというゲーム。長くて難しい、おもしろおかしい名前をつければつけるほど盛り上がる内容。「ミドリ」と「シロ」の2バージョンがあり、それぞれ違う生き物が登場する。
 
「小さい子どもはかわいい名前を付けますし、小学生くらいになるとすごく長い名前を付ける傾向があり、盛り上がります。年齢を問わず、幅広く楽しめるゲームです」

■おすすめボードゲーム③
『カルカソンヌ20周年記念版(日本語版)』(メビウスゲームズ)/対象年齢:7歳以上/希望小売価格 4,200円(税込)


発売からちょうど20周年を迎えた人気ゲーム。カルカソンヌはフランス南西部にあるヨーロッパ最古の城塞都市。盤上のタイルをめくりながら、城を作ったり、道を作ったりして、自分の勢力圏を広げていく。定期的に世界大会が開催されており、実力者同士が集まると運よりも実力がものをいう。
 
「山札からカードを引くまで何が出るのかわかりませんから、最初のうちは運に強く作用される内容といえます。プレイするうちにいろいろと推測したり、作戦を練ったりすることができるようになっていきます」
 
子どもや初心者へは、経験者がアドバイスをしながらゲームを展開するといいだろう。

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