宮古諸島の宝物

【お取り寄せ】甘く深く香ばしい、まるでキャラメルのような「泡盛」。良酒の秘密は、職人の人間力——。

宮古諸島・伊良部島で三代続く泡盛の酒造所「宮の華」。ミネラル豊富な水、優れたもろみを生み出す自然味あふれる土地。まさに泡盛造りに最適なこの場所で、70年以上も泡盛を造り続ける老舗酒造所です。現在は泡盛では珍しい国産米を使用したお酒を造ったり、「みやこ下地島空港」のターミナル限定泡盛を製造するなど、その泡盛は地元の人々のみならず旅行客からも高い人気を得ています。今回は三代目社長の下地さおりさん(右)と、工場長の山原作栄さん(左)にお話を伺い、その泡盛の魅力に迫ります。
※取材および撮影は2020年10月上旬に行ったものです。

目次

“聡明な魂”でお酒を造る
老舗の泡盛酒造所「宮の華」

——「宮の華」は下地さんで三代目ということですが、これまでの歴史について教えてください。

下地さん 「小さくてもいいから、人の心にゆっくりと咲き続ける華のようになりたい」。そんな想いから1948年に創業し、父の下地盛良が二代目の社長となりました。その後、私が2004年に引き継ぎ三代目に。今も創業者の信念、想いに沿ってお酒づくりに取り組んでいます。

——創業者の信念や想いとはどのようなものなのでしょうか?

下地さん 「聡明な魂でお酒を造りなさい」というのが創業者の想いです。でも「魂」というと少し難しいですよね。この言葉をどのように解釈するか、そしてどのようにチームで共有し、商品化していくかをしっかり意識しながら、お酒づくりをしています。「聡明な魂が華のようなお酒を造る」という想いは、創業時から変わらないものです。

国産米から生まれた「うでぃさんの酒(喜びの酒)」
その香りは、ほかにはない甘みと深みがあった

―― 泡盛は一般的にタイ米から造られるそうですが、「宮の華」には、国産米を使った商品があるそうですね。なにか理由があったのでしょうか?

下地さん きっかけは農家の方からいただいた1個のおむすびでした。「ひのひかり」というお米で作ったおむすびで、甘味をすごく感じて。「おいしい!」という単純な感想よりも、もっと心に響くものがありました。その瞬間、この米ならおいしい泡盛がつくれると確信しました。

―― それが、「うでぃさんの酒」となったのですね。国産米で泡盛を造るのは難しいといわれていますが、どのような苦労があったのでしょうか?

山原さん 最初、この国産米を使って泡盛をつくりましょうと社長から聞いたときに、とんでもないことだなと思いました。なぜかと言いますと、このお米を蒸したときに、とても粘り気が強いんです。粘りがあるということは、泡盛に必須な麹がうまく作ることができないという最大の難関なのです。また、お米が膨張して大きな塊となり、蒸し用の回転機を壊してしまいそうなほどであったり、そもそも原価が高かくなったりするなど、一筋縄ではいきませんでした。それでも、初めて完成したときのお酒の香りが、今でも忘れられません。

―― どのような香りなのでしょうか?

山原さん とにかく、お米本来の甘い香りを強く感じました。こんな濃厚でまろやかな香りは、タイ米では表現できません。また、10年寝かせた古酒を飲んだときには、さらに驚かされました。一般的にタイ米で造られた古酒はバニラのような香りがするのですが、この国産米のものは、キャラメルのような香りを感じました。甘さもありつつ、少し焦げたような香ばしさもある、とても奥深く贅沢な風味です。それでいて飲み口のキレも良いので、何度飲んでもまるで“最初の1杯”のようで、思わずスイスイ飲んでしまう、そんな味わいです。現在、「通り池」という名前で販売しています。

―― 「通り池」とは、観光名所でもありますよね。

下地さん 「通り池」は先代が病気で亡くなる半年前に商標登録の申請を出していたものです。実は、当時私たちは誰も申請をしていたとは知らなかったんです。「通り池」は、子どもの頃から知っている下地島の美しい観光スポット。私たちが「ひのひかり」を使った泡盛を商品化し、10年寝かせた古酒を発売しようと話が出たときに、「通り池」という名前にしようと直感しました。私たちの長い年月をかけたこの泡盛にかける想いと、先代の想いを重なったと感じたのです。

宮古諸島内、「宮の華」がある伊良部島の隣に位置する下地島に「通り池」は存在する。別名「龍の目」とも呼ばれ、神秘的な観光スポットだ。(画像提供=宮の華)

先代から託された「本物の職人」の泡盛づくり。
素材や技術以上に大切なのは、人間力。

山原さん 先代のお話が出たので、私事で恐縮なんですけれど、私が泡盛づくりをするようになったいきさつをお話させてください。本当に、先代の人間性に惹かれた、ということがすべてなんです。私は母子家庭で育ったのですが、高校のときにグレて母親に反抗ばかりしていた時期がありました。卒業後に「宮の華」へアルバイトとして入社したのですが、先代には仕事のことはもちろん、それ以外のことも、いろんなことを教えてもらっていました。大変お世話になっていたので、私の成人式のお祝いの場に先代にも声をかけたら、来てくださったんです。その日、私はお酒に酔った勢いで母に強い暴言を吐いてしまいました。すると、先代が立ち上がり、親戚一同の前でパーンと、私を叩いたんです。正直、あまりの嬉しさに涙が出ました。他人の子どものために、こんなに本気で怒ってくれる大人を見たことがなかったのです。その瞬間、この人のもとで泡盛づくりをしようと心で誓いました。先代の人間性に惚れ込み続け、今に至ります。

―― 感動するエピソードです。

山原さん その後、先代は癌で亡くなったのですが、息を引き取る前に、ちょっと来いと呼ばれました。行ってみると、「一つ約束をしてくれ。本物の職人になってくれ」と言われたんです。僕の手を握って離さないんですよ。だから、先代に恥じないような泡盛を造らなきゃいけないと今でも強く思い続けています。本物の職人というのは、技術面だけではダメということです。原材料が良くても、技術力があっても、そこに人間力が加わらないと。泡盛は若いお酒から年月を経ていくと、味の角がとれ丸みが出てきて、味わい深い良いお酒になっていくんですよ。泡盛のように、私も人間的に、年をとるたびに、味わい深く育っていかなければいけませんね。 

(上)「うでぃさんの酒」を造るために必要な特注の種麹。種麹業者も国産米に合う種麹を作ることは初めてで、数年がかりで試行錯誤を繰り返したそう。
(下)「宮の華」の代表的な泡盛のひとつである「豊見親」は、ボトルのラベルをひとつひとつ、心を込めて手作業で貼る。

記憶が残るお酒を、下地島空港でも。
古酒をブレンドした透き通る味わい。

―― 「良いお酒」とは、どのようなお酒なのでしょうか?

山原さん 飲んだときの味わいを忘れられないような、記憶に残るお酒です。伊良部島での旅行後、帰ってから伊良部のことを思い出したときに、またこの泡盛を飲みたくなって思って懐かしい気持ちになれる、そんなお酒です。私が常に目指しているのは、そのようなお酒です。

―― 2019年に新たに生まれた、下地島空港限定発売の泡盛も同じような思いが込められているのですね。

山原さん 「下地島」ですね。やはり同じく、「また下地島に来たい」と思ってもらえるお酒を造らなきゃいけないなということで、今回は色んな古酒をブレンドしました。この味だったら、飲んだ方がまた下地島に来たくなるだろうと思えるお酒に仕上がりました。

―― ブレンドをすることによって生まれる味の表現もあるのですね。

山原さん ブレンドによりガラッと味が変わります。果実酒のようなフルーティーなテイストも感じます。「下地島」の場合は、8パターンくらいを候補にあげて、その中から次第に絞り込んでいったんです。やはり、飲んでいただいた方に、澄み切った美しい海のような、クリアで透き通る印象を持ってもらえるお酒になりました。

―― 泡盛の世界は奥深いですね。今はなかなか旅行しづらいご時世ですが、一度オンラインショップで「宮の華」の泡盛を試してもらい、落ち着いたら現地で再び味わってもらいたいです。それでは、本日はどうもありがとうございました。

「みやこ下地島空港ターミナル」限定販売されている泡盛は、その名も「下地島」。フルーティでありつつクリアな味わい。爽やかなボトルデザインで、お土産にも人気の1本だ。(写真提供=みやこ下地島空港ターミナル)


(撮影=古谷千佳子、文=半澤則吉)



宮の華 本店

沖縄県宮古島市伊良部仲地158-1
0980-78-3008
ホームページ/https://www.miyanohana.com/
アクセス/下地島空港から車で約5分

※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。
詳しくは店舗にご確認ください。

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