宮古の人の胃袋をつかんで離さない伝統の味。
宮古ツウが皆「宮古そばを食べるならこのお店」と、口をそろえて言う「古謝そば屋」。宮古そばの店は島内に数多く存在するが、この店は毎日開店前から30名以上の行列が作られる。なぜ長時間待ってでも、この店のそばを求めるのか。その魅力は何か。
古謝そば屋を長年営んでいる古謝祐子さんは語る。
「90年近く前から調理法はずっと同じ。スープは豚骨を3時間煮て、そのあとに鰹と昆布を加え味に深みを出しています。このお店では、脂と灰汁を一切残さず丁寧にとっているんですよ。そうすると、見事なまでに透明感のある味になるんです。」一口飲むと、驚くほど雑味がない。鰹のインパクトのあとに豚骨と昆布のやさしい風味が口内に広がっていく。全身に染み渡るような透明感のスープは、1滴も余すことなく味わいたくなる絶品だ。
「はやりのラーメンのように濃い味に慣れている人からしたら、もしかすると物足りないかもしれませんね。それでも、この作り方は私の母から受け継いだ大切な作り方。ずっと守ってきた味なんです。宮古の人にとってホッとするふるさとのような味わいで長年愛されているからこそ、宮古の外から来られる方も虜にするんでしょうね。」
沖縄本島で「そば」というと、ちぢれ麺が多用されるが、古謝そば屋は平打ち麺。スープと一緒につるりといただけるのが特徴だ。
昨夏には、新メニューも誕生した。「その名も『KOJASOBA』。宮古名物がたっぷり入っています」と祐子さん。スープと絡んだもずくと麺が、相性抜群だ。
人々を惹きつけているのは、味だけではない。なんといっても笑顔にあふれるスタッフたちだ。大勢の客と時間に追われながらも溌溂とした声掛けに、思わず「また来ます」と言ってしまう。
(下)お店で提供される平打ち麺は、チャーミングなスタッフの方たちによって「古謝製麺所」で日々作られている。
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当然のようにつないだ伝統が、結局一番愛される。
古謝そば屋の裏には、製麺所がある。責任者の古謝将太さんが、麺の秘密を教えてくれた。
「2種類の小麦を組み合わせて麺を作っています。製麺機から出したあとは、茹での作業に入ります。うちでは、100℃にギリギリいかないくらいの水温で4回に分けて、合計1分強茹でます。この方法が、もっとものど越しが気持ちいい麺に仕上がる。スープを活かし、スープに殺されない、最強の麺です。」
これが宮古の麺の作り方としてスタンダードなのかと問うと、そうでもないようだ。
「正直、ほかの製麺所がどう作っているのかは知りません。うちは昭和7年に祖父が創業し、戦時中は台湾に疎開して、またこの地に戻ってきた。その過程で生まれた、確固たる製法がある。僕からしたら、当たり前のことを当たり前のようにやっているだけ。伝統をずっとつなげることができるということは、それだけ愛される味であると自負しています。
「古謝そば」の味を、ご家庭で。
いずれ、宮古諸島に会いに行く。
古謝そば屋のそばは、通販で購入することも可能だ。現在販売されているのは、「宮古そばセット」と「ソーキそばセット」の2種類で、2人前から注文ができる(2,650円~※)。90年にわたって作られてきた平打ち麺と秘伝のそばだし、かまぼこやネギのほか、それぞれ味付け肉またはソーキがついてくる。新型コロナウイルスの影響で、お店に訪れることが難しい時期でも、本場そのものの味をご家庭で楽しむことができる。まずは自宅でその味を堪能し、いつか現地で改めて食べてみてほしい。スタッフの方たちの笑顔を見ると、また違ったおいしさの発見があるだろう。
※沖縄県内は2,190円~
古謝そば屋
沖縄県宮古島市平良字下里1517-1
0980-72-8304
営業時間/11時~16時(L.O.)
定休日/水曜日
ホームページ/http://kojasoba.com/
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。
詳しくは店舗にご確認ください。