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家探しもスムーズに!「後回しにする人」から「すぐやる人」になる方法

忙しい毎日の中、マイホームを購入する、または引っ越す、住み慣れた家をリフォームするなど、人生の一大事となる住宅についての決断は、ついつい後回しにして長く放置しがち。そんなとき、すぐ行動に移すためにはどうしたらいいのか?脳の仕組みを研究しカウンセリングとアドバイスを行っている、作業療法士の菅原洋平さんが、脳の「すぐやるスイッチ」の入れ方を教えてくれた。

家選びの第一歩は、条件の絞り込みから!

作業療法士として病気やケガをした人のリハビリをサポートしてきた菅原洋平さん。日常生活や仕事についてのカウンセリングも行ってきた経験から、脳と体の機能を生かした人材開発を行っている。

「仕事でやる気が起きない」「家の中の片付けができない」という多くの人が抱える悩みと同じく、住宅を購入したり買い替えたりするとき、なかなか重い腰を上げられない状況においても、自分の脳をうまくコントロールすることが大切だと菅原さんは話す。

「選択肢が多すぎると、脳はやる気が出ません。住まい探しも、まず条件を絞り込むことから始めましょう。購入するならマンションか一軒家か、どのエリアに住むのか、それだけでも絞り込んでみてください。実際に住宅展示場や物件を見に行くなど、次の行動に移せます。いったんマンションと決めて物件探しをしても、やはり一軒家がいいと思ったら、方針転換していいわけですから」

菅原さん自身、8年前、首都圏のマンションを売却し、東北地方にログハウスの一軒家を建てた。そのときもまず「どの都道府県に住むのか」ということを決める段階から始めたという。

「面倒」と思わずに、すぐやる人になるには?

人はどんなときに、行動することを面倒だと思うのか。

「脳は常に先に起きることを予測していて、その予測と実際に得た感覚のギャップが少ないほど、ハイパフォーマンスを出せます。逆に、行ったこともないところへ行く、会ったことのない人に会うという未知の環境を前にすると、リスクを感じ、脳は億劫に感じます。その時に『面倒だ』という感情が生まれます」

つまり、不測の事態が起きない環境こそ、脳がやる気を出すことに繋がる。しかし、住宅の購入は、まさに「予測が立たないこと」の連続だ。「面倒だ」という気持ちを乗り越えるにはどうすればいいのか。

「ゴールに至るまでの課題を細かく刻んで、簡単に取り組める“スモールステップ”を取り入れてみてください。例えば、住宅展示場に行くまでの行程もまず『チラシを見る』という一段階だけでOKとする。できれば、次のステップ『見学の予約を入れる』という次のスモールステップも、チラシを手に持っているうちにやってしまいましょう」

そうしていくつかのステップを意識して踏んでいけば、先にある未知の要素を面倒に感じることもなく、いつのまにか目標に到達することができる。

理想の住まいへの道のりは短くない。“スモールステップ”で、目の前の課題をひとつずつ確実にこなしていくことが近道となる。

脳の使い方次第で、作業効率が上がる!

それでも、マイホームを手に入れるまでには、たくさんの行程がある。そのプロセスを書き出して、進捗を確認する際におすすめの方法がある。

「TO DOリストを書き出すなら、文字の羅列ではなく、正方形の中に3列×3列の9つのフレームを作って、その中にタスクを書き込むのがおすすめです。その中の2つ、3つと達成してマスを塗りつぶしていくと、脳は『もうちょっとでクリアできるぞ』『縦の列が揃うぞ』と残りのタスクも達成したくなります。そういった仕組みを活用することで、作業効率はグッと上がります」

また、壁の色が決まらなくて、その先にあるキッチンの設備が選べないなど、なんらかの行程で引っかかっている場合は、「ほかにも控えている課題と一緒に、3タスクを一つずつ15分ごとに交代しながら取り組みましょう。行程Aがクリアできなくても、次の行程Bに進むというサーキット方式です」と話す菅原さん。

「脳の集中力は15分しか続かない。それゆえ、解決していなくてもいったん置いておいて、次のタスクに行き、その次のタスクも経て、30分後に行程Aに戻ってくればいいのです。エクササイズのようにそれを繰り返していくと、脳がリフレッシュして新しいアイデアが浮かんでくるはずです」

もう「後回し」をしない人になる!

そもそも、なぜ人は物事を後回しにしてしまうのか。
「後回しにしてしまうメカニズムは、自分に過度な期待をするところから始まります。過去に後回しにしてしまったことは、次も必ず後回しにすることなのに、脳の中では『自分は優秀だから次こそできる』と期待してしまう。それで実際になかなか取りかかれない状態になる。すると、挫折感を抱き、さらに過度な期待を抱くという悪循環のサイクルに陥ります」

そんなときは自分を客観視し、「きっとまた後回しにしてしまうな」と口に出してみることが有効だ。

「いわゆる“メタ認知”を働かせ、どうすれば自分が改善して行動するのか考えてみる。これができると、たとえ失敗や挫折をしても、必要以上にダメージを受けず、メンタル不調にもなりにくいことが知られています」

「すぐやるスイッチ」を意識して習慣化すれば、家探しだけでなく、人生のあらゆる課題をスムーズに乗り越えられるようになるだろう。



お話を聞いたのは●菅原洋平さん

すがわら・ようへい/1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、作業療法士免許取得。民間病院精神科勤務後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。その後、脳の機能を活かした人材開発を行うビジネスプランをもとに、ユークロニアを設立。現在、ベスリクリニック(東京都千代田区)で外来を担当する傍ら、企業研修を全国で展開している。著書近刊に「『仕事が終わらない人生』が180度変わる 努力に頼らず『要領がいい人』になる40のコツ」(アスコム)など。
http://activesleep.net