とろける甘さと究極の美しさを追求した、魅惑のアローマメロン

静岡県・吉田町で唯一のメロン農園である鈴木農園。園長の鈴木恵寿(すずき・しげとし)さんが育てるのは、アローマメロンという至高の口どけを誇る絶品。温室栽培により一年中食べられるのも魅力です。しかし、栽培するうえでメロンはとても繊細で「子育て以上に大変」と鈴木さんは言います。そんなアローマメロンに込められた想いを教えてもらいました。

目次

味と見た目、両方を極めた、ブランドメロンの頂点

―― 「アローマメロン」という名前を初めて聞きました。どのようなメロンなのでしょうか?
 
鈴木さん 「アローマメロン」はメロンのブランド名です。静岡温室農業協同組合が取り扱うマスクメロンで、この吉田町界隈で育ったものを「アローマメロン」と呼びます。「アローマ」とはポルトガル語で「芳香」の意味。その名の通り、芳醇で深みのある香りが特長の一つです。ちなみに、同じ組合が取り扱っているメロンのなかで、静岡県袋井市や森町で育ったものが「クラウンメロン」です。アローマメロンにも等級はあり、高いものだと2、3万円になります。 

―― 等級はどのように決まるのですか?
鈴木さん 主に糖度と、見た目の良さで決まります。アローマメロンは贈答用にも購入されることも多く、形状や模様などの美しさも重視されます。等級は「富士」「山」「白」のような名称で分けられていて、「富士」が最上級になります。
 
 
―― アローマメロンはどのような味の特長があるのでしょうか?
 
鈴木さん 糖度がしっかりと感じられ、そして深みがある味。ただ甘みを感じるだけでなく、芳醇な香りがあふれ出しているんです。切る前から、メロンの濃厚な香りを楽しむことができます。それと、アローマメロンは甘みに加えて、見た目の美しさも追求してきました。
 
―― 「見た目が美しい」メロンはどのようなものでしょう?
 
鈴木さん 以前は「網目が細かいもの」ほど好まれる傾向にありましたが、近年では網目が細かすぎず、粗すぎず均一なメロンを美しいとするようになりました。さらにアローマメロンの場合は、アンテナの部分(メロンの上のTの字の部分)にまで美しさを求め、栽培時にあらゆる工夫を重ねるようにしています。

見事なまでに整った球形は、美しいメロンの絶対条件。網目の大小から盛り上がり具合まで、栽培するうえで絶妙な匙加減によって調整されている。アンテナ部分のT字がゆがんでしまったり、軸が長すぎてしまったりすると、傷物として出荷できなくなるほど、厳しいブランド基準でひとつひとつ評価される。

繊細で思い通りに育たない……子育てより難しいメロン栽培

―― アローマメロンは特別な育て方をしているのでしょうか?
 
鈴木さん ほかのブランドのメロンと明確に違う点が2点あります。1つは、メロンを地面から浮かせて育っていること。これにより、メロンに必要な分だけ水を与えたり、逆に水を切ったりできるようになります。メロンの状態、気温、天候に合わせて毎日水分量を調整することで、メロンの甘味とジューシーさが、より引き立つようになります。
 
―― もう1つの工夫は何でしょう?
 
鈴木さん 1本の木から1つのメロンしか育てないということです。通常メロンは1本の木に3~4つ実をつけるのですが、そのぶん養分も分散してしまいます。一番形がよく育ちの良いもの以外を間引くことで、集中して必養分が蓄えることができ、糖度を上げたり外観もより美しく育てられたりするのです。アローマメロンは、1個のメロンに対して、どれだけ愛情をかけられるかを重視しています。
 
―― 手間暇かけて、大切に育てられたメロンなんですね。
 
鈴木さん そうですね。そのおかげで、メロンの中身の質も素晴らしく仕上がります。舌にまとわりつくような繊維がなく非常になめらかな食感で、皮のギリギリまで食べられるものに育ちます。メロンというものは、ほんの少しのことで味も見た目も変わってきてしまいます。地道な世話が必要で、子育てよりも大変だと実感しています。
 
―― 繊細な作業なんですね。
 
鈴木さん あくまで僕の意見ですが、人の性格がメロンの外観や中身の内容に出てくると思っています。性格、気性の荒い人だと、粗いネットになるといったふうに。本当にメロンそのものが繊細なので、様子が気になって夜中に飛び起きて畑を見に行く人もいるくらい。僕も、ずっとメロンのこと考えていますよ。言うことを聞いてくれないし(笑)。こうなってくれと言っても、絶対にそのように育つ確証はないですからね。



(上)蔦の軸に紐を結び、アンテナ部分の長さを調整しながら育てていく。地面から浮かせることで水の与えすぎを防ぎ、適切な水分量で形状と味を高めていく。(下)メロンの花が咲いたら、ひとつひとつを丁寧にこう配する。いずれ間引いてしまうかもしれない花にも、心を込めて作業を施していく。

素材の甘さと食感をもっとも感じられる、究極の食べ方とは

―― アローマメロンのオススメの食べ方はありますか?
 
鈴木さん まずは見た目と香りを楽しんでもらいたいですね。そのあとは、切って冷蔵庫で冷やすのですが、食べる前にしばらく外に出して澳、常温よりも少し冷えているくらいの温度で食べていただきたいです。キンキンに冷えたメロンを食べると第一印象が「冷たい」になってしまいますよね。アローマメロン本来の甘味を存分に楽しむためには、常温に近づけることをオススメします。
 
―― おいしいそうですね。切り方にもポイントはありますか?
 
鈴木さん メロンには高級品というイメージがあるので、「もったいない」と思って小さくカットしがちですが、豪快にメロン1個を8分の1カットくらいにして大胆に食べてもらいたいですね。そのほうが圧倒的にジューシーです。スプーンやフォークもできれば使わずに、かぶりついてください。カトラリーを使うと鉄っぽい風味まで感じてしまいますので、直接かぶりついてメロンだけの甘さや味わいを感じてもらえたら。僕が日頃やっている、一番おいしい食べ方ですね。

「さながらスイカのように、8分の1カットで口いっぱいにメロンをかじるのが一番おいしい食べ方」と鈴木さんは言う。皮のギリギリの部分まで熟しておいしく食べられるのも、鈴木さんが育てるアローマメロンの特長だ。

「一度食べた味が忘れられない」農園へ直接注文する人も

―― 鈴木農園さんのメロンはどこで手に入るのですか?
 
鈴木さん 僕の作るアローマメロンは、基本的には関東の高級フルーツショップなどに卸しています。農園内に販売店はありませんが、もし静岡に来ることがあれば、2~3日前にお電話をしてもらえたら直販用のメロンを用意しておきますよ。見た目の理由で市場に出せないメロンも、破格でご提供することもできます。農園は静岡空港から車で20分ほどの場所にあるので、こちらへお越しの際はぜひ立ち寄っていただければ。
※時期によってはご用意できないこともあります。
 
―― 新型コロナが落ち着いたら行ってみたいですね。オンライン販売などは行っているのでしょうか?
 
鈴木さん オンラインでの直販は行っていません。お電話でやり取りをさせていただき、郵送でメロンをお届けすることはあります。先日も、埼玉のお客様が「以前食べたものが忘れられない」ということでお電話をくださり、贈答用にメロンをご購入くださりました。用途に合わせて、ちょっとしたメッセージカードをつけることもできます。
 
―― 一度、私もお取り寄せをして食べてみたいと思います。それでは、本日はありがとうございました!

(撮影=クロダユキ、文=半澤則吉)

鈴木農園

静岡県榛原郡吉田町片岡2941
0548-32-3910(不在の場合は留守番電話にメッセージを残してください)
アクセス/富士山静岡空港から車で約20分

  • 新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。詳しくは店舗にご確認ください。
  • 今回、特別に許可を得て撮影を行いました。現地での試食は行っておりません。ご了承ください。


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