フレキシブルに収納を組み替えできる!
「設置も撤去も簡単で、空間を手軽にアレンジできるのが、つっぱり棒の優れた点。特に子どものいる家庭では、おもちゃや通学用の道具など、数年単位で必要な物が変わっていくので、つっぱり棒でフレキシブルに収納スペースをつくることができます」
そう話すのは、つっぱり棒の業界トップシェアを誇る収納用品メーカー「平安伸銅工業」の三代目社長、竹内香予子さんだ。シンプルなつくりの棚とつっぱり棒を使えば、洋服から小物、本まで一挙に収納できるスペースができる。つっぱり棒は、発想次第で空間をフレキシブルにデザインする頼もしい収納アイテムとなるのだ。
つっぱり棒が活躍するのは、リビングだけじゃない!
つっぱり棒は、最短で13センチから設置できる小さい商品もある。一見、使い方を考えてしまうサイズ感だが、冷蔵庫の中や洗面所の隙間などに設置する活用法を竹内さんはおすすめする。
「わが家ではチューブの調味料をつっぱり棒に吊るしています。冷蔵庫の中で、どこに行ったかしらと探すこともなくなりましたし、さっと取り出せて便利ですよ。さらに、冷蔵庫内をつっぱり棒で細かく区切って、ハムやチーズなどを乗せておくこともできます」
盲点になりがちだが、つっぱり棒はスチール製なのでマグネットがくっつけられる。割れないコップの裏にマグネットを着け、洗面台の上に逆さまに吊るすことで、デットスペースを活かしながら、常に水気を切って清潔に保つことができる。
大胆な活用法としては、クローゼットの扉を外してしまい、つっぱり棒から吊るしたカーテンで目隠しをするというアイデアもある。扉の開閉具合によって、中へ入れにくかった大きなモノでも驚くほど収納が楽になる。カーテンの柄によって和風洋風も演出することができるので、インテリアの自由度も楽しめるのだ。
「例えば客間としてふだん使っていない部屋があったら、つっぱり棒を天井から床までつけ、ハンガーをたくさん掛けて衣装部屋にするなどして、有効に使えます。つい『この部屋は寝室で、この部屋は客間』というように固定概念にとらわれがちですが、ライフステージに合わせ、部屋の役割をどんどん変えていっていいんですよね。その時の状況に合わせて、大きな空間から小さな空間まで手軽にアレンジできるのがつっぱり棒の魅力だと思います」
おしゃれな木材を使ったつっぱりアイテムも!
DIY愛好者に人気なのが、つっぱり棒の従来のイメージを覆すインテリア性の高い「つっぱり補助具」。ホームセンターで販売されている木材を、住まいのサイズに合わせてオーダーサイズで購入し、補助具にはめ込んで、天井から床までつっぱる。
「木材に金具を付け、自転車などの重いものも吊るしておけます。何本か組み合わせて棚のように使うこともできますね。天井と床の強度さえ確認できれば、どこにでも柱が立てられるという自由度が魅力です」
壁に穴を開けたくないときに設置し、壁の代わりに木材に金具を取り付けるという上級テクニック。木材は一見つっぱりアイテムには見えず、リビングなどに置いても、おしゃれな雰囲気を演出してくれる。
バリエーション豊かなつっぱり棒で、イメージを膨らませよう!
「つっぱり棒を購入するときは、ぜひホームセンターへ足を運んでみてください」と竹内さん。長さが2メートル以上ある商品や、荷可重が30kgもあるもの、棚板の形になっているものなど、種類が多く、カラーも豊富で、おしゃれなデザインの商品も販売されている。バリエーション豊かなつっぱり棒が見つかり、活用のイメージも膨らむ。
「祖父がつっぱり棒のメーカーを創業して、新聞記者として働いていた私が、父から引き継いで三代目の社長となりました。私自身、結婚し子育てをしている経験を生かしながら、自宅に置いて楽しい、インテリア性のあるつっぱり棒を開発しています。自宅には70本のつっぱり棒があり、もはや、つっぱり棒は私の“相棒”です(笑)」
日本の住宅事情ならではの進化を遂げたつっぱり棒の可能性は、まだまだ広がる。収納法に迷ったら、自分にあったつっぱり棒を見つけて、取り入れてみよう。
(2023年8月22日掲載)
お話を聞いたのは●竹内香予子さん
たけうち・かよこ/つっぱり棒博士。整理収納アドバイザー。つっぱり棒の業界トップシェアを誇る収納用品メーカー「平安伸銅工業」の三代目社長。自宅マンションに収納が少ないため、つっぱり棒を駆使して収納スペースを増設。約70本以上のつっぱり棒を突っ張っている“つっぱり棒御殿”に住み、日々つっぱりワザを磨いている。著書に『散らかった場所が今すぐキレイに、おしゃれに!魔法のつっぱり棒でお部屋が変わる』(扶桑社)がある
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