
同居か、近居か。住まい方のメリット・デメリットの違いとは?
親も子どもも、互いの暮らしの様子を心配しあっているものです。年齢を重ねれば、健康や生活全般のことも気になります。将来、互いに安心できる暮らしのためには、生活を共にする同居。いざという時に、行き来しやすい距離の近居、どちらが望ましいのでしょう。
レジクラで行ったさまざまなアンケートの回答でも、住み替えやリフォームの理由として、同居や近居といった将来を考えた場合の住まい方の変化を意識して検討しているという方がいらっしゃいます。
この記事では、それぞれの住まい方のメリット・デメリットについて考え方を整理してみました。
お互いのライフスタイルを尊重した、暮らしが続く住まい方を
同居と近居。その住まい方にはどんな形が考えられるでしょうか。

同居と近居。どちらがいいのでしょうか?それぞれのご家族の関係性や住まいの状況によっても判断の理由は違うものになるでしょう。
でも、いざ、具体的に検討を進めようと思うと、迷ってしまうことも多いのがこの問題なのではないでしょうか。
戸建の2世帯住宅の考え方では、玄関も設備も共用する(完全同居型)、玄関はひとつで、設備はそれぞれに設ける(一部共用型)、玄関も設備もそれぞれにする(完全分離型)、この3つに分けられます。
マンションの場合、多くは完全同居型になります。同じマンションを購入するといったケースは、完全分離型に近いものの、それぞれ独立した資産となるため近居と考えたほうが良いでしょう。
ちなみに国土交通省によると、近居とは子世帯と親世帯が「クルマ・電車利用の片道1時間以内」に居住することと定義しています(※1)。
親子で助け合うことは必要。でも、同居する意向は減少傾向。

近年は、子世帯の共働きが増加し、育児支援を求めて同居や近居を考えていますが、親世帯は、核家族があたり前となったライフスタイルの変化によって必ずしも子世帯との同居を望まない傾向も増えています。
国土交通省「住生活総合調査(※2)」の結果では、高齢期において求める子との住まい方(距離)の希望を経年変化で見ると、1993年の 20.8%から2013年の 13.5%と同居に関しての意向は減少傾向にあります。
一方、内閣府の「家族と地域に於ける子育てに関する意識調査報告書(※3)」では、約8割の子世帯が、祖父母(自分たちの父母)の育児や家事の手伝いが必要だと考えています。
子世帯と親世帯で、住まい方に関する考えも違いがあるようです。では、同居と近居、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
※1-2:国土交通省「住生活総合調査」(平成25年12月)※3:内閣府「家族と地域における子育てに関する意識調査報告書」(平成26年3月)
〈同居〉気のおけない親子関係でも、距離感は大切。
同居のメリット
- いつでもコミュニケーションが密に保てる。
- 子どもの面倒を見てもらえる。
- 家事が分担できる。
- 家計費、食材、車などのシェアや経済的メリットがでやすい。
- 何かあった時にも、互いの様子がすぐに分かる。
同居のデメリット
- 生活時間、食事などライフスタイルの違いに配慮が必要。
- 子どもの教育方針などの価値観に違いが起こる。
- 互いのプライバシーを保ちにくい。
- 生活費など負担すべきもののルールを決めておく必要がある。
- 夫婦間、親子間の関係性に理解が必要になる。

子育て真っ最中で共働きの子世帯は、ワーク・ライフ・バランスがとれている、つまり、仕事と育児を上手く両立できている家庭ばかりではありません。その背景には、子育て支援のための環境整備の遅れや不足、少子化の理由のひとつとしてあげられる、子育て費用の増加なども一因といえるでしょう。
子世帯を、生活面・経済面で親世帯が支えやすい同居ですが、近いからこそ互いを干渉しやすいといえます。親子であっても、現在のライフスタイルや価値観、将来の考え方に違いはでてきます。じっくり話し合って、互いの距離感やストレスの少ない同居の住まい方を選ぶことが大切です。
〈近居〉スープの冷めない距離で、互いに安心。
近居のメリット
- コミュニケーションを密に保ちやすい。
- 子どもの面倒を見てもらいやすい。
- 食材、車などのシェアや経済的メリットがある。
- 何かあった時にも、互いに駆けつけやすい。
近居のデメリット
- 子どもの教育方針などの価値観に違いが起こる。
- 互いのプライバシーに干渉しやすい。
- 体調や、住まいの管理などは各世帯、自己責任になる。

近居を選ぶときには、さまざまなパターンが考えられます。親世帯が家を売却し、地方から都心の子世帯の近くへ。子世帯が、親世帯の援助も受けながら実家の近隣へ。互いの住居を整理し、同じマンション内でそれぞれ購入する場合もあるでしょう。
近居の良さは、物理的に住まいが分かれていることで、程よい距離感で、互いの生活を築きやすいことだといえるでしょう。ただし、親世帯、子世帯、それぞれに必要な生活環境やコミュニティなども考えて、どのような近居のパターンを選ぶかが大切です。
同居と近居。どちらも互いにサポートしあい安心感をもって暮らせるという点でメリットがある住まい方です。将来に向けて、同居や近居を検討する方は、両世帯で将来に向けた話し合いをしっかりするとともに、分かりにくいことなどは、不動産会社をはじめとしたプロに相談してみると理想の住まい方も見えてくると思います。また、戸建住宅の完全分離型の場合や、マンションでの近居などは、将来、親世帯の住居を賃貸に活用するなども考えられることなので、そうした点も合わせて話し合っておきましょう。
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