リフォームvs住み替え

リフォーム vs 住み替え

どんな住宅でも長く住むうちに、建物や設備に不具合が増えたり、家族構成やライフスタイルが変化して住まいに不都合な点が出てきたりするものです。そんなとき、リフォームをすればいいのか、住み替えたほうがいいのか迷うこともあるでしょう。どちらが正解かはその時の状況によりますが、適切な判断ができるようそれぞれの特長を押さえておきましょう。

リフォームの特長/同じ場所に住み続けていくことを選ぶ

●同じ場所に住み続けることにマイナスはないか?
住み替えと比べたリフォームの最大の特徴は、同じ場所に住み続けるということです。地元に愛着がある人にとっては、住み慣れた地域・土地に継続して暮らせることは大きなメリットです。ただ、今の家に感じる不都合な点に場所が起因する要素もある場合は、必ずしもメリットとは言えません。リフォームというと建物をどうするかに意識が向かいがちですが、今の家に感じる不都合は建物の問題だけなのか、立地の問題はないのか、を明確にしておく必要があります。

リフォームにかかる、お金の考え方

●一般に買い換えるより費用は安上がり
次の家が賃貸住宅ではなく、新たに購入して住み替える場合と比べると、リフォームには土地代がかからないので、今の家をリフォームしたほうが費用は安く済むことが一般的です。床材や壁紙の張替えなど簡易な改修なら数十万円規模、一部の間取り変更や水まわりの設備交換など部分的なリフォームで数百万円規模、床や壁などをすべて取り払い全面的にリフォームする場合でも1千万円前後(広さによる)の費用で可能です。

●リフォームローンは住宅ローンより金利が高く、返済期間の上限が短い
買い替え換えより安く済むとはいえ、リフォームは内容によっては数百万円以上の費用がかかるため現金でまかないきれない場合もあり、多くの金融機関でリフォーム専用のローンが貸し出されています。ただし、住宅ローンと比べると、金利が高めで、最長返済期間も15年程度の場合が多く(住宅ローンは最長35年)、月々の負担を抑えにくい面があります。住宅ローンと比べて、リフォームローンの内容は銀行による違いが大きいので、幅広く調べてみることが大切です。

●リフォームの内容によっては減税や補助金を受けられる場合も
耐震改修、長期優良住宅対応、省エネ改修、バリアフリー改修などの住宅性能を向上するリフォームの場合は、減税や補助金を受けられる制度を利用できます。国の制度だけでなく、独自の制度を運用している自治体もあります。

住み替えの特長/新しい暮らしの理想に合わせて選ぶ

●建物も立地も、理想に合わせてイチから選べる
リフォームと比べた住み替えの最大の特徴は、間取りや広さ、設備仕様などの住宅そのものも住む場所も、予算上の制約以外は自分の希望条件にそって選びなおせることです。ただし、地元を気に入っている人は、同じ地域内で新たな住まいを探すことは可能ですが、探すエリアが狭いほど新居の選択肢は少なくなります。逆に今の家がある場所に不都合を感じている人は、住み替えによって問題を解決しやすくなります。

住み替えにかかる、お金の考え方

●土地代がかかる分、リフォームより費用は大きくなる
賃貸住宅ではなく新たに購入する住宅に住み替える場合は、土地代も含んだ住宅価格をまるまる払う必要があるため、建物部分の改修だけで済むリフォームより費用は大きくなります。また、今の家を売却して住み替える場合、売却手数料がかかるうえ、住宅ローンの残高と売却価格によっては、自己資金が乏しくなる場合もあります。さらに、住み替え先の購入を先行して進めて、売却が遅れると一時的に二重ローン状態になったり、逆に売却が先行して住み替え先の入居時期が遅れると仮住まい費用がかかったりする可能性もあります。

●超低金利の住宅ローンを利用できる
家を買い替える場合は、リフォームローンより有利な住宅ローンを利用できます。住宅ローンは低金利商品が多いため費用が大きさをカバーしやすいですが、年齢によって返済期間を長くとれない場合は、月々の負担を抑えにくくなることも考えられます。買い替えを検討するならば、今から新たにローンを組んだ場合に無理なく返済を続けられる期間は何年かを熟慮する必要があります。

●住宅ローン減税を改めて受けられる
今の家を買った際に住宅ローン減税を受けたことがある人でも、新たにマイホームを買うことで改めて住宅ローン減税を受けることができます。また、今の家の売却で、利益が出たり損失が生じた場合は、それぞれ税金が軽減される制度を利用できます。リフォームの減税制度ではリフォーム内容が前述の住宅性能向上に限定されますが、買い換えで利用できる減税制度では築年や広さの制限はあるものの、一般的な住宅であればほとんど対象となります。

今の家に感じる不都合は何か?を、しっかり考えて選択を

まとめ

Point.1 絶対に解消したい不都合を明らかにすることが第一歩
リフォームか住み替えか、どちらを選ぶにしても、一番の目的は「今の家に感じる不都合」を解消することのはずです。それを明らかにすることが比較検討の第一歩となります。解消したい不都合がいくつかある場合は、「絶対に解消したい」「できれば解消したい」のように優先順位付けをしておくと、予算の制約ですべてを解消するのが難しいときに何を優先するか判断しやすくなります。

Point.2 不都合を解消するためにより適切な手段はどちらか
住み替えは予算以外に制約はありませんが、リフォームの場合は「住む場所と延床面積」は変更できません。したがって、絶対に解消したい不都合が場所や絶対的な広さに起因するならば、その解消手段は住み替えしかありません。逆に、場所に不満はなく、広さについても面積の範囲内の改修で対応可能な程度の不満であれば、コストが安く済むリフォームのほうが有力な選択となるでしょう。

  • 記載の税制等の内容は2018年1月現在のものとなります。最新の情報は各WEBサイトをご参照ください。